sasaさんの映画レビュー・感想・評価 - 18ページ目

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ロスト・ボディ(2012年製作の映画)

4.5

"何か"が起こった死体安置所から消えたある女の死体。夫が自然死に見せかけて殺したと疑う刑事。殺したはずの妻が生きていて復讐していると恐れる夫。絶えずちらつく何者かの影。二重螺旋のような双方の疑念の果て>>続きを読む

豚とふたりのコインランドリー(2021年製作の映画)

3.9

20分ワンカット。陽光差す台北のコインランドリーの一角で、2人の男女が織り成す会話劇。音や言葉や表情から、街の気配や2人の人生がじんわりと感じられ、心地良い余韻が残る。

日々と雲行き(2007年製作の映画)

4.0

貧すれば鈍す。突然のお金の心配をしなければいけなくなったときの焦燥感と苛立ち、夫婦の対照的な感情の時系列にとてもリアリティがある。失職中の「お金が減っていく焦り」と「無力感」は人間を変えてしまうのだと>>続きを読む

ソルト(2010年製作の映画)

3.3

展開は二転三転するが、全体的に強引だし後出しだなあという印象。細かいことを考えなければ、スパイアクション映画としてはそれなりに面白い。

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

3.4

日本人の、とりわけ子供の視点から見た"神への信仰"という概念を、雪国の静謐さをバックに描く。神社にお参りするシーンやユラが怒りを見せるシーンなど、日本人特有の無意識な「祈りの軽視」の描写が等身大。>>続きを読む

マダム・イン・ニューヨーク(2012年製作の映画)

3.9

ニューヨークの街中や家庭での、インドらしいカラフルでポップな装いがかわいらしい。
一見ジェンダーロールがテーマのように見えて、"多様性の尊重"だの"マイノリティの尊重"だのいうデカい話ではなく、目の前
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福耳(2003年製作の映画)

3.4

鏡世界を利用して入れ替わりを表現するやり方で、顔を見合わせるものはよく見るけれど、ワンカット(風?)で繋いだり同じ画角に収める手法は個人的にあまり見たことがなかったので面白かった。特に浅草寺での、見切>>続きを読む

エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)

3.8

感動も恋愛もそっちのけでふざけた設定を最後までやりきって突っ走ってくれる、韓国アクションコメディのお手本のような作品。「張り込みのために始めたチキン店が大繁盛してしまう」というあらすじに惹かれて鑑賞し>>続きを読む

もらとりあむタマ子(2013年製作の映画)

4.7

「家族」の描き方が非常に精密。仲が良いとか悪いとか再婚への反発とかいう小手先のドラマに頼らず、口には絶対に出せないけれど絶対に消えない親子の愛情を丁寧に丁寧につくり上げている。
タマ子が自分の将来に向
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ミモザの島に消えた母(2015年製作の映画)

3.1

母親の情動や、兄妹にとって母親がどのような存在だったのかなど、この手のテイストのフランス映画にしては心理描写の描き込みが少なく、ではサスペンスとして観るべきかというとそうでもなくて、展開は穏やか、伏線>>続きを読む

ミックス。(2017年製作の映画)

3.2

対戦相手のキャプションや無駄に豪華なキャスティングなど、日本らしいコメディ映画としてはなかなか悪くないのでは?と思っていたが、途中から変に感動モノにしようとして失速。そもそもキャラ設定が浅いのだからヒ>>続きを読む

ガタカ(1997年製作の映画)

4.2

1997年の映画とは思えない映像美……!
管理社会×身分詐称という設定に殺人事件という要素を加えることで、サスペンスに必然性が生まれストーリーがぐっと締まる。"ごめん 風にさらわれた"や搭乗検査、焼却
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音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!(2018年製作の映画)

1.5

カメラワークも声量もギャグの寒さも酷すぎる。キャストと勢いで誤魔化そうとしているのが余計に腹立たしい。シンプルに駄作。

フィッシュマンの涙(2015年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

意外と社会派な魚人間奇譚。ミュータントの絶望や孤独よりも、彼の意思などつゆ知らず利用したり騒いだりする人々の滑稽さにフォーカスした場面が多く、ある種の風刺映画であった。作り物の魚の顔が間の抜けた哀愁を>>続きを読む

タクシードライバー(1976年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

夜のニューヨーク、不眠症、ジャズ。所謂フランス映画を「女の好きそうなフンイキ映画」と乱暴に呼ぶのなら、これが「男の好きそうなフンイキ映画」にあたるだろう。孤独や放浪、支配できない女性への怒りと畏れ、銃>>続きを読む

カーリー・スー(1991年製作の映画)

4.2

『ペーパームーン』のテイタム・オニールを彷彿とさせるおしゃまな女の子、カーリー・スーの無敵のかわいさ……90年代のアメリカンコメディらしい展開、バスタイムや映画館のシーンのようなコミカルで印象深いカッ>>続きを読む

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

3.8

「あなたは人の善意を信じますか?」という展示をモチーフに、人の無自覚な悪意を皮肉たっぷりに表現するという入れ子構造。ストックホルムの美しい街並み、慈善活動で金を募る人、その横で眠る物乞い。キツめの社会>>続きを読む

キングス・オブ・サマー(2013年製作の映画)

3.4

自由と独立を求めて森で生きようとする少年たちにぴったりなタイトル。強烈な個性はないものの、綺麗な映像と後味のよさが光る良作。ラストシーンも良い。

万引き家族(2018年製作の映画)

4.5

寄せ集めの家族は家族になれないのか?本当の家族と暮らすことが本当に幸せなのか?
どんなつながりであろうと、これこそが家族なのだと信じられる「柴田家」をつくり上げた脚本と演技力にただただ脱帽するしかない
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レインマン(1988年製作の映画)

4.7

ダスティン・ホフマンの名演、トム・クルーズのどんどん柔らかく寂しげになっていく表情、チャーリーとレイモンドの過去と現在を結びつける洗練された脚本……数年ぶりに鑑賞したけどやはり名作中の名作。

ATARI GAME OVER アタリ ゲームオーバー(2014年製作の映画)

4.0

アタリ社倒産の元凶であり、大量の不良在庫が埋められているといわれる伝説のクソゲー『E.T.』の発掘と製作エピソードに迫るドキュメンタリー。史上最も愛されたクソゲーとも言えるだけに、当時の関係者たちの">>続きを読む

search/サーチ(2018年製作の映画)

3.9

SNS、検索エンジン、動画サイト、……と全てがPC画面の映像から構成されている。ただ今風で奇抜な設定というだけでなく、匿名インターネットという海の中から手がかりを見つけ出そうとする心許なさや、オンライ>>続きを読む

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)

-

前情報なしで観たら何が何やら……ミステリーなのかサスペンスなのかと思っていたらメタ映画とは。
ひとつひとつの場面が絵画的かつ人生史のようだなと感じていて、分からないなりに荘厳な美しさに圧倒されていた。
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死神ターニャ(2013年製作の映画)

4.3

わざとらしい独特の台詞回しがどんどん楽しくなってくる。涙の許容範囲がだいぶ広かったり、金属バットで殴られても普通に生きてたり、貧乏神やら疫病神やらが出てくる(それも設定としてちゃんと活きてる)など、縛>>続きを読む

アデライン、100年目の恋(2015年製作の映画)

4.0

上品で情緒豊かなファンタジー+ラブロマンス。ブレイク・ライヴリーの妖艶さが最高すぎ……話の筋こそ比較的平坦ではあるものの、ブレイク・ライヴリーとハリソン・フォードの"それぞれが生きてきた時間"を感じさ>>続きを読む

月曜日のユカ(1964年製作の映画)

4.5

和製ゴダール的ヌーヴェルヴァーグ! 明らかにフランスのそれを意識した軽快な音楽や大胆なカット割り、奔放な性愛描写、そして加賀まりこのみずみずしい存在感! ジェーン・バーキン、アンナ・カリーナに比肩する>>続きを読む

チャプター27(2007年製作の映画)

3.9

狂気がうねってうねって昇華するまでの歪んだカタルシス。自我の平衡を失い人間性が崩壊した人物の精神を濃く描いた作品は大好き……。
ジョン・レノン暗殺事件はもちろん、小説『ライ麦畑でつかまえて』や映画『ロ
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ハロルドが笑う その日まで(2014年製作の映画)

3.7

北欧ブラックコメディらしい、すっとぼけたシリアス喜劇。大自然の恐怖を常に目の当たりにしている分、人間のいさかいがちっぽけに映るのかもしれない。
復讐に燃えるがどこか抜けているハロルド、嫌味なやつなのに
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散歩する侵略者(2017年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

シュールでスローな地球侵略にしたいのか、政府要人の登場とか爆破シーンがあるサスペンスフルな作品にしたいのか、全体的に世界観がちぐはぐ。シリアスな割には設定の甘さが気になるし、最終的に『愛を知らない宇宙>>続きを読む

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

3.6

きみと寝たいよ~ばっかり、甘ったれエセハードボイルドのミシェルが気持ち悪くて堪らなかったのが、「君を見つめてる」と言ったあとシーツを被るシーンでときめいてしまった。悔しい。
独特のカット割りや男女の関
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教授のおかしな妄想殺人(2015年製作の映画)

3.2

ウディ・アレンには珍しいブラックコメディとはいえ、やはりポップでコミカルな恋愛劇という彼らしさがベースにあるので、ペシミストたる主人公の心の闇が薄っぺらく感じてしまう。口当たりの軽い彼の作風が好きな人>>続きを読む

鍵泥棒のメソッド(2012年製作の映画)

4.0

全裸で宙を舞う香川照之。ダサくてピチピチのチェックシャツを着る香川照之。メインキャスト3名と荒川良々のどうにもすっとぼけたテンポ感が良い。全体的な空気感や小ネタの回収の仕方が、伊坂幸太郎映画や『ジャー>>続きを読む

名探偵ピカチュウ(2019年製作の映画)

3.8

ネオ・トーキョー感あふれるサイバーパンクな街で暮らす、異常にモフモフなポケモンたち。ポケモンのいる世界に行ってみたいというポケモン世代の憧れを具現化した点だけでなく、メジャーからマイナーまで様々なキャ>>続きを読む

ブリティッシュ・サウンズ(1969年製作の映画)

3.3

所謂プロパガンダ映画は初鑑賞。反資本主義・反男性主義と闘争をゴダール的映像でストレートに訴える。経済学には明るくないので、(共感するかどうかはまた別として)映像としてだけでなく社会主義思想の教科書とし>>続きを読む

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)

2.9

このレビューはネタバレを含みます

几帳面で自意識過剰、セクシーな外見で嘘が上手、というサイコパスの表層的な特徴はきっちり描かれている一方で、彼の深層心理の描写がほとんどない。これはラストで罪の告白を無視される「他者への無関心」と「埋没>>続きを読む