西村大樹さんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

西村大樹

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鬼畜(1978年製作の映画)

4.0

『鬼畜』タイトルが素晴らしい。
子を殺そうとするなど、鬼畜である。しかし、その鬼畜も人間であり、人間としての「情」がある。その中で迷うひとりの男。
『鬼畜』というタイトルにより、その心の迷いが見えてく
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燃えよ剣(2021年製作の映画)

2.0

1番評価したいのは、制作部である。人生で初めて、制作部を評価したくなった。よくぞロケ地と交渉して、許可を得たものである。
そして美術も評価したい。時代考証も合わせて、デザインから大道具、小道具を建て込
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ドーナツキング(2020年製作の映画)

5.0

アメリカン・ドリームを成し得た男のドキュメンタリーではない。
カンボジアの地獄のクーメル・ルージュ独裁時代から解放への流れ。アメリカの移民政策の話しまでかたられている。
カンボジアからアメリカへ渡った
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かそけきサンカヨウ(2021年製作の映画)

2.5

今泉監督のファンである自分。本作の感想は微妙なものになった。
今泉作品の大半は、恋愛から始まり物語が広がっていく、しかもそれが自然と広がっていくところにあると思う。
それが、今回は家族の存在を大きくし
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護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)

5.0

ピンク映画時代から、社会問題を扱うことが多かった瀬々監督の集大成。
東日本大震災という避けられない自然災害と、生活保護問題という人間が原因の事案を並べることで、避けられぬ問題と回避できる問題それぞれの
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野蛮人のように(1985年製作の映画)

4.0

まったくノーチェックだった。時間がありなんとなく見始めたのだが、食い入るように見入ってしまった。
とにかくカッコいい。これが日本のハードボイルド映画なのだ!薬師丸ひろ子がタバコを吸う姿だけでも、キマッ
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関東緋桜一家(1972年製作の映画)

3.0

全てはラストである。
藤純子引退作品ということで、東映オールスター出演作品となっており、しかも松竹から藤山寛美らまで出演している。出演者数が多いにも関わらず、綺麗に役を振っているのは、マキノ雅弘監督と
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ひらいて(2021年製作の映画)

2.5

観客の映画を観る力を試す作品である。
小説は行間に物語の本質があるように、本作は原作の行間を映像化しようとした、という感じ。しかし、小説と映画は違う。行間を映画で描くのは、それこそ小津安二郎クラスの才
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老後の資金がありません!(2020年製作の映画)

3.0

コメディ映画としては成功作だと思う。館内から笑いが何回も起きていたことからも、その成功さは分かる。
配役も見事で、いい役者さんを起用したと思う。
ただ、大切なテーマが疎かになっていて、結局は夢物語にし
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かもめ食堂(2005年製作の映画)

5.0

なんでもない話しなんです。それが物語になっている。
「なんでもない話し」と書いたが、もちろん物語はある。それが自然に流れるんです。だから、「なんでもない話し」になる。
観ていて大きな展開はない。しかし
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ハッピーフライト(2008年製作の映画)

4.5

公開時、矢口監督作品でもなんかテレビ局制作のアイドルコメディ色を宣伝から感じ観に行かなかった。バカでした、自分は。これは見事な矢口監督作品です。
こんなCAいるワケがない。しかし、このバカバカしさに可
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ONODA 一万夜を越えて(2021年製作の映画)

3.0

よく調べ、彼らの虚しい戦いをよく再現したとおもう。
上官の命令に従って、従順な兵士として描くだけでなく、彼らが生き抜くためとはいえ、行ってきた罪もきっちり描いているのもよい。
ただ、長い!色々と整理し
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道頓堀川(1982年製作の映画)

3.5

話し自体は絶賛するほど素晴らしくはない。しかし、カッコいいのだ。
深作監督といえばヤクザ映画の印象が強いが、『火宅の人』のような文芸映画も傑作が多い。もしかしたら、深作監督は文芸映画を撮りたかったので
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東海道四谷怪談(1959年製作の映画)

3.0

特別凄い物語が展開するワケではない。ただ、しっかりと四谷怪談を描いている。
当時の新東宝らしく、セットは随分簡素だが(苦笑)、脚本と演出によりそれらが気にならないようになっている。

血筋(2019年製作の映画)

1.5

分かるんです、監督の気持ちは。でもね、その気持ちが個人的なもの過ぎて、観ているこちらに訴えてこないんです。
多分、編集が悪いのだと思う。父ばかり撮るのではなく、父の周辺をもっと撮り、そこから父の姿を描
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鳩の撃退法(2021年製作の映画)

3.5

脚本がうまい。無茶な展開もあるが、それを力技でねじ伏せている。ただ、演出が上手くノれていない部分が。脚本が無理な展開を力技で切り抜けようとしている部分を演出は正直に力技を使わず描いている。
演出が脚本
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総理の夫(2021年製作の映画)

1.0

発想はいい。その発想だけで色付けせずに脚本を作った感じ。
妊娠し長期入院が必要になっても、首相代行を通じ指示を出すことはできる。女性の働き方改革を訴える女性首相が、あのような辞任の仕方をしていいのか?
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MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

5.0

水俣病を描いただけならば、そこまで評価しなかっただろう。大切なのは、落ちぶれたカメラマンという第三者の視点を置いたことである。
水俣病の戦いを第三者の視点から映すことにより、よりその背景が分かってくる
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

3.5

非常に素晴らしいテーマを選んだと思う。報道だけでなく、テレビが伝えることが作られたものだということを描き、ドキュメンタリーを撮ることの難しさも描いている。
が、問題は自分が映画を作る側だということだ。
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うみべの女の子(2021年製作の映画)

5.0

青春映画は数々ある。その軸は、大概が恋愛であり、恋愛こそが青春であると言わんばかりの作品ばかりだ。
本作は恋愛映画ではない。いや、ある意味で恋愛映画なのかもしれない。しかし、その恋愛は開いてしまった穴
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

4.5

まず、大前提として自分が戦う女マニアということがある。
アクションの素晴らしさは、誰もが認めるであろう。自分は、主人公ふたりを含めた登場人物たちの日常会話に注目したい。とにかく自然なのだ。普通の会話な
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草の響き(2021年製作の映画)

3.0

淡々と展開する物語に、退屈する人もいるだろう。確かに、中盤にひとつ大きな事件を生々しく描いた方が、観客を引きつけたかもしれない。
しかし、日々とは淡々とした毎日の繰り返しなのだ。なにか起きても、それも
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

1.0

シリーズ全作品を観ているが、こんなに酷い作品は初めてである。
確かに、いままでもボンドガールなどと呼ばれる女性との恋愛は描かれたことはある。しかし、本作はそれが過度過ぎるのだ。そのため、ボンドの行動が
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白頭山大噴火(2019年製作の映画)

4.5

脚本が素晴らしい。人間関係が整理できていないぶぶんもあるが、全体の流れを観たら綺麗に進んでいる。
韓国と北朝鮮の間で物語を完結させるのではなく、アメリカと中国め絡ませたのは上手い。ただ、現場のシーンが
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空白(2021年製作の映画)

4.0

凄く上手いんです。凄く優しいんです。それがマイナスなのです。
中盤から、無理矢理な方向転換をする。その違和感!なぜにそうなる!と言いたくなるラストへの展開。
中盤まで見事なんです。人間のイヤらしさを見
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ちょっと北朝鮮まで行ってくるけん。(2021年製作の映画)

3.5

北朝鮮側の制限が厳しく、なにか新しいものが映っている訳ではない。そして訪問する家族もそれに気づいており、言葉にかなり気を使っている。
国策である帰国事業という詐欺と言ってよい行為により引き裂かれた家族
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藁の楯(2013年製作の映画)

3.5

サスペンスアクション映画として、大変に良くできている。脚本の良さが、その成功の鍵だろう。
三池演出は、アクションシーンで三池監督らしらを感じる部分はあるが、ある意味での「三池色」はない。そのため三池フ
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マスカレード・ナイト(2021年製作の映画)

5.0

前作『マスカレード・ホテル』が想定外の傑作であったが、本作は予想外の傑作であった。
オープニングの数分は、なんか路線変更したのかとため息を吐いたが、それを過ぎたら前作とならんで見事な脚本展開!
本当に
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キネマの神様(2021年製作の映画)

2.0

山田監督の思い入れが強すぎて、「映画」として抑制できてきない。
特に脚本が酷い。すべてワザとらしいセリフ。構成も山田監督の独りよがりのご都合主義が見えてしまう。
作る意味はあったとおもう。しかし、山田
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BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

2.5

なんか、懐かしい青春映画を観た気持ちになった。逆に言えば、分かりやすすぎるということ。
展開は上手く、映画館でみたらなんとも思わなかっただろうが、周りに人がいない配信で観ると、ちょっと来るものはある。

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.5

村上春樹氏原作の映画化作品では、最も素晴らしい作品。
本作は、物語論映画と呼んでいい。言語も人種も、障害者すらいる舞台。しかし、舞台は字幕を入れることで観客には伝わっている。国を越えた舞台が軸にあり、
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濡れた荒野を走れ(1973年製作の映画)

5.0

もっと評価されるべき、ロマンポルノの隠れた大傑作。
なにより、長谷川和彦氏の脚本が素晴らしい。アナーキーで反体制。その脚本に澤田幸弘監督の演出が見事にノっている。
これがロマンポルノか?と思えるアクシ
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地球防衛軍(1957年製作の映画)

2.5

ミステリアンやモゲラなどのデザインが素晴らしく評価されがちだが、話しがどうも……。
そもそも、地球の代表として、なぜ日本が選ばれるのか?地球の代表者として選ばれるのが、なぜ日本人だけなのか?そのあたり
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宇宙大怪獣ドゴラ(1964年製作の映画)

3.0

炭素を餌とする宇宙生物、というアイデアが素晴らしい。
物語は多少強引なところもあるが、「本多監督は、本当はこういう作品を撮りたかったのでは?」という気持ちになるところも。
特撮は素晴らしい。特に橋が巻
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.5

コミューンを舞台にし、伝統という名の因習に飲み込まれた人々。
確かに異常な世界である。しかし、我々も巨大な国というコミューンにいるのではないのか?知らないうちに、因習に従っているのではないのか?
現代
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地獄(1960年製作の映画)

2.5

ザ・新東宝!
オープニングには、無意味なじょせいの裸!そこに出てくる、画面一杯の「制作総指揮 大蔵貢」の文字!
物語らしき物語は前半にしかない。後半は残虐シーンの連続!そして、なぜか挟み込まれる裸の女
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