SPNminacoさんの映画レビュー・感想・評価 - 19ページ目

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マーティン・エデン(2019年製作の映画)

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無学な船乗りマーティン・エデンは愛する女性と出会って一念発起、知性に目覚め学び、作家を志す。前半はディケンズの「大いなる遺産」って気がしたけども、原作はジャック・ロンドン。確かに階級格差、搾取労働、社>>続きを読む

ドラキュラ(1992年製作の映画)

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ヴォイスオーバーにオーバーラップ、暗転やディゾルブを多用し、セット美術と大仰な演出演技がサイレント時代の怪奇映画風。ゲイリー・オールドマンとアンソニー・ホプキンズ、トム・ウェイツがその過剰なスタイルに>>続きを読む

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

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アーロン・ソーキン作品といえば膨大な台詞量で掛け合う群像劇。即ちチームもの、ある意味スポーツ映画と捉えてもいい。会話の応酬にはピッチャーとキャッチャーがいて、お互い腹の内を探り合ったり、反発しながら信>>続きを読む

地獄への逆襲(1940年製作の映画)

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『地獄への道』のスピン・オフ的な映画で、伝説的な“ジェシー・ジェームズの暗殺”後、フォード兄弟に復讐する兄フランクが主人公。かつてジェシーとフォードの関係をなぞるように、兄フランクにも無法者に憧れ行動>>続きを読む

エノーラ・ホームズの事件簿(2020年製作の映画)

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名探偵の妹エノーラ、はじめての大冒険。ミリー・ボビー・ブラウンが元気一杯、喜怒哀楽豊かにコミカルな愛嬌を振りまいて、大胆な勇気と頭脳と体力、格闘スキルで謎を解く。原作同様、映画のテイストもYA向け。
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Mank/マンク(2020年製作の映画)

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『市民ケーン』を模して時系列を交差させ、缶詰となったベッドで執筆するマンクことハーマン・J・マンキーウィッツと、ハリウッドで彼が出会う様々な業界人の世界を並行する構成。つまり、2本の脚本が同時進行。新>>続きを読む

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

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映画にとって音響が如何に重要か。サイレントからトーキーへ、モノラルからステレオへ、そしてデジタルへ…まだ音響効果など軽んじられてた初期から、監督と共に拘り抜いた音響クリエイター時代へ。各時代の変遷を辿>>続きを読む

ポルトガル、夏の終わり(2019年製作の映画)

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女優フランキーを中心に、ポルトガルのシントラに集まった人々の断片的な会話がやがて一つの像を結ぶ。美しい夏の風景に散らばった彼女を取り巻く淡い人間模様。ほぼ2人ずつの関係性に焦点を当てた群像劇で、フラン>>続きを読む

ラ・ヨローナ ~彷徨う女~(2018年製作の映画)

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グアテマラ軍事政権下での虐殺に、泣く女ラ・ヨローナの怪奇伝承を重ねて語る暗黒の歴史。証言者は顔を隠し声を上げ、行方不明者は声もなく顔写真だけ。女たちは手を取り合って祈り、元将軍の私邸をシュプレヒコール>>続きを読む

セメタリー・ジャンクション(2010年製作の映画)

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1973年英国、アグリー・ダーティ・タウンの青春群像。この惨めな街セメタリー・ジャンクションで親父みたいになりたくない。そう思いながら家を出られない工場労働者ブルース、成り上がろうと保険外交員に転身し>>続きを読む

ホモ・サピエンスの涙(2019年製作の映画)

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ロイ・アンダーソン『さよなら、人類』に続き、ショート・ストーリーが連なる構成。それぞれのエピソードに神視点っぽいナレーションが添えられ、まるでタグ付けされた人間図鑑だ。罪も孤独も絶望もささやかな希望も>>続きを読む

シンデレラ(2021年製作の映画)

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既成曲をマッシュアップしたジュークボックス・ミュージカル仕立てで、お伽噺やキャラクター自体も大幅にアップデート。
独立起業を夢見るシンデレラことエラ、結婚こそ女の幸せと押し付ける継母、しきたりに反発す
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オールド・ガード(2020年製作の映画)

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世界を救うため暗躍する不死身の軍団。『ウォッチメン』っぽくてスケールでかいけど、メンバーは4人+新人の小規模でちょうどいい。率いるは最高齢のシャーリーズ・セロン。クールでタフで影のあるカリスマ性と貫禄>>続きを読む

グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告(2020年製作の映画)

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<デ・ニーロおじいちゃんと孫>シリーズ第2弾?お下品だった『ダーティ・グランパ』よりずっと対象年齢低め、ほのぼのしたファミリー・コメディ。もっと過激にエスカレートするのを期待したが、あの手この手で挑ん>>続きを読む

博士と狂人(2018年製作の映画)

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メル・ギブソンとショーン・ペン。喧嘩したらどっちが強い?…じゃなくて友情を育む物語。メルギブはオックスフォード英語辞典を編纂するスコットランド人学者マレー、ペンはアメリカ人の元軍医でPSTDにより心を>>続きを読む

エイブのキッチンストーリー(2019年製作の映画)

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母方はユダヤ系、父方はパレスチナ系、両親は無宗教でブルックリンっ子の僕は料理に夢中!そんな12歳のエイブがブラジル人シェフのフュージョン料理と出会う。料理日記がTumblrってのがイイ。
ユダヤ教にも
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フィールド・オブ・ドリームス(1989年製作の映画)

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文学的なモノローグ、シンプルでマジカルな演出、そして緑のトウモロコシ畑とゆっくり移り変わる空色のグラデーションを捉えた美しい撮影。失われたイノセントを取り戻す物語。とてもアメリカらしい景色の、これぞア>>続きを読む

ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢(2020年製作の映画)

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音楽業界を舞台に、人生とキャリアに自信が持てない3人が一歩踏み出すまで。ワーキング・タイトル製作らしく、爽やかに夢のあるフィールグッド・ムービー。
大御所スターのグレースとプロデューサー志望で付き人マ
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カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇(2019年製作の映画)

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宇宙からは隕石、外からは環境汚染、家の中では家父長制、どこを向いても有毒で逃げ場なし。超常現象と家庭の闇が合体したホラーに若干スティーヴン・キングみがあるけれど、趣はかなり違う。
森の一軒家に住む家族
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ベケット(2021年製作の映画)

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ジョン・デヴィッド・ワシントン、テネットの次はベケット。恋人と訪れたギリシャで何故か命を狙われる身となったベケット。撃たれたり岩場を転がったり蜂に刺されそうになったりナイフで刺されたり…もう大変。特殊>>続きを読む

ウィッチサマー(2019年製作の映画)

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確かにウィッチでサマーではある…のだが、それより『裏窓』で『ブレアウィッチ・プロジェクト』で『パラノーマル・アクティヴィティ』で『シャイニング』で『ボディ・スナッチャー』で『IT』でもあった。ヨットハ>>続きを読む

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

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ハンターの異物を飲み込む衝動には、背景にある様々なストレス要因をたっぷり見せつける。裕福な御曹司のトロフィー・ワイフ、義父母には見下され、抑圧的に管理され、出自のトラウマを隠し、頼れる人もなく、卑屈に>>続きを読む

プレイタイム(1967年製作の映画)

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都会のビルディング、紳士淑女の集団は羊飼いに誘導される羊の群れのよう。建物から車、オフィス、ファッションまでシルバーグレイの色調で統一され、その中を黒いスーツのビジネスマンや同じような格好の観光客など>>続きを読む

オキシジェン(2021年製作の映画)

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ここはどこ私は誰?と、極低温カプセルの中で目覚めた女。閉所密室サヴァイバル映画は棺桶だったり車のトランクだったり色々あるけど、これは近未来SF風ルックだ。装置に繋がれ身動きできない女は、医療AIと電話>>続きを読む

デ・パルマ(2015年製作の映画)

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デ・パルマ自身が製作順に自作を語る。各作品のメイキング話はその場面と併せてニヤニヤするのだが、監督したノア・バームバック&ジェイク・パルトローの視点はなく、一方的に喋った講義映像って感じ。編集のせいか>>続きを読む

オーディブル: 鼓動を響かせて(2021年製作の映画)

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強豪アメフト部があるメリーランド聾学校のドキュメンタリー。スローモーションやフラッシュバック、細かいカットのカメラワークが美しくドラマティックで、まるで劇映画を観るようだ。
アメフト部のエース、ブロン
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欲ばりなだけの恋じゃなくて(2020年製作の映画)

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望みは高いけど叶わない女子とお金持ちイケメン王子様との恋は、『プリティ・ウーマン』を下敷きにしてあるみたい。ゲイの親友、初デート前のクローゼット・ファッションショウ、ウェス・アンダーソン風シンメトリー>>続きを読む

その手に触れるまで(2019年製作の映画)

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急進的なイスラム原理主義に傾倒し、ジハードへ突き動かされる少年を臨場感たっぷりにカメラが追う。こないだまでゲームしてた子がどうしてそうなったかよりも、どうしたら止められるのか。その危うい背中をハラハラ>>続きを読む

侵入する男(2019年製作の映画)

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侵入者ものというより、家を買ったら元の主が付いてきた不良物件スリラー。下調べもせず家買っちゃいかんよ…。
デニス・クエイドがあからさまにヤバい人で、隠す気がないので緊張感がまるでなかった。ジワジワと周
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魔女がいっぱい(2020年製作の映画)

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ロアルド・ダール原作なので元々ブラックでダークな面はあるだろうが、このゼメキスの映像化は子供には怖すぎるんじゃないか。かつて鶏に変えられたおばあちゃんの友達、大魔女アン・ハサウェイの怪演がグロテスクな>>続きを読む

パピチャ 未来へのランウェイ(2019年製作の映画)

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90年代アルジェ。友達と大学寮を抜け出しクラブで遊ぶネジュマだが、イスラム原理主義の弾圧が彼女たちの行く手を塞ぐ。検問から張り紙、脅しからテロと一気に加速する抑圧と暴力。ささやかな自由を楽しんでいたネ>>続きを読む

ラリー スマホの中に棲むモノ/カムプレイ(2020年製作の映画)

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短編『Larry』を基にしたジェイコブ・チェイス監督の初長編。不気味な絵柄のデジタル絵本や音楽はやたらホラーを煽るのだが、まったく怖くない。むしろ、そんな演出は必要なかった気がする。孤独な少年と孤独な>>続きを読む

ミッチェル家とマシンの反乱(2020年製作の映画)

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変わり者一家というかクセの強い家族がAI反乱軍から人類を救う。映画学校へ進学するケイティと恐竜ヲタクな弟、アナログ自然派のパパ、怒らせるとメチャクチャ怖いママ&クセの強い犬&何故かロボットのコンビが笑>>続きを読む

トラフィック/ぼくの伯父さんの交通大戦争(1971年製作の映画)

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前作からまた時代が進み、長髪の若者が働く自動車工場にユロ氏はいる。陽気で長閑なイージーリスニングも激しいロックに。といっても、お馴染みのトレンチコートにパイプと傘を携えたユロ氏だけは変わらず、まるで年>>続きを読む

リトル・ジョー(2019年製作の映画)

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『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』みたいかと思ったら、植物版ボディ・スナッチャーだった。動かない植物だけにその変化は見逃してしまうほど小さくて、気付いているのかいないのか、幸せなのかどうなのか、よく>>続きを読む

フィアー・ストリート Part 1: 1994(2021年製作の映画)

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モールにマスク殺人鬼で始まり、『スクリーム』から『フラット・ライナーズ』『パルプ・フィクション』まで90年代のオマージュだらけ。主人公の仲間はチアリーダーとナードとボンクラという編成も90年代学園映画>>続きを読む