れんさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

れん

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(2023年製作の映画)

4.2

映画という型からはみ出すように何にも囚われていない自由なマインドが生み出す不思議な面白さ。登場人物たちの真面目さと不真面目さと滑稽さの歪なアンサンブル。首に執着する人々の姿。秀吉、秀長、官兵衛の3人が>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

広島国際映画祭2023ジャパンプレミアにて鑑賞。成り立ちからしてかなり挑戦的で独創的、創造性の高い作品。抽象的であり具体的。不穏でありながら自然の美しさを際立てるような素晴らしい音楽が想像力を掻き立て>>続きを読む

劇場版 シルバニアファミリー フレアからのおくりもの(2023年製作の映画)

3.6

愛が生まれ育つ場所としてのシルバニアファミリーが持つテーマ性が凝縮された手堅い一作。創造スキルがすこぶる高いことに驚くが、まずは行動し創造することで進み出す物語、そして失敗、反省、気付きを経験しながら>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

センス溢れるオープニングクレジットから高揚感が高まる。ルーティンと心構え、心情を淡々と見せていく退屈な冒頭の掴みがとても味わい深く素晴らしい。溜めに溜めた準備、狙いからのクールに決め込む大失敗の流れ、>>続きを読む

マーベルズ(2023年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

最強、無敵であるが故の弱さや苦悩を描く。マーベルズたちの軽やかで爽快な入れ替わり共闘アクション、ミュージカルな文化、癒しの猫ちゃん大量発生シークエンス、ユーモア溢れる要素が散りばめられ肩の力を入れずラ>>続きを読む

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

4.8

生理的居心地の悪さ、呆れるほどに見ていられないくらい痛々しい承認欲求の数々。次第に肥大化していく承認欲求は様々な姿に形を変え表出する。周りから注目されたいという欲が盲目的に肉体変容と共に、もう後戻りで>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

3.7

自分の中にある考え方、新たに生まれてくる価値観、触れたことの無い世界観、線引きされた様々な境界線を行ったり来たり浮遊しながら彷徨う感覚。想像力の幅が拡張していくような感覚と自分自身が持つ想像力の乏しさ>>続きを読む

バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

4.2

自分の在り所を揺らぎ迷いながらここでは無いどこかへと旅立つ。今自分が置かれている現状を確認し何度も自分自身と向き合う、問いかけ合う。創造することで閃き輝いていくバーナデットの姿、眠る時に些細なことが気>>続きを読む

バカ塗りの娘(2023年製作の映画)

4.3

片岡礼子さん舞台挨拶付き上映にて鑑賞。青森を舞台とした地方映画としての魅力や津軽塗の魅力が大いに詰まった映画として、塗っては研いでを繰り返して作り出す過程のように丁寧でチャーミングな作品。津軽塗製作過>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

戦後にゴジラが現れるという設定の新鮮さ。ひとつひとつが大きくのしかかり、畳み掛けるように襲ってくる絶望。圧倒的な脅威を目の前に打ちひしがれながらもその負の感情、負の連鎖を断ち切きるために、未来を生きる>>続きを読む

PIGGY ピギー(2022年製作の映画)

3.9

怒りと憎しみ悲しさ悔しさ、そして優しさ。様々な感情が入り乱れ同居し悩み苦しむ。思春期特有の制御不能な分からなさの募る敏感な思い、小さな田舎町で起こる大きな事件。サラにとっては魅力的に映る殺人鬼との間に>>続きを読む

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

4.8

理不尽な世の中に反撃のカウンターパンチを食らわす歪で不格好な頼もしい家族の物語。何度も押し殺してきた本音、想い。色んな場所、場面で色んな自分を演じる。それはこの社会で自分を守るため、生き抜くための術、>>続きを読む

エリザベート 1878(2022年製作の映画)

4.3

不自由で息苦しい水の中から自由で形のない水の中へと羽ばたいていく。エリザベートはたまたヴィッキー・クリープスを見る、彼女らがこちらを見る映画であり、何度も型にはまった人生から抜け出そうと映画からはみ出>>続きを読む

ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

4.3

冒頭から美しくも緊迫したバレエシーン、同時に展開していくある出来事にある種共犯関係的になりながら主人公の気が気では無い気持ちを目の当たりにする。オープニングの入り方もなかなかにエッジの効いた演出で変に>>続きを読む

わたくしどもは。(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

非常に詩的で上品な画作りに魅せられる。記憶をなくした2人が辿る迷える魂の旅路、曖昧に紐解かれていく過去。神秘的で現実離れした世界観の表現、異界の雰囲気に説得力を持たせるキャスティング、小松菜奈と松田龍>>続きを読む

彼方のうた(2023年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

かなり挑戦的な余白と省略。1カット1カットが丁寧に的確に映し出されると同時に様々な方向から想像でき、広がっていく登場人物たちの関係性や背景。限定的なひとつひとつのショットの中には何か起こっている場面も>>続きを読む

ミツバチと私(2023年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

感情の機微がとても複雑で繊細に描かれる。ひとつひとつ生まれてくる小さな感情たちは時に嬉しく優しい心の癒しとなり、時に苦しく悲しく心を傷つける。そしてその小さな体では受け止めきれないくらいにとてつもない>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.6

安定感のある重心がしっかりと据えられた作劇でマーティン・スコセッシ監督イズムによる映画リズムの奏で方が何とも心地よく素晴らしい。映画の撮り方を熟知した演出の数々に感心し惚れ惚れしながら知的好奇心を刺激>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

4.4

圧倒的SFセンスと有りそうで無かったビジュアル、それを持ってして鮮やかに凌駕していく世界観構築力の妙。解像度の高いグレイグ・フレイザーによる美しい撮影、世界観を盛り上げ高揚させるハンス・ジマーの素晴ら>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.6

どれだけ自分は現実と向き合うことが出来ているだろうか。そう自分自身に問いかけられずにはいられない鋭さで突きつけられる。終始ホラーテイストで暗闇に包まれた画作り、それを不気味に照らす月の光。照らされた事>>続きを読む

キリエのうた(2023年製作の映画)

4.5

地に足の着いた現実感とそれを覆い尽くし、そこに力強く立ち上がり、柔らかく浮遊する独自な岩井俊二世界が圧倒的。そして世界観の独自性を説得力ある形で決定づけるアイナ・ジ・エンドから発せられる破壊力抜群の歌>>続きを読む

ほつれる(2023年製作の映画)

5.0

意識的に、無意識的に見ないように見えないように目を背ける。画面に映るもの、映らないもの、見せる見せない取捨選択の妙。奥行きのある人間模様とぼんやりしているようで深度のある感情の現れ、揺れ動きがじりじり>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

4.5

表現の自由を体現する美しき悪夢のような映画。絶え間なく変容していく不気味でグロテスクな映像に心底驚く。変容する過程、変化の細胞までじっくりと描く。完成系などないクリエイティブな時間で埋め尽くされる。背>>続きを読む

戦慄怪奇ワールド コワすぎ!(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

劇場でコワすぎを見れることの喜びが大きい。今作も大盤振る舞いのエンターテインメントが詰まっていた。工藤、市川、田代のチームに胡散臭い霊能者、頼もしい霊能者たちの掛け合いが相変わらず面白く、どんな怪異に>>続きを読む

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

5.0

こういうジャンルに不可欠な溜めを見事なまでにホラーとして転用させてみせる巧妙さに唸る。冒頭シークエンスから、かっこよさを身にまとい、ほとばしる狂気性を帯びるマッコールさんの佇まいに鳥肌。小さな町での平>>続きを読む

BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

3.8

安藤サクラの立ち居振る舞いの全てがかっこよく、素晴らしい。脇役に至るまで印象に残る役者たちの演技の素晴らしさと魅せ方。聞いているだけで耳に残るリズミカルな関西弁の気持ち良さ面白さ。重厚で骨太な物語に加>>続きを読む

オペラ座 血の喝采 完全版(1988年製作の映画)

4.4

ダリオ・アルジェント監督の究極に研ぎ澄まされた美的センス、現代においても新鮮に感じる演出の切れ味に釘付け。斬新で大胆なカメラワーク、全編に鳴り響くオペラ、残虐シーンの唐突なハードロックでのボルテージ上>>続きを読む

コカイン・ベア(2023年製作の映画)

3.7

冒頭からこの作品の方向性を決定づけるおふざけ具合に爆笑。緩く軽やかなノリ、決してテンポが良い訳ではない、面白すぎないくらいの塩梅がちょうど良い。エゴをまき散らし災害をもたらす有害な人間たちをお陀仏にし>>続きを読む

猫と、とうさん(2022年製作の映画)

3.9

猫の魅力を過剰摂取できるドキュメンタリー。猫を飼い、溺愛する男性たちの姿を追いながら文化の違いや男らしさとは何かを解体していく。猫との暮らしの中で癒されていく心、彼らが猫に向ける温かな眼差しの数々。非>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.2

次々と数珠つなぎ的に繰り広げられる狂ってるとしか言いようがないアクションの応酬にクラクラする169分。このスクリーンに映し出される映像は異常で異様な空気を醸し出す。強靭で屈強、化け物級な体力、アクショ>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.9

実話を元にした最強に胸アツなレーシング青春映画。ストリートなアングラ感、メカが加速し鼓動する毒々しさ、ニール・ブロムカンプ監督の世界観が良いバランスで配された手堅い王道サクセスストーリー。デヴィッド・>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

5.0

刺激的な渋さに痺れながら画面に映し出される魅力的なビジュアル、ガジェット、全ての要素が性癖に刺さりまくる。デヴィッド・クローネンバーグ監督によって構築された無敵すぎる世界観がたまらない哀愁を放つ。飲み>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

4.6

映画で史実を語るということ。フィクションを通して映し出される現実に打ちひしがれる。史実が持つ力強さと映画に宿る力強さとが結びつき、作品としての歪さが表出しながらも加速度的に強度が増していく。この作品に>>続きを読む

MEG ザ・モンスターズ2(2023年製作の映画)

3.6

ジェイソン・ステイサムという巨大な安心感、信頼感を持ってして成り立つ巨大ザメたちとの死闘を大いに楽しむ娯楽作。無謀で果敢な変なおじさんたちがわちゃわちゃと頑張る姿にほっこりする不思議な感覚。

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.7

ウェス・アンダーソンが放つ独自な世界観の抜かりなく隅々まで冴え渡る切れ味。陽気で異様な雰囲気と異常な情報量。フィクションでしか語ることができないことを強調させる構造。感情の平行線に隠した裏側には自分自>>続きを読む

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.6

2人にとっての親密な距離感は特別であり、大切であり、ありふれた日常の中のひとつ。そんな関係性に色をつけたがる周囲からの視線が2人の僅かな隙間から入り込む。意識せざるを得なくなった今までとは違う精神的な>>続きを読む