しゅんさんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

JUST ANOTHER(2020年製作の映画)

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ライヴハウスの淀んだ雰囲気が割と苦手で、自分がバンド活動から離れた理由の一つだと思う。排他的なコミュニティ感覚も同様。でも、この原爆オナニーズのドキュメントは、ライヴハウスで行われてきたことの尊さを思>>続きを読む

星の子(2020年製作の映画)

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芦田愛菜が海に向かうところと両親を探すところ。二つの一人で歩くシーンの印象が強い。海岸と講堂の中で彼女は全き一人で、あのぽつんとした感触がこの映画で一番伝わってくるものだった。編集で繋がれたいくつもの>>続きを読む

遊星からの物体X(1982年製作の映画)

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手が食いちぎられてから火炎放射器が故障する流れ最高だな・・・。ヘリを映すカメラの揺れとイッヌの穏やかなランから緊張感をため込んで、やりきるところで特殊グロ演出をとことんやりきる。その手加減のなさがマジ>>続きを読む

ジオラマボーイ・パノラマガール(2020年製作の映画)

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原作はもっと乾いた感じだった記憶あるんだけど、やけにじめじめの「青春」寄りだなぁ・・・そして渋谷や沿岸部の街の映し方と語り方がどうにも馴染まなくてそわそわするなぁ・・・という感覚が最後まで持続していっ>>続きを読む

れいこいるか(2019年製作の映画)

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とにかくあらゆる人を受け入れていく。その感じが『夫がツチノコに殺されました。』と通底していて泣けてしまう。長い年月の後で部屋で抱き合う二人(しかし老けた感じをほぼ出せていない、だがそれでいい)のエロく>>続きを読む

空に住む(2020年製作の映画)

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多部未華子・岸井ゆきのコンビが最高なのでそれ以上いうことは特にないのですが、中島美緒の撮影が素晴らしかった。調べてもほとんど情報出てこないけどこれが初クレジット作かな?冒頭の、監視カメラのような斜め上>>続きを読む

大盗賊(1961年製作の映画)

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女二人の尻を追いかけることよりも、組織のリーダーになることが致命的だな。60年代は悲劇的にせざるを得ないんだろうな。彼の運命としても、映画の面白さとしても。『バクダッドの盗賊』もそうだけど、盗賊モノは>>続きを読む

危険を買う男(1976年製作の映画)

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編集リズム変な気もするんだけど、ベルモンドがカッコいいからなんでもいいや。最高。過去を語らないところが好き。しかし、何故かザコでチンピラの男の子に友情を示していて、そこで過去を語っている。気がする。と>>続きを読む

ヴィトゲンシュタイン(1993年製作の映画)

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昔哲学の授業で(遅刻して途中から)観た。今観ると切ないなぁ。真ん前から撮るカットが多いけど、横から映すカットが挿入されているのが良いリズム。バカバカガールズ好きだなぁ。

少女ムシェット(1967年製作の映画)

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『バルタザール』と続けてみたら、こっちはすんなり入ってきた。ムシェットの動作が印象に残る。靴の泥をうしろにはねる、校門で同級生に土を投げる、コーヒーを無造作に飲む。そして抱きついた後で左手を添える。後>>続きを読む

バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)

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「映画史に残る大傑作」と呼ばれるものに意気込んで挑むと途中で眠たくなる不思議。目の前で起きていることはわかるのに、流れが繋がらずに苦労する。おそらく、ブレッソンの省略のモードに入り込めてなかったと思わ>>続きを読む

オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

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めちゃ気になる映画だ。ビル・マーレイを魅力的に、だけど批判的に映し続ける。車の暴走とメキシコ探訪の爽やかさが苦々しさに変わる。ハッピーエンドなのに解放感がない。良い。

『マリーアントワネット』のコス
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さらば箱舟(1982年製作の映画)

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時計がとにかく寺山!ちゃんとガルシア・マルケスしてる。囲碁してる時と川の上に立ってる原田芳雄が良い。
最後好き、クストリッツァみたい(多分どっちもフェリーニからきてるけど)

草迷宮(1979年製作の映画)

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母とセックス。寺山のテーマ炸裂。赤の鮮烈と戸の開く感じが鈴木清順感。撮影はツィゴイネルワイゼンより先かな?

やっぱ三上博史だった!

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)

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『たかが世界の終わり』が2017年一番しんどかった映画なのに、今年公開された2本はどちらも良い。どうしたドラン。
地味といえば地味な話だけど、窃視のカメラ視点やライターのシンクロが喜劇性を高める後半が
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グラン・トリノ(2008年製作の映画)

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「みんな大好きグラン・トリノ」ってイメージをもってたけど、映画の中でも「みんな大好きグラン・トリノ」だった。どんな立場でもどんな血筋でもみんなあの車が好きという世界。そして若い奴はみんなラップが好き。>>続きを読む

ダーティハリー(1971年製作の映画)

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やっぱりこの時代高い建築物からはじまる映画多いなー。話は結構陰惨なんだけど楽しく観れちゃうのはラロ・シフリンの音楽がサイコーノリノリだからですね。
青と茶のコーディネートと遠くから若い女を見つめる視線
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許されざる者(1992年製作の映画)

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これ観ない限り「正義」も「罪」も語れないだろうと思わされる。傑作、と言わざるを得ない。雨の中の闇の深さが、雪に覆われた風景が、イーストウッドの顔の皺が、凄い引力で迫ってくる。こんなに静謐な印象なのに1>>続きを読む

ブラッド・ワーク(2002年製作の映画)

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ありえないほど執拗なサイコパス殺人だけど、これも人間の一つの在り方として受け入れるべきだって気持ちになるな。

しかし、イーストウッドのカメラと編集ってなんでこんなスムーズなんだろ。動きが気持ちいいん
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ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)

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これ撮った後にシャロン・テート事件が起きたのは流石に不穏すぎるな。60年代後半は高い建築物を移動しながら映すカットから始まる映画多い気がする。シャブロルとかにもあった。

前半のミア・ファローの脚の撮
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VIDEOPHOBIA(2019年製作の映画)

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物語も不可解だけど、話の筋とは別に不可解なところが色々あって、後々尾を引く感じがある。ひらかたパークで友達と遊ぶところとか、話としては必要ないように思えるのに割と長く時間取ってたりする。最初の2カット>>続きを読む

ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった(2019年製作の映画)

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The Bandという稀有な足跡を音楽界に残したバンドのブラザーフッド。あくまでロビーの視点で語られる物語だけど、偉大なバンドの色々面白い話が聞けるし、音楽好きは観て損はない。これを観るとザ・バンドが>>続きを読む

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

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原作からかなり改変されてて驚いた。キム・ジヨンが家族に守られてる、夫視点でのドラマが多い、そして何より医師が女性(原作は男性医師のカルテという体)。主にこの三点により、サイコスリラー感が薄まり、感動ド>>続きを読む

BLACKPINK ライトアップ・ザ・スカイ(2020年製作の映画)

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「4人ともめちゃ最高、スキ…💖」と「BLACKPINKというお仕事、不自由すぎる…👿」に引き裂かれてる。自由なBLACKPINKになりたい。
元々はジェニー好きですが、ジスの喋り方がツボで応援したくな
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人数の町(2020年製作の映画)

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プールのシーンの最初、男たちがモグラ叩きされてるところを映すカットがなんか気持ち悪くてとても良かった。ヌメっとした時間感覚が忘れ難い。あと、音楽が支配道具として出てくるけど、あのノイズの入り方はかなり>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

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黒沢清はずっと「戦争なき世界に戦争を持ち込む」作家だったということを、この映画の自然さから認識した。気がする。それにしてもよくできてたな。

軍隊の目を見開いて顔を突き出す敬礼は実際に行われたものなん
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ヴィタリナ(2019年製作の映画)

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飛行機のインパクト、テネットよりアガる。ヴィタリナはマイルス・デイヴィスに似ていると思った(『ネフェルティティ』そっくりのカットあった)。
「家」と「手紙」はペドロ・コスタ作品で常に大きな役割を占めて
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鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

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最初の雨のところから構図が気持ちいいし編集のテンポに乗せられるしで、ただただ楽しく見ていた。気持ちよかった~
血と傘、麺の手元、追跡シーンの微妙な距離感などの全体的なあほっぽさも好き。溝口とか清純とか
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

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発展途上みたいなところで終わっているのに達成感がある。ドラマ作りの巧みさかなー。
スケボーキッズ(と兄)が日常的に聴いているのは完全にヒップホップだが、聞こえてくるのはトレント・レズナー&アッティカス
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メイキング・オブ・モータウン(2019年製作の映画)

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スモーキー・ロビンソンって「天才」のイメージあったし曲も陰のある印象だったけどベリー・ゴーディとイチャイチャしてる感じがただの陽気なおっさんで最高だったな。80歳と90歳には見れないよな。『マイガール>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

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難解さに身構えて観に行ったら全然難しくなかった。ていうかお馬鹿映画じゃん!?
音がデカい、飛行機がデカい、身長がデカいの三拍子揃ってて楽しかった。あとサフディ兄弟『GOOD TIME』で最高だったロバ
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打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993年製作の映画)

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脚本がうまいんだろうなー。なんとなくの話知ってるのに勢いで最後まで持ってかれた。恋の話という体裁を崩さないまま幽霊譚の磁場に引きずり込まれてる。奥菜恵がボヤけた水面に溶け込む、これしかない感。

山崎
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ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

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シネスコの横長画面を活かした画面構成(テーラーの暗い部屋での三つのライトの位置!)も素晴らしいし、唐突に入り込む射殺シーン(テレビに打ち込まれる三つの弾丸!)もクールだし、持続する緊張感と強調された動>>続きを読む

あの優しさへ(2017年製作の映画)

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『呼応』『FLASH』『鉱』の傑作群の中で小田さんがどのような惑いと苦しみを感じてきたかを素直にテープレコーダーに向けていて、それを聞いていてとても勇気が出た。本人も言うとおり単独の作品として成り立つ>>続きを読む

ノイズが言うには(2010年製作の映画)

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処女作で自分自身と家族への残酷さに踏み込んだことに対する畏れを作家と観客が共有しているようで、とても不思議な時間だった。一歩引いて観れば、こうした実存の問題を前面に晒した作品は世に溢れているし、本作も>>続きを読む