れんさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)

3.6

くたびれたサンタによる心優しき残虐クリスマス物語。アクションの見応えはさすが87ノース・プロダクションズ。ゴア描写もなかなかのB級感で刺激的。強いけど強すぎないデヴィッド・ハーバーサンタの泥臭さ。

ハロウィン THE END(2022年製作の映画)

4.0

ハロウィン新3部作の完結編。青春色の強い趣きを見せ、ほのかなラブストーリーが散りばめられる。現代を舞台にしながらも古さを感じさせる手触りはハドンフィールドの町がそのコミュニティ独自の価値観に囚われ、閉>>続きを読む

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)

4.0

息子の未来を思い、幸せを願う父親の切実さが胸を打つ。窓という限られた枠の向こう側に広がる様々な他者の人生、その人生を見ながらより良い可能性を探し照らし合わせる。父親から息子へ向けられる眼差し、息子から>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

5.0

全てのはみ出し者たちに手を差し伸べ、個性を光輝かせ、優しさで包み込む感無量の完結編。感情が落ち着かないほどに揺さぶられ続ける彼らの旅路。認めあっているからこそのいがみ合う掛け合いの心地良さ。団結した時>>続きを読む

トリとロキタ(2022年製作の映画)

5.0

気が気では無いただならぬ緊張感の連鎖、起きている出来事を即物的に捉えていくことで高まる残酷さ。物悲しくも儚い、健気で温かい姉弟の強い繋がり。社会との繋がりを保とうと許すことは出来ない悪しき搾取構造や差>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.9

馴染み深いマリオの世界観を誰もが幅広く楽しめるように構築されたアトラクションムービー。トライアンドエラーを繰り返してクリアして行くゲームの楽しさをそのまま映画に落とし込み横スクロールからの立体的な広が>>続きを読む

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.5

出てきた瞬間から炸裂するいい加減で情けない姿に呆れながらもみるみるうちに魅了されていくから不思議。フィルムで映し出される荒さと哀愁漂う匂い、巧みなカメラワークと面白ズームによって爆笑を引き起こす緩急が>>続きを読む

The Son/息子(2022年製作の映画)

4.2

自分自身でもどうしようも無い、行き場のない感情、理解しようのない心の中で響きわたる叫び。知らず知らずのうちにいつの間にか助けを求めるように軋み出し、暗闇に支配される心。様々な問いを突きつけられる。ハン>>続きを読む

ヴィレッジ(2023年製作の映画)

3.8

暗く淀んだ閉塞感が充満する村で渦巻く闇。村という世界で凝り固まっていく常識やルール、悪しき慣習、囲い込まれ抜け出せない負の連鎖が心を蝕んでいく。鋭くも悲しみに溢れた眼光で睨みつける優を演じる横浜流星の>>続きを読む

世界の終わりから(2023年製作の映画)

4.2

この世界への不信感、不条理、絶望感を悪夢的に煮つめた頭から離れない映像ビジュアル。外連味溢れる映画的面白さと破綻しているようにも見える構成の歪さ、味わったことあるようで味わったことの無いテイストの奇妙>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

4.8

80年代の最強ポップミュージックで彩られ、エアジョーダン誕生の裏側を紐解きながら心地よすぎるテンポ、高密度な会話劇で魅せる。攻めと守り、まるでスポーツのようなお仕事映画であり、一切途切れのない面白さが>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.0

不安定に沈みゆく巨大な悲しみの肉体はやがて難破して孤島に取り残される。死期が迫る孤独な魂は過去に犯した罪の意識に苛まれ必死に赦しを追い求める。異様さを放ちおぞましさを何重にも纏ったその姿の中に見えてく>>続きを読む

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

4.0

いつものようにM・ナイト・シャマラン監督独自の視点、解釈、惹き付けられる設定が癖になる面白さを醸し出す。不気味なクラシカルさと可笑しみ、温もりや優しさも感じとれる後味の奇妙さは唯一無二。確かな演出力と>>続きを読む

スマイル(2022年製作の映画)

3.6

不気味な笑顔が不安を増幅させていく。強烈なトラウマを抱えた呪いは振り払おうにも振り払えない負の連鎖を招いていく。王道的なジャンプスケアで手堅い作りと印象的なビジュアルの数々。自分自身の過去と向き合いな>>続きを読む

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

4.3

役割というものを丁寧に描き、それぞれ各キャラクターの個性、魅力が活き立つ。自分には何ができるのかという問い直し、見つめ直し、その時の状況に応じた最適解を導く。個性たちが混ざりあって生まれるコミュニケー>>続きを読む

エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

3.9

第1作目のイメージを最大限に活用し新たな形へと転用させて見せる展開の見事さに驚く。前日譚でありながらしっかりと続編としても機能する粗も含めて完成された作品。前作から引き続いてエスターを演じるイザベル・>>続きを読む

少女は卒業しない(2023年製作の映画)

5.0

あの場所でしか広がらなかった世界、青春の終わりに思いを馳せる。全て閉じ込めたあの頃の香りが漂い、思い出したくない思い出も、いつまでも浸っていたい思い出も、意地悪にこじ開けられるような、そうでなくとも自>>続きを読む

ピンク・クラウド(2021年製作の映画)

3.4

突如として現れた殺人雲によって崩壊していく日常。現実とのリンクをもろに感じながら閉鎖的空間で繰り広げられる地獄。日常とともに精神が徐々に疲弊し壊れていく狂気。

小さき麦の花(2022年製作の映画)

4.2

今にも消えてしまいそうな灯火、2人だけの世界、2人だけの孤独感が増していく度に息づいていく生命力、温かさ。貧しい暮らしの中で互いに労り合い優しさを向け合い支え合う。そんな姿をカメラは静かに、かと思えば>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.3

環境や立場、その時の状況によっていとも簡単に崩れ去る人間同士の力関係、全編に渡って容赦なく散りばめられる皮肉の数々が粒だって集結しスパークしていく人間の滑稽さやエグ味を突きつける。己のプライドや尊厳を>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

4.8

Winny事件を題材に事件の顛末と金子勇という人物を実直に丁寧に描き、映画という的確なフォーマットで訴えかけてくる。湧き出てくる興味や好奇心の純度の高さ、スイッチが入ると止まらない好きという気持ちを体>>続きを読む

マッシブ・タレント(2022年製作の映画)

4.8

最高濃度の生き生きと弾けるニコラス・ケイジを堪能できるエンターテインメントに富んだ素晴らしき娯楽作。終始どこか懐かしみのある楽しく愉快な作劇でニコラス・ケイジという人物の厚みがもたらす可笑しみと哀愁が>>続きを読む

長ぐつをはいたネコと9つの命(2022年製作の映画)

4.6

胸が高鳴る高揚感、外連味溢れるアクションの爽快感。自由闊達、縦横無尽に巡るカメラワークの中で物語を推し進めるアクションの繋がりが最高に気持ち良い。つきまとう死への恐怖、老いへの恐怖に打ちひしがれながら>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.8

冒頭から勢いのあるテンションで駆け抜ける掴み、矢継ぎ早に繰り出される庵野秀明監督の好きが全面的に切り貼りされる圧倒的独自性。説明的なところはとことん説明過多で、余白があるところはとことん想像力を必要と>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.8

凄まじい勢いで迫り来る漲る生命力を浴びる。ポール・ヴァーホーヴェン監督最新作にただただ圧倒される、心を鷲掴みにされる映画的興奮と喜びがこれでもかと詰め込まれている。またしても強靭な作品が生み出されたこ>>続きを読む

FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.7

ジェットコースター降下までのあのじりじり感のように音や編集で巧みに恐怖を増幅させる隅々まで行き届いた高所演出の数々にいつまでも気の抜けない気が気でない緊張感が走り続ける。まさに手に汗握るを地で行くエン>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.2

多元宇宙を慌ただしく駆け巡る、到底頭では処理しきれない、理解できない膨大で壮大で複雑に分岐する世界構造、そこに内包される悪夢的カオス。交わることの無い様々な世界に生きる自分との遭遇。有り得たかもしれな>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

5.0

スティーヴン・スピルバーグ監督による自伝的作品。決定的に映画史に影響を与え続けてきた純粋な想像力と探究心の眼差しは映画の心を掴み、観客の心を掴み続ける。スピルバーグ監督の人生が優しくも残酷に紡がれてい>>続きを読む

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

3.9

冒頭から撮影ロジャー・ディーキンス、音楽トレント・レズナー、アッティカス・ロスの才能が遺憾無く炸裂し、思わず涙が溢れてくるほどに美しすぎるショットとメロディのコラボレーションに心奪われる。想像以上に繊>>続きを読む

アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

4.2

ジョージ・ミラー監督最新作にして怒りのデスロードとは全く趣の異なる味わいなるも確かに流れるしっとりとした狂気、深い悲しみと孤独、愛情を描き、監督の領域の広さと懐の深さに驚かされる。語り手と聞き手、物語>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.9

全身から溢れ出す感情が音に乗り、多大なる熱量とパワーを持って伝わってくる。最も個人的な感情や熱い思いが音楽となって現れる、ジャズの自由さや素直さ、奥深さに触れ、圧倒的な体験としてパワフルに響く。ライブ>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

5.0

艶やかでクールな鮮やかさ。美しき変態性を帯びながら、じっくり加速しお互いの世界観や魅力に惹かれ、取り込まれていく歪なラブストーリーに陶酔する。直接的な描写を抑え想像させることでより強調される色気。目で>>続きを読む

アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

3.6

MCUフェーズ5の幕開け。量子世界のミニマムで壮大な尺度、アントマンらしい軽やかさ。画的なバリエーションへの慣れ、乏しさが目立ち、作品全体がふわふわとした印象。今作ではカーンの魅力はそこまで感じられな>>続きを読む

ドリーム・ホース(2020年製作の映画)

3.6

朝起きた時にワクワクできるもの。くたびれた心に癒しをもたらし活力を与えてくれる夢や希望、心から打ち込めること。ドリームアライアンスを通じて生き生きとする町の人々の輝きにほっこりする。

バビロン(2021年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

夢を見る者たちが満たしたい欲望、移りゆく時代の変化に翻弄されながら夢の果てまで到達したとき苦味を伴いながらも溢れんばかりの映画愛を浴びせられる。1920年代ハリウッドの美しい側面と下世話で醜悪な側面を>>続きを読む