れんさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

れん

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ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

4.0

ポジティブに幸せでいるための気づき、認め合い。弱小チーム、負け犬たちが再起する姿、もたらす奇跡、サッカーを楽しむ引いては生きること、人生を楽しむ、その清々しさにじんわり心穏やかになる。おおらかでいて個>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.2

制御不能で邪悪な夢旅路。不安や恐怖、暴力に出くわし怯えながら危険地帯をくぐり抜け、行けども行けども辿り着かない安全地帯。でたらめに構築された夢のようでいて周到に張り巡らされた支配。ボーが巡る痛ましく気>>続きを読む

カラーパープル(2023年製作の映画)

3.9

暗闇の中を明るく彩るように切り開いていく逞しさ力強さ。本来持っている人間の強さ、それを取り戻すように、自分の存在を証明するように踊り表現し高らかに歌い上げる。スピルバーグ版とは異なる大胆なアプローチ、>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

5.0

包み込む優しさに包み込まれる温かさに救われていく気持ちたち。ついうっかり見過ごしてしまいそうになる日常の素晴らしさ、ささやかな生活に柔らかな光を照らしながら尊い世界の息づかいを感じることができる。人と>>続きを読む

犬人間(2022年製作の映画)

3.5

どうやら暮らしには不自由のない潤沢な生活を送っている好青年らしき人物の住処に何やら違和感のある犬。その様子はなんともシュールでありながら当たり前のように生活に馴染んでいる。初めからなのか、ある出来事に>>続きを読む

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

4.5

リバイバル上映にて劇場鑑賞。ジェシーとセリーヌ、この後2人が辿る人生の一部分、行く末を知ってるが故に初々しくも残酷さが増していく輝かしい出会いに悶絶する。束の間の存在である2人がお互いに話が合う気が合>>続きを読む

ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

4.2

ローリング・キティのまっすぐさ、誠実さも見てとれるそのひとつの希望に団結し立ち上がる。ゲームストップ株騒動をユーモア交えて的確な演出、音楽、軽快なテンポ感で描き出していく。強欲な富裕層に普通の人々が反>>続きを読む

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.9

雄大な銀世界で莫大な金塊をめぐる弱くて強い者たちの物語。ビジュアル、画作り、漫画実写化としての表現はかなり力の入った満足度の高い仕上がりで驚く。冒頭、戦場シーンの泥臭さ血なまぐささが漂うスペクタクルな>>続きを読む

ショーイング・アップ(2022年製作の映画)

4.8

リジーを忙しなく取り巻くあらゆる関係性、結びつき。隣人ジョーとの芸術家として意識しながらも保たれる適度な距離感、気ままな飼い猫、思わぬ形で訪れる鳩への愛着、個性的な家族の心配事、ひとつの事に集中したい>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

低体温で無機質さも感じられる少し突き放したソリッドな冷たさ、ローなテンションで彩られ切り取られるシュールでユーモア溢れる人間ドラマ。痺れるほどにかっこいい音楽使い。独特な空気感にのまれながらアンサとホ>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.5

沈黙は悪くない。孤独や行き場のない思いを抱えながら静かに彷徨う。心の拠り所となるように手を差し伸べ優しく丁寧に寄り添い、導いていく。その温もりや愛情を少しずつ吸収し受け取っていく。深く傷ついた心の痛み>>続きを読む

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)

4.0

似たもの同士だからこそ全く噛み合わない母と息子。近しいようで遠い関係性。ズレが生じたまますれ違い続ける。家族内での孤独、断絶。ホラーのようにグロテスクな程に押し出される自己愛の強さ、理想の押しつけ。自>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

脳がかっぴらく物語体験、映画体験。エマ・ストーンの芯のあるスマートさクールさに心打ち抜かれ、MCU世代のイメージ象から遠くかけはなれたギャップを見せるマーク・ラファロに哀れなる笑みがこぼれる。ヨルゴス>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.5

歌うことに思い悩む中学生とヤクザが織り成す思いがけない青春に胸が熱くなる。突如として現れた可愛いヤクザとの歪な歌唱レッスン模様が微笑ましく、癒される。X JAPANの「紅」を解体しながら本質を深め、2>>続きを読む

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

4.2

海でも陸でも豪快に大量に繰り広げられるアクション、冒険活劇の多幸感を浴び味わう。ジェームズ・ワン監督がもたらす動き回るカメラワーク、外連味溢れる演出の切れ味は健在。アクアマンことアーサーの子育て奮闘記>>続きを読む

ムーミンパパの思い出(2021年製作の映画)

3.5

自由を渇望する眼差し、変化を求めて世界へと冒険に出る心意気。トーベ・ヤンソンの作家性や思いが根底に流れる世界観は見ていて羨ましく愛らしい。キャラクターたちのクセの強さに加え、なかなかに荒唐無稽で快速な>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.8

美しく豊かな自然に溶け合い融合していく温かな友情。スローテンポながら人々の慎ましくも逞しい営みを切り取り、暖かい温度のあるスリリングでサスペンスフルな表現の塩梅、開けた視野で雄弁に語っていく見事さ。ス>>続きを読む

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

4.0

常に頭をフル回転させながら、もがき苦しむように、この地獄のような世界でも生き続けるツチヤの正に怪物のように破壊的で、がむしゃらな姿が荒々しくも輝かしい。止まってしまえば死んでしまうのではないかというく>>続きを読む

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

4.2

ひたすら寡黙に、しぶとく屈強に、ナチス共をぶっ飛ばしていく泥臭さと爽快さ。戦争への憎しみ、戦争との決別を強く決意する眼差し、死ぬことを拒むように諦めないシスという不屈の精神、強靭な思いの強さで立ち上が>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

4.5

抗えない環境の中で市子として生きたいと願う痛烈な叫び。様々な視点から見えてくる、浮かび上がってくる市子の人物像。断片的な情報から滲み出る計り知れないほどの痛み。悪魔と称される生き抜く術、その瞳の奥底に>>続きを読む

サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.9

王道フォーマットの中でしっかり景気よく残虐に描写してくれる人体破壊にはもう笑うしかない。イーライ・ロス監督が調理し仕掛けてくる心に残る大盤振る舞いな人体破壊大喜利を大いに楽しむ。冒頭に起こる惨劇のエン>>続きを読む

終わらない週末(2023年製作の映画)

4.2

奇妙なカメラワーク、不穏な音楽、唐突なカット割り、様々な角度から不安にさせる心理スリラー。ジュリア・ロバーツ、イーサン・ホーク、マハーシャラ・アリ、そしてケヴィン・ベーコンという豪華俳優たちが集う、物>>続きを読む

コーポ・ア・コーポ(2023年製作の映画)

3.7

ほのぼのと緩く、それでも何かしら様々な悩みを抱えながら生きる人々の群像劇。悩みゆくもの同士が互いに絶妙な距離を保ち合いながら緩くも強い繋がりや連帯を感じる関係性。ユリを演じる馬場ふみかの脱力感も心地よ>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

4.6

強烈で衝撃的な毒っけ。青春学園映画の匂いも醸し出しながらそんな単純に輝かしい青春模様を描く訳がなく、何やらまた奇妙で不気味に不穏な気持ちにさせてくれるバリー・コーガンが圧倒的な存在感で物語を牛耳る。バ>>続きを読む

マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

4.5

レナード・バーンスタインの半生を描きながら家族への愛、そして妻フェリシアの物語を奏でていく。とにかく主演、監督を務めるブラッドリー・クーパーの才能が炸裂している凄み、フェリシアを演じるキャリー・マリガ>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.3

静かに始まる朝、木漏れ日、繰り返される日常、ルーティン。耳を澄ますように世界の音を聞く。平山の日常を覗き見て、自分との日常、生活、無意識に行っているであろう癖や行動に照らし合わせながら見るのも面白い。>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

4.2

双子兄弟YouTuberの監督による現代的な視点と感性、降霊術をドラッグに転用させて描写する新鮮さ。特級呪物な手を握ることで霊を憑依させる、明らかに悪い方向にしか向かわないであろう行為をいとも簡単に悪>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

5.0

作品から感じる温もりや柔らかく、そして鋭く伝わってくる様々な感情、空気感。素敵さに満ち溢れている。丁寧に丁寧に込められた思いは自由と想像力を体現するトットちゃんのように伸び伸びとアニメーション表現とし>>続きを読む

ウィッシュ(2023年製作の映画)

3.8

ディズニー100周年記念作品。ひとつの節目、区切りとして懐かしく感じるオマージュが散りばめられ、ある種古めかしい舞台装置や王道物語を展開していきながらメタ的な視点持ってタイトル通り願いを描いていく興味>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.2

おぞましいダークな世界観に残酷で残虐な描写のハードさ、今の世の中と重ね合わせるように、地続きであるという恐ろしさ。エンタメ性を存分に保ちながらも攻めた内容、表現で好感度が右肩上がりになっていく。妖怪の>>続きを読む

ほかげ(2023年製作の映画)

5.0

戦争の傷痕、戦争の残り香が克明に映像として記録され迫ってくる。禍々しさとおどろおどろしく生々しい匂いが立ち込める。塚本晋也監督の作品は映し出されている物語、世界の匂いを漂わせることによって迫力のある現>>続きを読む

ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

4.4

根底に優しさが穏やかに流れる、豊かなイマジネーションでささやかな夢を分かち合い叶えていく至高のミュージカル映画。鮮やかな色彩とハートフルでキャッチーなミュージカルナンバーの数々に心打たれながら、ロアル>>続きを読む

MY (K)NIGHT マイ・ナイト(2023年製作の映画)

3.9

他人だからこそさらけ出すことができ、自分自身と向き合うことができる、互いに解放され、癒し癒されゆく心。非常にエモーショナルにウォン・カーウァイを強く感じさせるカメラワークで一夜の煌めきを切り取っていく>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

4.2

ナポレオンの半生を流石の手腕で語っていくリドリー・スコット。見事なまでに完成されたナポレオン像をホアキン・フェニックスが素晴らしく体現する。その姿は偉人としての側面だけではなく1人の人間、1人の男性と>>続きを読む

エクソシスト 信じる者(2023年製作の映画)

3.7

オリジナルに敬意を払いながら真面目に誠実にエクソシストした手堅い一作。場面の繋ぎ、編集に遊びがあり魅力的。取り憑かれ壊れていく様をドキュメンタリータッチで捉える生々しい怖さ、緊張感。なかなかに身体的に>>続きを読む