はむさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話(2019年製作の映画)

4.0

自閉症の患者と彼らにとって最後の砦に身を置く人たち。
両者どこまで行っても行き詰まり。
僅かに見えた光明も残酷に消え、まるで終わりが見えない。
それでも昼夜なく支え続ける人たちの心の強さ、その拠り所に
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オートクチュール(2021年製作の映画)

3.3

老舗メゾンによる絢爛で豪華なオートクチュールを支えるお針子たち
生活や人生に悩む“普通の”人たちの人間模様もさることながら、アトリエ内での彼らの職人としての立ち居振る舞いや最高の素材との向き合い方が興
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.8

「異物」と「痛み」
頭に埋め込まれたチタン、親にとっての子供、夫と妻、身体の中に生まれる老いや生命、皆と違う自分…
あらゆる異物と向き合い生きていく痛みがこれでもかと突きつけられる
物語の終着点は安ら
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シリアにて(2017年製作の映画)

4.5

『シリアにて』
ある家族と隣人が暮らす部屋。朝が来る。皆に指示を出す母親の声。順番にトイレに行き食事をする。そんな一見穏やかに見える光景も突如鳴り響く爆撃の音で一変する。
容赦のない暴力と殺戮に脅え、
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アネット(2021年製作の映画)

4.5

繰り返し繰り返し唱えられるセリフとシンプルな旋律
言葉と音によって研ぎ澄まされる感情
ラストシーンの二人には鳥肌がたちました
アダム・ドライバーという俳優の声、肉体、存在がこの物語を成立させ唯一無二の
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ストレイ 犬が見た世界(2020年製作の映画)

4.3

難民の少年たちと身を寄せ合いその日その日を生きる犬たち。
彼ら犬にとって人間は、人種も性別も職業もなく全てにおいて等しく平等であることに改めて気づかされる。
人間じゃないから、同じ民族ではないから…と
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.0

死者35人を出した銃乱射事件。犯行に及んだ二トラムのその静寂の境地を理解することはできないけれど私たちは二トラムという人間がそこにいたことや彼には簡単に銃が手に入ったこと等、知りうる事実からどうすべき>>続きを読む

リトル・ミス・サンシャイン(2006年製作の映画)

3.9

ミスコン優勝を夢見るオリーヴがとにかく可愛い。彼女は大人に意見を求める時いつも「それは(理屈は)わかってる。で、あなたはどう思うの?」と聞く。すごく素敵!
家族一人一人が誰かの支えになり、誰かに支えら
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ベルファスト(2021年製作の映画)

5.0

9歳の少年バディの瞳に映る北アイルランド紛争を彼の父や母、大好きな祖父母たちとの温かく豊かな思い出と共に描き、一瞬で日常を破壊する暴力への警鐘とそれでも力強く生きようとする人間への希望を謳った愛すべき>>続きを読む

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.5

カーニバルに流れ着いた一人の男が目の前に蠢く欲望の沼に一歩、また一歩と堕ちていく…
物語が進むにつれて「あぁまさか」と怯えながら迎えた結末は実は彼自身が望んでいたことなのかも
禍々しい世界観も、欲望の
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アンビュランス(2022年製作の映画)

3.8

プロローグもそこそこに始まる銀行強盗からの怒涛のカーチェイス
逃走する救急車の中で起こるドラマと追う警察との思惑が交錯し振り回される展開に息つく暇もない!
兄弟の絆、正義感、使命感…3人のキャラクター
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三度目の、正直(2021年製作の映画)

4.2

春と美香子、二人の女性の夫や母親との言葉と思いのすれ違いにヒリヒリ。
思い出話や日常会話が突如不穏なものに姿を変える恐ろしさはもはやホラー。
特に終盤の車中シーン!間違ってないのにただただ美香子の心を
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ユンヒへ(2019年製作の映画)

4.0

出されることのなかった一通の手紙が日本と韓国、現在と過去を繋げ、心の中に凍ったままになっている20年分の思いを解かしていく。
多くを説明しないことで観る者の想像力を刺激し二人の女性の悲しみを浮き立たせ
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底知れぬ愛の闇(2022年製作の映画)

3.3

美しく奔放な妻とその妻を静かに見つめる夫。
互いの愛を確かめ合う方法がなかなか狂っている二人に近寄るべからず。
これぞエロティックスリラー!と言いたくなる勝手にしやがれ感がお見事。
新作は20年ぶりと
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復讐するは我にあり(1979年製作の映画)

4.5

何の躊躇も恐れも高揚もなく次々に人を殺す主人公。理解し難い殺人鬼を完全なる悪だと思えない自分の中の矛盾に心が波立つ。
限りなくレアに近い肉をかぶりつくような、生々しく毒々しい人間の本能を描ききったドラ
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

「俺は復讐だ」と言い放ち、誰かを助けるというより大切なものを奪っていった「悪」をまるで根絶やしにしようとするかのような暴力的なヒーローバットマン。
そして奪った者たちへの残忍な復讐を企てるリドラー。
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私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

4.2

大好き〜!
13歳の主人公メイメイも3人の親友たちも最高に可愛い!!極めつけは変身後のレッサーパンダ…抱きしめたい!!!
変身のコントロール能力を試す最終テスト難しい!私なら落ちちゃう🥺映像表現もすご
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アンネ・フランクと旅する日記(2021年製作の映画)

3.8

アンネの空想上の友達キティが現代に蘇りアンネとの大切な思い出と彼女の運命を辿る旅に出る
あれから80年もの間ずっと、そして今また目の前で同じ愚行が繰り返され次々に悲劇が生まれている現実
誰かの生きる場
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オーヴァーロード(2018年製作の映画)

4.0

第二次世界大戦時、米軍兵士たちが潜入したのは恐ろしい実験が行われるナチスドイツの研究所だった…
ホラー、怪物、サスペンス、そしてバラバラだったチームが正義の為に力を発揮しまとまっていくドラマを途切れな
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ゾンビスクール!(2014年製作の映画)

3.5

汚染されたチキンナゲットを食べた子供達が凶悪ゾンビに!ガブガブした先生たちのアレとかアレで遊んじゃうキッズゾンビvs子供だからって容赦しねぇぞの変人教師たちの仁義なき戦い
これマジで劇場公開されたんで
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グッド・ストライプス(2015年製作の映画)

3.8

妊娠をきっかけに結婚に踏みきる倦怠期のカップル。
「結婚するなら」「妊娠したなら」という周囲からのプレッシャーに流されたり違和感を感じたりしながらも、がっつり向き合ってぶつかり合うのではなく横に並んで
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林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

4.0

国も時代もわからない、記憶喪失が蔓延する街でまた、一人の男が記憶喪失を発症する。
人生をリセットする“新しい自分”プログラムを淡々とこなす彼はどこか可笑しくてどこか切ない。
最後には自分という人間は自
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風の電話(2020年製作の映画)

3.9

震災で家族を亡くした少女ハルが故郷の岩手に向かい旅をする。

旅の始まりと終わりでハルの悲しみの分量は1ミリも変わっていない。

それでも行く先々で出会った人との会話、触れた肌の温かさ、そして共にした
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タイトル、拒絶(2019年製作の映画)

4.0

雑居ビルの中にある小さな古い映画館
まあまあ混んでいる客席は男性ばかりで、女性は私を含めて4、5人だけ。
この作品を観るのに相応しいシチュエーションだと思った。
ぐいぐい物語の世界に入り込む。
終盤佳
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The Long Goodbye(原題)(2020年製作の映画)

4.5

ラッパーでもあるリズ・アーメッド主演の短編作品。
「お前たちはどこから来たのか、誰なのか」と問われ続け、尊厳を奪われ、ここは自分たちの居場所ではないのだと心に植え付けられてきた人間のまさに血を吐くよう
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CURE キュア(1997年製作の映画)

3.9

どこか無機質で冷たく描かれた“日常”で起こる惨劇
他人の内側にあるものを引きずり出してしまう空っぽの男と、次々と彼に魅入られる普通の人々
その内なる衝動をさらけ出すことは果たして癒しと言えるのか…
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さんかく(2010年製作の映画)

3.9

倦怠期のカップルと2人の関係をかき回す15歳の少女
3人とも自分のことで頭がいっぱいで、愚かでダサくて痛々しいのに何となく憎めない
中学生(太賀)に投げられまくってようやく自分の馬鹿さ加減に気付く高岡
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コラテラル(2004年製作の映画)

4.5

冷酷な殺し屋と彼を車に乗せたタクシー運転手のまるでジャズセッションのような即興の一夜
僅かに、でも確かに響き合う心と心
トム・クルーズの孤独の表情に痺れる1本

こんなに面白かったっけ!?と嬉しくな
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メタボリックデカ(2017年製作の映画)

4.0

タイ発、メタボアクションポリスストーリー!
その体型のせいで犯人を取り逃がしたお肉大好き4人組。上官命令のダイエットを後ろ向きに取り組む4人の可愛さよ🥺
恋あり友情ありで最後にはちゃんとカッコイイ!?
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MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

4.3

とんでもないものを見たような
何も見ていないような
自分が見たものと誰かが見たものは同じものなのか
自分の記憶と他人の記憶の境界線はどこにあるのか
街の音、楽器の音、雨の音
静寂の中に響く音たちがいつ
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ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

美しい神殿やホテルを背景にナイル川を行く瀟洒な客船
限られた空間の中で次第に濃く浮き彫りになっていく乗客たちの歪な愛や情念が恐ろしい事件を巻き起こす…
謎を解くことで新たな悲劇を生んでしまうポアロの哀
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横道世之介(2013年製作の映画)

3.9

「またね」と別れてもう何年も会っていない友人がいる
仲良かったのに名前すら思い出せない人もいる
それでも今の自分があの映画監督が好きで、あの国が好きで、あの食べ物が好きなのはその人たちの影響かもしれな
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Ribbon(2021年製作の映画)

4.0

自分が心血を注いで創ってきたもの、享受できるはずだった喜びや達成感を突然奪われる虚しさ、そして希望を何とも言えない絶妙な軽やかさで描くのん監督の才能に驚きました。
エンドロールではそんなのんさんのコロ
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さよなら、人類(2014年製作の映画)

4.0

『さよなら、人類』
39枚の絵画からなる紙芝居のような物語
白塗りの登場人物たちが繰り広げる小さな日常は滑稽だったりクスッと笑えたりどこか物悲しい

トーンを抑えた無機質でどこか優しい映像は何かを雄弁
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ホモ・サピエンスの涙(2019年製作の映画)

4.5

『ホモ・サピエンスの涙』
困ってる独裁者も、機嫌の悪い歯医者さんも、愛ゆえの束縛ビンタおじさんもみーんな同じステージに上げて、愛だって悲しみだって永遠に人それぞれで普遍だって事を教えてくれる
宇宙人が
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GAGARINE/ガガーリン(2020年製作の映画)

3.7

取り壊しの決まったガガーリン団地
宇宙飛行士を夢見る16歳のユーリは、母親から見放され友達がいなくなって最後の一人になっても大切な思い出のつまったこの団地を残そうとあがく
夢と繋がることのできる唯一の
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