かなり悪いオヤジさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

かなり悪いオヤジ

かなり悪いオヤジ

映画(692)
ドラマ(1)
アニメ(0)
  • List view
  • Grid view

ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)

3.3

エルモア・レナードが書いた『ラム・パンチ』をはほぼ忠実に再現したクライム・ムービー。映画の解釈なんかより雰囲気を楽しむことが大切なのさ、という向きにはオススメの1本だ。日本のハルキ・ムラカミなんかもエ>>続きを読む

ブギーナイツ(1997年製作の映画)

3.5

PTAの最新作『リコリス・ピザ』でもお馴染みの70年後半から80年前半のLAサン・フェルナンド・バレーが舞台。監督は、この時代の故郷に相当いい思い出があるのだろう。ポルノ業界のレジェンドと言われる実在>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.7

クエンティン・タランティーノ大好きな若手映画監督デヴィッド・リーチが撮ったほぼノンストップ新幹線アクションムービー。評論家竹島ルイ氏のご指摘通り、本作はタランティーノの『レザボア・ドッグス』『キル・ビ>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.5

“家族”である。是枝裕和の興味は最近これにつきるようだ。パルムドールに輝いた『万引き家族』に引き続き両親に捨てられた元子供たち&現子供たちが疑似家族を形成する物語から、是枝は一体何を描こうとしたのだろ>>続きを読む

セックスと嘘とビデオテープ(1989年製作の映画)

3.8

肉親の名前まで利用して監督、撮影 脚本、編集のすべてをやりたがるムービーメイクホリック、それがスティーブン・ソダーバーグなのである。書くのはつらい仕事だけれど書きつづけないともっとつらくなる、といった>>続きを読む

アカシアの通る道(2011年製作の映画)

3.5

アルゼンチン人のトラック運転手がパラグアイ人の母親と赤ちゃんを乗せて、ブエノスアイレスに住む従兄弟宅まで送ってあげるという一風変わったロードムービー。荷台にはパラグアイで伐採したアカシアの木材が山積み>>続きを読む

ラストコンサート(1976年製作の映画)

3.7

ハッキリいってこれは淫行である。夢も希望もない中年ピアニストリチャード(リチャード・ジョンソン)とあり得ない恋に落ち結婚までしてしまうステラ(パメラ・ヴィロレージ)の設定年齢が、ななんと17歳だからだ>>続きを読む

ゴッズ・オウン・カントリー(2017年製作の映画)

3.3

アン・リー監督のゲイ・ムービー『ブロークバック・マウンテン』は、ノンケ鑑賞者の間で長いことネタにされていたことだけは覚えている。私自身(ゲイでもない)ジェイク・ギレンホールとヒース・レジャーが馬小屋で>>続きを読む

ハンナ・アーレント(2012年製作の映画)

3.5

20世紀における最も重要な哲学書の一つ『全体主義の起源』の作者ハンナ・アーレントのバイオグラフィック・ムービー。とはいっても、女子大生時代のナチスドイツを支持したハイデッガー教授との不倫話などは回想シ>>続きを読む

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)

3.8

19世紀イギリスに生きた女性古生物学者メアリー・アニング(ケイト・ウィンスレッド)は実在の人物。ワーキング・クラス、貧困、女性という3重苦+レズビアンというキャラを追加したのは、ゲイであることをすでに>>続きを読む

ベル・エポックでもう一度(2019年製作の映画)

3.8

エドガー・ライトの『ラストナイト・イン・ソーホー』しかり、PTAの『リコリス・ピザ』しかり、最近70年代を描いた映画がやたら増えている気がする。嫌煙、LGBTQ、#me-too運動にロックダウン...>>続きを読む

ザッハトルテ(2022年製作の映画)

2.5

ブッシュjrとメルケル似(W)のカップルが、コロナで観光客激減中のウィーンを観光案内してまわるお話。しかしあんな激甘ケーキ、100日連続で食うたら小便に🐜がたかるで。

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.8

シスターフッド・ムービー『ラストナイト・イン・ソーホー』のインタビューで監督エドガー・ライトはこんなことを語っていた。
「この映画は、バラ色のレンズで過去を振り返ることへの反論です。完璧な10年なんて
>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.3

シン・ゴジラが“震”ゴジラだとすれば、本作は“神”ウルトラマンといったところだろうか。流れから言えば当然庵野秀明がメガホンをとるところ、シン・エヴァンゲリオン3部作完結のため時間がとれず、やむなく盟友>>続きを読む

バニー・レークは行方不明(1965年製作の映画)

3.3

公開当時ネタバレ戒厳令がひかれ、劇場への途中入場も制限されちょっとした話題になったサスペンス作品だ。しかし、この映画冷静になってよくよく考えてみると事件らしい事件が何も起きていないのである。何も起きて>>続きを読む

RUN/ラン(2020年製作の映画)

3.7

本作が初主演作となるタレ目が可愛いキーラ・アレンちゃん。見た目健康優良児そのものの身体つきなのだが、嘔吐、湿疹、喘息に下半身不随の満身創痍、車椅子生活で学校にも通わせてもらえない高3女子クロエを熱演し>>続きを読む

PITY ある不幸な男(2018年製作の映画)

3.0

本作の脚本家エフティミス・フィリップは、ヨルゴス・ランティモス監督『ロブスター』の脚本を共作した人らしい。若きギリシャ人鬼才監督の名前につられてつい見てしまったのだが、内容はイマイチ。『ロブスター』の>>続きを読む

永遠の人(1961年製作の映画)

3.5

“笑わせ”と“泣かせ”には定評がある木下惠介だが、本作のような辛口の映画にも実は見るべき作品は多い。時代は昭和7年、上海に出征していた大地主の息子平兵衛(仲代達矢)が傷病兵として阿蘇の自宅へ帰還。小作>>続きを読む

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

3.5

フェミニスト女優ミシェル・ウィリアムズの直談判によって実現した作品だそうだ。ならば、ケリー・ライヒャルト改めライカートもフェミニストなのかと問われると、そうとも言いきれない気がするのである。確かに、彼>>続きを読む

空白(2021年製作の映画)

3.4

ことの発端は中学生花音(伊東蒼)の万引きである。吉田恵輔は是枝裕和のように花音の万引きの心理的原因に迫ったりはしない。古田新太演じる漁師の充や、充の元妻(田畑智子)、万引き犯を追っかけたスーパー店長青>>続きを読む

騙し絵の牙(2021年製作の映画)

3.6

原作小説とはまるで異なる映画らしい。出版不況に揺れる老舗出版社薫風社を舞台にした本作は、なんといっても、吉田大八監督が忍ばせた小ネタに大注目したい作品なのである。タイトルの牙と死んだ創業者のイニシャル>>続きを読む

マザーレス・ブルックリン(2019年製作の映画)

3.6

「法はその時代の規則書でしかない。街を造れば法は従い、人がすることに適応する」NY都市建設の実権を握る監督官モーゼス(アレックス・ボールドウィン)のセリフである。映画タイトルの『マザーレス・ブルックリ>>続きを読む

Arc アーク(2021年製作の映画)

3.3

中国系アメリカ人SF作家ケン・リュウの原作小説は残念ながら読んだことがない。ドライな作風が好みな私にとって、ケン・リュウはちょっと湿っぽすぎる。アジア人作家特有の情緒描写が肌に合わないのである。加えて>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

3.7

2作目にしていきなりのパルム・ドーラーとなったジュリア・デュクルノーのデビュー作である。グロいシーンばかりが注目されている彼女だが、男性監督が撮った同一ジャンルの作品に比べれば、血ミドロのスプラッタシ>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

3.5

ロックダウン下のロンドンで、幼年期時代の故郷を描いた自伝的映画のシナリオを着想したという監督ケネス・ブラナーは、インタビューでこんなことを語っていた。

「今作は、ロックダウンの静けさから生まれたと言
>>続きを読む

ウィッチ(2015年製作の映画)

3.4

次作『ライトハウス』同様、なりたくないものになぜかなってしまう皮肉な運命を背負った主人公の物語。新鋭ロバート・エガースによる本処女作は、出資が決定するまで4年の歳月を要したという。その間魔女関係の資料>>続きを読む

宋家の三姉妹(1997年製作の映画)

2.5

胡錦濤元国家主席を議会場から強制排除、現在No.2の李克強ら共青団一派を中枢から追い出し、習近平一極集中をより強化なものにした今回の中国共産党人事を端からのぞくにつけ、中国ももう長くは続かないなぁとい>>続きを読む

サファリ(2016年製作の映画)

3.5

動物には不安がない、なぜなら自分がいずれ死ななければならない存在であることを認識していないから、という人がいる。トロフィー・ハンティングといわれる、管理されたアフリカ某所の狩猟ファームで、🐃や🦓、🦒さ>>続きを読む

るろうに剣心 最終章 The Beginning(2021年製作の映画)

3.7

畑から掘り起こした大根を見て佐藤健が微笑んでいた、自らの大根役者ぶりをいとおしむように。自分でそれがわかっているのならまだ可愛げがあるが、人を殺めてもなんとも思わない魂の脱け殻抜刀斎を、ただ眠そうな目>>続きを読む

マルメロの伝言(2019年製作の映画)

3.5

一見するととても真面目な映画のように思える作品だ。母親の突然死によりショックを受けた父親が、母親が最後に残した伝言(遺言)が気になって、奇妙な行動をとり始める。その葬儀に出席した息子は、父親のことが心>>続きを読む

楢山節考(1958年製作の映画)

4.0

最近疲れ気味の時に見る映画は、洋画ならケリー・ライカート、邦画なら木下惠介とほぼ決めている私。後にリメイクが作られることが多い木下作品だが、カンヌでパルムドールを受賞した1983年版の方がむしろ有名な>>続きを読む

笑う故郷(2016年製作の映画)

3.7

岩波ホール閉館に伴ってアマプラ配信となったアルゼンチン映画。ブエノスアイレス州にある架空都市サラスに凱旋帰国するノーベル文学賞作家ダニエル・マントヴァーニ(オスカル・マルティネス)の(架空?)物語。ア>>続きを読む

二十四の瞳(1954年製作の映画)

4.5

兄恵介は弟忠司にこう注文を出したという。「全部唱歌でいけるかな」元々、音楽歌謡と深い関わりがある木下作品の中にあっても本作は別格である。なにせ150分の上映時間中90分が唱歌の歌唱シーンで占められてい>>続きを読む

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.0

おそらく、2017年公開『カメ止め』の興行的成功に目をつけた製作陣が、映画→アニメの世界におきかえて2匹目のドジョウをねらったお仕事ムービー企画であろう。今どきのアニメには全く興味のない私のようなジジ>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

3.5

カーラジオから聞こえてくるのはG.W.ブッシュ大統領再選と民主党の無力を嘆くニュースばかり。9.11を経験したアメリカはこの後対テロ戦争へと突き進む。ネオコンと癒着した副大統領チェイニーが実質的運営を>>続きを読む

ナイチンゲール(2019年製作の映画)

3.8

故エリザベス2世は、過去英国が犯した侵略の罪に対して一度も詫びることなく他界したという。世界史に詳しいプーチンなら、オーストラリアのタスマニア島で、過去英国駐留軍によって何が行われていたのかおそらくよ>>続きを読む