空の落下地点さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

4.1

女子トイレで終わるのが良い。女性たちは捨てていい、身軽になっていい。髪を伸ばさなかったところに、自分自身への愛情が見える。

出産は一人で行うものじゃない。義母は暇そうなのに本だけ与えて側にもいない、
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死の谷間(2015年製作の映画)

3.0

恋愛が絡まないと本性は見えない。悪そうな人は悪くなく、純情そうな娘は純情でなく、善い人そうな人は....

卵は卵子を連想させ、つまりそれを盗んだり食べたりするというのは、初めからアンを奪うのが目的だ
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ゴールデンスランバー(2017年製作の映画)

3.1

小さな善人より大きな嘘吐き。地味な色より派手な色を、人は積極的に見ようとする。平和ボケから覚醒せよ。

過去に築いた信頼が味方になる。生の関わりは「イメージ」なんかじゃない。

真面目に正直に生きたい
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石の微笑(2004年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

関係性に対して責任を持つこと。一度、自らの意思で所有したなら最期まで責任を持って所有すること。産みの責任、ならぬ所有の責任。「君を手離さない」と言ってほしかったのはフローラなの。雨ざらしで放置されたっ>>続きを読む

ブエノスアイレス(1997年製作の映画)

3.9

やっと心が肉体に帰って来たね、ハッピートゥギャザー。
誰かと一緒なのでなく、自分の心と肉体が一緒であることを優先してね。
戦わなくても、勝たなくても、劣った人生なんかじゃないよ。

地球が丸くて本当に
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恋のモンマルトル(1975年製作の映画)

2.7

何で彼女たちはこの映画に出たんだろう?

元ボクサーの店長もゲイだと思う。
同性のみで御伽噺を成立させることの困難さを、もっと深掘りしてほしかった。

夢を壊す権利があるのは夢を見ている本人だけ。

反撥(1964年製作の映画)

3.0

狂ったのは世界が先か、彼女が先か。狂気は浸透する。

少女時代の眼・・・この監督のことだから、無垢な生物学的女などこの世に存在しないと言いたいのだと思う。男尊女卑をエンタメにして不思議と成立してる監督
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.0

小さな別れが雪だるま式に、大きな別れへと姿を変えてしまう前に。
気休めが毎夜のお薬と同じくらい必要な境遇にならないと、この映画の本当の有難みは解らない。つまり、気休めだなんてみんな解ってて、解った上で
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Ricky リッキー(2009年製作の映画)

2.9

このレビューはネタバレを含みます

おおかみこどもの雨と雪を思い出した。翼類として生きていく決断を尊重するラスト。そして、翼類として生まれてくることが不幸なことではないと確信したから次のベビーがお腹に。

飛ぶ鳥、食用の鳥、翼を食べる、
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恋する遊園地(2020年製作の映画)

3.1

世界中でたった独りぼっちだという気持ちを知っている人へ。

結局誰も、ジャンヌとジャンボが光で意思疎通してるところを目撃できなかった。でも共有できない世界が存在しない世界だとは言い切れない。

家に貼
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インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(2013年製作の映画)

3.0

猫の尾っぽが針となり、“ひと時”という名のレコードは再生され続ける。

「ユリシーズ」には意識の流れという手法が使われている。
フッサールとベルクソンによると、時間は流れであり痕跡を残さない。
以下が
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マイ・レフトフット(1989年製作の映画)

3.0

そのとき、振り子は傾いた。意思を持って、動きを止めた。

彼女のデートの相手はきっと、率直に気持ちを伝えてくれる人じゃなかったのだろうな。愛を言葉で示してくれれば誰でもいいという境地に達した者の前では
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

出所の時、半開きの入り口の画は奈落の口みたいだ。奈落はいつでも口を開けて三上を待ってる。

この世は大きな監獄で、人が死ぬときはみんな獄中死。三上は出所したけれど、本当の意味では誰も生きながら出所なん
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夕凪の街 桜の国(2007年製作の映画)

3.0

金魚は原爆に遭う前の時代の象徴。七波が旭を尾行する時の物理的な距離、この隔たりが全てを物語っている。現代人はその距離を埋めることができない。想像が実体験に追いつくことはない。打越との再会で交わされた感>>続きを読む

私をくいとめて(2020年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

私はこれ、現代版のおとぎ話だと思う。

ソフレに無性のアドバイザー...女性にとっての理想の世界を描いた物語。いざという時に積極的なのは、Aとの会話でコミュ力を蓄えてたからでもある。女性にとってのイマ
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ブロンド・ライフ(2002年製作の映画)

3.3

「仕事と恋を失ったら人生は終わりか?」
“紳士”の為の金髪ではなく、自分の為の金髪でなきゃ。

運命は障害物。道を変えればぶつからない。
恋愛相手と展望を180度変えたら、運命も180度変わるかもしれ
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Mommy/マミー(2014年製作の映画)

5.0

やっとグザヴィエ・ドランが天才と言われる所以が分かった。私は映画をそんなに沢山観てきたわけじゃないから、このスリム画面とワイド画面の使い分けが初出なのかオマージュなのかも判らない。でも初出なのだとした>>続きを読む

ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

元テニス選手の主人公は人格までもがアスリート気質だった為、人生や対人を試合として捉えていた。それ故に妻を対戦相手と見なし、死刑に追いやることが完全勝利であると。彼にとってラッキーだったのは、スワンが完>>続きを読む

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)

3.1

恋人と家族に言葉は必要だが、友人に言葉は要らない。友情をベースにしてその上に恋愛を築くことの難しさ。この映画における言葉とは、まるで原始人に与えられたスマホのようなもの。

見慣れたオフィスの片隅にあ
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明日に向って撃て!(1969年製作の映画)

3.0

自転車を捨て、馬を駆ろう。あるいはテクノロジーは銃撃戦の夢を見るか?

まるで夫婦のように運命を共にする二人。一方が危険なら、もう一方も危険になる。一方が得をすれば、もう一方も得をする。生きていく為に
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ポップスター(2018年製作の映画)

3.9

皆様に、悪魔の御加護を。

これは虐めっ子に媚びるのと全く同じ心理。悪から身を守るには、悪の仲間になるのが一番手っ取り早い。悪魔と取引して自らが新しい宗教になり、神の前にフィルターとして立ちはだかり、
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ジョン・F・ドノヴァンの死と生(2018年製作の映画)

3.0

ルパートはジョンを反面教師にしてる。ジョンから、堂々と生きないと自分を追い詰めることになると学んだ。恋人はジョンと堂々としたかったのに、ジョンは堂々と恋人と歩けなかった。

殴る直前の被害者の発言は全
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父、帰る(2003年製作の映画)

3.0

沈没船、羽根、死骸などの伏線の解り易さが初々しい感じがした。

父親はあの隠れ家で暮らしていたのではないか。家族にも言えない仕事というのは、見張り台もあることだし、機密に関わる仕事だったのかもしれない
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天国の門(1980年製作の映画)

3.2

天国の門を潜る時にやっと人権を得るだろう。

冒頭の卒業式、集会などで群衆は“黙らない”。この黙らないがキーワードになっている。どんなに立場が弱くても、不当な扱いに対しては誰も黙るべきではないという映
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ローズの秘密の頁(ページ)(2016年製作の映画)

3.5

凄く宗教的な話だった。ローズの日記、その愛の記録が聖書の中に書いてあるというのも愛=宗教。
マイケルは神様、精神病院は修道院。神を愛する修道女の如く彼女は生きた。
勲章を十字架と呼んでいるのも。

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アンティークの祝祭(2019年製作の映画)

3.5

あの女の子は、アンティークの精なんだ。観方を変えれば死神とも言える。一言も口きいてないのも不気味。
死にたい奴には死なせてやれという物語だったと思う。タイトルの祝祭は、神の御恵みとしての死を意味するの
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なまいきシャルロット(1985年製作の映画)

3.1

自分だけを見てくれる存在が欲しかったのだろうな。それがクララではなく親友だと気付いた。膝からの流血は伏線。自分の為に血を流してくれる存在が欲しかったの、シャルロットは。愛は不様なものだっていう映画。

小さな泥棒(1988年製作の映画)

4.3

音楽が儚い映画を永遠の思い出に変える、という趣旨のセリフがあった。この映画はずっと音楽が流れてるのが印象的。叔母さんが音楽や映画を馬鹿にするセリフもあって、この映画は音楽や映画を愛さない人々への攻撃な>>続きを読む

エレファント(2003年製作の映画)

3.3

象は銃規制反対の共和党のシンボル。NRA(全米ライフル協会)と共和党は20世紀から癒着している。
銃を規制しないとこういう悲劇が起こり続けるぞ、っていう映画だよね。

殺意の夏(1983年製作の映画)

4.1

目が悪いのは重要なファクター。低視力のエルが真実を“見誤った”。

二十歳前後の設定のエルが母親の乳首に吸い付くシーンは衝撃的。それを許す母親も。こんなことできるのは本当に愛し合ってるからで、母親は実
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ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)

3.9

最後のジョゼの表情に全く悲壮感が見えなかったことだけが救い。彼女の孤独は昇格したのだろう、思い出によって。

トイレの中でジョゼは恒夫の電話を聴いていた可能性があるし、カーナビを消して海に行きたいと言
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サンシャイン・クリーニング(2008年製作の映画)

3.3

堂々と生きよ。

ローズはチアリーダーだった頃も、そして今も、人を勇気づけて応援しているんだ。何も変わってない。見た目の華やかさが全てじゃない。

お母さんがウエイトレス役で出てる映像を観て泣くシーン
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SOMEWHERE(2010年製作の映画)

3.6

精神の幸福は、努力の対価だ。

才能にあぐらをかいた受け身な人間だからメソッドも気にしない、それが主人公マルコだ。これからはもっと努力し、もっと能動的に、攻めつつも節度をもって、娘の理想の父親に、そし
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ブラウン・バニー(2003年製作の映画)

3.4

夢に現実を持ち込んだ彼は、夢の中で懺悔に似たことをした彼は、夢と現実の境目を無くして前に進み始める準備が整ったのだろう。

死と性の物語。罪悪感がありながら、自分のせいで亡くなった妻をオカズにして欲情
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刑事ベラミー(2009年製作の映画)

4.0

ベラミーの真の姿は罪人なのか刑事なのか。ラスト、本当の姿を突き付けられた人間の顔をしているベラミー。King Gnuの白日の歌詞みたいな映画だったな。一生、呵責を抱えながら生きていくのが神からの罰だ。>>続きを読む

クリスティ(2014年製作の映画)

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戦闘映画のヒロインにおける恋人を殺されて以降の覚醒について。クリスティという新たな戦闘ヒロインの誕生。途中で逃げ手と追っ手が入れ替わるのもいい。