西村大樹さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

西村大樹

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IDOL NEVER DiES(2022年製作の映画)

4.5

アイドル映画というと、「出演しているアイドルのファンが観に行くだけの映画」と思われがちであるし、実際にそのような映画が多い。
本作は紛れもないアイドル映画である。アイドルヲタでもある自分としては、たま
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ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

4.5

見事な娯楽映画。娯楽映画の鏡である。
予算がふんだんにあるから、このアイデアを映像化できたのであろう。
脚本が上手い。登場人物を紹介する部分が、自然に運ばれていっている。会話の中にどのような人物で、ど
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選ばなかったみち(2020年製作の映画)

1.5

この企画はなぜ通ったのか?そこから疑問が生じてくる。
いや、企画自体はいい。しかし、その企画のプロット段階でダメ出しをプロデューサーはしなかったのか?脚本を読んで、面白いと本気で思ったのだろうか?
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愛なのに(2021年製作の映画)

5.0

数年に1本、見終わった後にスクリーンを抱きしめたくなるような作品に出会う。本作を見終わった後、自分はスクリーンを抱きしめたくなった。
まず脚本が素晴らしい。何気ない会話の中に思わず笑ってしまう会話。そ
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GAGARINE/ガガーリン(2020年製作の映画)

3.0

発想は面白い。ただ、脚本が全体的に平板なのである。いや、盛り上がるところはある。見せ場もある。しかし、全体的に観たらそれが埋もれてしまっているのである。構成上の問題か。
演出も脚本に引っ張られているの
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さがす(2022年製作の映画)

5.0

冒頭部分、時間軸が多少ややこしい。正直その部分でマイナス評価を下そうとしていた。
しかし、その冒頭から次第に過去へと遡っていく上で、生きるということの意味を感じさせていき、同時に不思議な親子関係が心に
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シャブ極道(1996年製作の映画)

5.0

滑稽である。
人間というものは、なにか真剣になればなるほど、滑稽なことをしてしまうものである。シャブをスイカにまぶしたり、しゃぶしゃぶのタレにシャブを混ぜたり、シャブ入りの性感クリームを作ったり、本人
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マヤの秘密(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

オープニングからラストまで、元から尺が決まっていたのかと思うようなほど、間がなくズンズン進んでいく。必要な間すら削ってしまっていて、いい意味ではスムーズに流れつつも緊張感はあるけれど、悪い意味ではジッ>>続きを読む

ホテルアイリス(2021年製作の映画)

4.0

一言で言えば、観念的恋愛映画……というところか。
脚本に説明不足の部分。例えば、その人物がなぜそこにいるのか?などの説明が欠けている部分が気になった。人間関係の描き方をもう少しと深めて欲しい。
エロテ
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若妻日記・悶える(1977年製作の映画)

1.5

幻のブルーフィルム『風立ちぬ』は伝説と言っていい。その監督の物語というのならば、期待してしまうのは当然である。
イメージ的に表現された法廷シーンは見事である。撮影中に釣り人がやってきてしまうなど、「い
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私、アイドル辞めます(2021年製作の映画)

1.5

これは、プロデューサーが悪い。この物語を35分に収めようというのが無理なのだ。
すべてが唐突に、映画の断片を観ている気持ちになる。ドルヲタとしての立場に立てば分かる。しかし、モノローグにより物語を語ら
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

5.0

やはり前作と比べてしまう。そのため、最初は観る予定ではなかった。だけれど、周りの評判の良さに押されてみてきた。
観て正解であった。
恋愛ミュージカルの王道という路線は残しつつ、より人種差別や移民問題を
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大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)

2.5

まず、この映画最大の失敗は予告編だと思う。
予告はまるでリアルな怪獣処理を描いた映画かと思わせる作りになっているが、実際はコメディ映画であり、パロディ映画でもある。
中盤までは、恋愛要素に邪魔なモノを
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嘘喰い(2022年製作の映画)

3.0

物語的にはたいしたことは無い。ただ、それを見せる目中田監督の演出力には脱帽する。
役者陣も見事で、白石麻衣など可愛らしさと恐怖感を見事に演じ分けている。出資に乃木坂46合同会社が入っていたのは苦笑した
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麻希のいる世界(2022年製作の映画)

3.5

すべてはラストの展開である。
ラストに至るまで、人間関係の整理ができておらず、どうもややこしくなっている部分がある。何より、主人公が何の病かも説明されていないというミスなのか、考えていなかったのかとい
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ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021年製作の映画)

3.5

台詞もカット割りも見事。観ていて気持ちよく笑える。
ただ、シリーズ物の宿命。いままでのシリーズを観ていないと分からない部分が多々ある。それをクリアできなかったのはつらい。
編集のタイミングが上手く、台
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

2.0

脚本は面白い。役者陣もいい。ただ、演出と美術が足を引っ張っている気がしてた。
カット割りが単調なのである。物語を見せるために狙ってやったカット割りだとは思うのだが、それが上手くいっていない。変な長回し
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クレッシェンド 音楽の架け橋(2019年製作の映画)

4.0

映画は夢物語である。
パレスチナ問題の解決もまた、夢物語かもしれない。

全体的に急ぎ過ぎている感じがした。パレスチナ問題についての説明が少し必要だった気がする。
物語の展開も、なんかお約束通りの展開
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南京!南京!(2009年製作の映画)

5.0

素晴らしいのは、中国人監督が日本軍人を主人公に描いたというアイデアである。
南京で日本軍が犯した蛮行は、許されるべきではない。いわゆる反日映画として作られた部分もある本作でも、虐殺や暴行シーンが多々出
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太平洋の翼(1963年製作の映画)

4.0

この手の映画を戦争賛美映画なるレッテルを貼る人がいる。そのような人々は、観てから言っているのであろうか?
隊長は上層部による特攻作戦に反対をする。そして、制空権を奪い返す作戦を繰り返し進言し集められた
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赤頭巾ちゃん気をつけて(1970年製作の映画)

1.5

時代の映画である。この時代だからこそ成立している作品であり、今の時代の人が観てもどれほど面白く思えるか疑問である。
別に、その時代の映画が悪いわけではない。ただ、大島渚監督など時代を描きつついまだに評
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幕末(1970年製作の映画)

3.5

伊藤大輔監督ということもあり、ほんの数メートルの移動にも特機部を利用する部分に苦笑。さすが「移動大好き」である。
物語自体は史実とされる物に多少脚色をした程度であり、日本人の大半ならば学校で学んだこと
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本陣殺人事件(1975年製作の映画)

3.5

金田一耕助シリーズといえば、市川崑監督と石坂浩二主演というイメージが強く、この参品の金田一のジーパンにラフな格好に驚くことであろう。
脚本も演出も見事。ATG制作ということで低予算であるにもかかわらず
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(1973年製作の映画)

1.0

新藤さんは、この脚本でOKだと思ったのであろうか?自ら書いている脚本なのだが、酷すぎる。
物語の展開に見せ場がほとんど無く、演出も手抜きではないのかと思わせるほど単調である。
なにか狙いがあってこのよ
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あ・うん(1989年製作の映画)

5.0

素晴らしい、男同士の友情を描いた傑作。
観ていて、この二人の友情の深さを感じ心地よくなってくる。喧嘩をしつつも、遠くへ離れても、この二人の友情は映演のものであると感じられる。
同時に、二人が出会ったの
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テレビで会えない芸人(2021年製作の映画)

5.0

芸人とはなにか?それを問うと同時に、メディアの落ちぶれ方を見せる見事な作品。
芸人とは、強いもの=権力を庶民の側からの視点で笑いに昇華する物のことである。もちろん、しゃべくり漫才などの芸もあるが、本来
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ノイズ(2022年製作の映画)

2.5

アイデアは大変に面白い。
村社会の閉鎖性を描く映画は何本かいままでもあるが、その中でもこの展開はピカイチであろう。
ただ、脚本が酷い。後半などズタズタである。
ダメな脚本を、そのピンク映画で鍛え上げた
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前科者(2022年製作の映画)

5.0

素晴らしい!
どことなくユーモアがある導入部から、次第に話しがシリアスな方向へと向かう構成が見事に利いている。
人を愛すること。それは恋愛という意味ではなく、人間として愛するという意味合いであるが、そ
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ブラックボックス:音声分析捜査(2021年製作の映画)

5.0

久しぶりに、順当なサスペンス映画を観た気がする。
途中、多少のブレが見える部分もある。謎解きを混迷化させるために、作り手側が仕掛けた「罠」になのであろうが、観ていることらもその仕掛けに引っかかり、つい
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音楽(1972年製作の映画)

1.5

あまりに性という物にこだわりすぎている。
確かに、人間の根源は性であり、その性を分析することにより人間性が映し出されるのは間違いない。だが、それにこだわりすぎてしまい、作品の主題である精神治療というも
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曽根崎心中(1978年製作の映画)

5.0

近松物作品として、大変優れたできになっている。
脚本が素晴らしい。心中へと向かうしか亡くなってしまう二人、それを取り巻く人々の動き。それが美しいばかりに描かれている。
美術も低予算のATG作品であるの
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キッドナップ・ブルース(1982年製作の映画)

1.0

浅井愼平監督作品だが、撮影と照明も兼任している。そして完成したのは、映画ではなく映像集となってしまっている。
脚本はおおまかにしかなく、会話はアドリブとのことだが、その部分は評価できる。後にフジテレビ
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讃歌(1972年製作の映画)

1.5

見所は、新藤兼人と乙羽信子の共演……という映画。
やりたいことは分かる。極限の愛というものを描きたいという気持ちは伝わってくる。しかし、それを伝えるためにこの構成でよかったのであろうか?
ナレーション
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君は裸足の神を見たか(1986年製作の映画)

2.5

何気に自分の母校である日本映画学校が提携し、先輩である金監督が作った作品である。だからといって、甘い採点などできない。
全体的に硬いのだ。脚本も演技も、すべてが硬い。ラストの方の展開はそれなりに面白い
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鬼の詩(1975年製作の映画)

3.0

芸事を描いた映画としては、ピカイチである。客のために狂っていく流れなど、見事である。
ただ、全体の構成が悪い。中盤までがタルいのである。己の芸を見つけ、その芸を磨き、さらに鬼になっていく中盤あたりから
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肉弾(1968年製作の映画)

4.5

喜劇である。戦争の実態を描くと、行き着くのは喜劇になるのである。
日本が勝つなどという夢の中を人々は歩きつつ、それが夢だと信じるものと信じぬものがいる。主人公は後者であり、そのふたつの対立軸が喜劇とな
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