かなり悪いオヤジさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

かなり悪いオヤジ

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KIMI サイバー・トラップ(2022年製作の映画)

3.6

あまり期待しないで見た割には満腹感を得られる1本だ。米国では配信サービスによって公開された作品だからだろうか、主役のゾーイ・クラヴィッツ以外メジャーな俳優はほとんど出ていないし、舞台もクラヴィッツ演じ>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

2.8

突如機能停止状態に陥ったAIに、現在の家族より以前のメモリーが圧縮された状態で残っていたとしたら、それは人間の“前世”と同じことになるのだろうか。そのAIは世にいう“輪廻転生”を繰り返していた、という>>続きを読む

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

3.4

凡百の活字よりもたった一枚の写真が真実を語る。ジャーナリズムの社会的責任に言及した本作品は、世界的インフレーションの影響で再びクローズアップされている“原発再稼働問題”と重ねてご覧になるのもいいだろう>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

3.7

ポール・ヴァン・ホーベン監督『氷の微笑』(92)のシャロン・ストーンとマイケル・ダグラスが純愛をするとしたら一体どんなストーリーになるのだろう。パク・チャヌクはもしかしたらそんなことを考えながらこの本>>続きを読む

KAPPEI カッペイ(2022年製作の映画)

3.3

武論尊+原哲夫のレジェンドコミック『北斗の拳』を知らないと、多分このコメディ映画まったく笑えないよ。無戒殺風拳の遣い手はみんなロリコンで、35~45歳までのオヤジどもが20歳前後の小娘の尻をおっかけた>>続きを読む

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

3.8

これだけ露骨な演出をすれば、本作が#metoo裁判の中世版であることにすんなり気づかれたことだろう。もっといえば、セクハラで一時ハリウッドから干されていたベン・アフレックが、領主ピエール役兼脚本担当に>>続きを読む

PLAN 75(2022年製作の映画)

3.8

「(花に嵐のたとえもあるさ) さよならだけが人生だ」漢詩の一節を墓碑銘にしたのは、45歳という若さで急逝した映画監督川島雄三である。2025年には人口三人に一人が65歳の高齢者となる日本において、社会>>続きを読む

春江水暖~しゅんこうすいだん(2019年製作の映画)

3.0

蘇東坡の詩の一説の文言で「春に川の水が暖かくなってきた」という意味のタイトルらしい。中国の経済成長の恩恵を受けて、人々の暮らし向きが良くなってきたことの喩えであろう。上海の南方杭州は富春江でレストラ>>続きを読む

ヒットマンズ・レクイエム(2008年製作の映画)

3.8

初めての仕事で子供を誤射してしまいそれ以来自殺願望に付きまとわれるレイ(コリン・ファレル)。そのレイを見出だした兄貴分の殺し屋ケン(ブレンダン・ブリーソン)は、ボス(レイフ・ファインズ)からの指示で、>>続きを読む

ボギー!俺も男だ(1972年製作の映画)

4.0

『カサブランカ』このレジェンド・ムービーにウディ・アレンは相当な思い入れがあるのだろう。映画冒頭10数分、同作品のラストシーンをそのまんまぶちこんだ演出は、近作のかなり複雑なパスティーシュに比べると拍>>続きを読む

私は二歳(1962年製作の映画)

3.5

赤ちゃんの身体に大人の感情が宿ってしまうディズニー映画『ボス・ベイビー』のようなコメディなのかなと思いきや。市川崑&和田夏十夫妻が、育児指南書としていまだに読み継がれているベストセラー『私は二歳』(松>>続きを読む

バージニア・ウルフなんかこわくない(1966年製作の映画)

4.0

1962年に初演が公開されたエドワード・オールビーによる戯曲の映画化作品。ほぼ屋内で繰り広げられる男女4人のみの会話劇は、現在公開中の『イニシェリン島の精霊』同様、舞台監督経験者のマイク・ニコルズが初>>続きを読む

美しい星(2017年製作の映画)

3.5

原作は三島由起夫による同名タイトル小説。1962年の発表当時、純文学の世界にSFを持ち込んだとして賛否両論が巻きおこったらしいのだが、三島の目論見どおりマスゴミの脚光を浴びたことは間違いないようだ。三>>続きを読む

白熱(1949年製作の映画)

4.0

サイレント時代から役者として活躍、アメリカの魂ジョン・ウェインの名付け親で、ハンフリー・ボガートを一躍スターダムに押し上げたのも、このラオール・ウォルシュの功績と言われている。まさにマチズモ映画の巨匠>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.5

前作『スリー・ビルボード』では娘の強姦殺人をきっかけに、怒りで周囲が見えなくなった母親が巻き起こす騒動をブラック・ユーモアたっぷりに描いていた本作を監督したマーティン・マクドナー、戯曲も手掛けている両>>続きを読む

愛の小さな歴史(2014年製作の映画)

3.0

中川龍太郎の身内に自殺者がいるのかどうかはわからんが、この若き日本人監督間違いなく“自殺”を映画のテーマの一つに選んでいる。確かカイエ・ド・シネマの目にとまった次作『走れ絶望に追いつかれない速さで』も>>続きを読む

クリスマス・ストーリー(2008年製作の映画)

3.0

難解というよりも一見意味不明な本作は、批評家ごとに目のつけどころがまったく異なるユニークな作品だ。監督アルノー・デプレシャン曰くマーティン・スコセッシの真似をしたという音楽のつかい方に着目した人もいれ>>続きを読む

ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

3.3

今回A24ではなくメジャー・スタジオにおける製作となったため「頭の中にあるイメージをすべてビジュアル化するには至らなかった」とインタビューで語っていた監督のロバート・エガース。7000万ドルというビッ>>続きを読む

走れ、絶望に追いつかれない速さで(2015年製作の映画)

3.5

大切な友だちが自殺した
住み慣れた東京を離れたくなかったから
同級生の彼女と別れたから
それとも今の俺と同じように人生に絶望したから
俺はそいつを確かめに
あいつが自殺した日本海へと向かった
あいつを
>>続きを読む

福福荘の福ちゃん(2014年製作の映画)

3.8

森三中の大島美幸をはじめからオッサン役であてがきにしたシナリオだという。本作は多分、首には手拭い、ドカジャン&ニッカポッカを五厘刈りの大島美幸に着せて笑いをとろうとしただけのコメディではないだろう。歩>>続きを読む

水を抱く女(2020年製作の映画)

3.3

監督さんいわく、男目線の神話『ウンディーネ』を女性である水の精ウンディーネ目線で描いた女性解放の物語なのだそうである。ということは今流行りのフェミニズム映画なの?そう問われると思わず首を傾げたくなるス>>続きを読む

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

3.3

ベストセラー原作コミックの映画化を誰かさんがタナダユキに持ち込んだ企画ものかと思いきや...原作を読んで矢も盾もたまらなくなった女流映画監督は「私の手で映画化しなければ」とすぐに思い立ったらしい。この>>続きを読む

パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)

3.6

本作をにご覧になる前に是非予習しておきたい映画がある。マーチン・シーンの息子でチャーリーの兄貴でもあるエミリオ・エステベス主演の青春映画『ブレックファスト・クラブ』である。なぜかって?同じ図書館を舞台>>続きを読む

幸せのバランス(2012年製作の映画)

3.5

見事な落ちっプリである。妻子のある普通の市役所職員がたった一度の過ちをおかしたせいで、頑固なカミさんに家を追ん出され、金欠のあげくホームレスへと転落していく救いようのないドラマ。『レクイエム・フォー・>>続きを読む

写真の女(2020年製作の映画)

3.3

かつて、取引先の銀座にある老舗写真館にお邪魔した時の話。「うちは全日空指定の写真館なのよ」と店主に自慢され???な顔をしていると、「CA応募の履歴書に添付する写真の修正が多すぎて、足切りに手間がかかる>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.5

神の子とくればメッシ?だが、神の子羊とくれば言わずと知れた主イエス・キリストである。そういえばメッシの顔もどことなく半羊人間アダちゃんの顔に似ていなくもないが、話がややこしくなりそうなのでこのくらいに>>続きを読む

逃げた女(2019年製作の映画)

3.5

インタビュアーから「結局ガミ(キム・ミニ)は何から逃げていたのですか?」と質問されても、「私はその答えをあえて用意していない」みたいなことを言って無粋な質問から“逃げて”いたホン・サンス。Youtub>>続きを読む

1秒先の彼女(2020年製作の映画)

3.8

とにかくせっかちな郵便局窓口のシャオチーが、失われた七夕バレンタインデーを探し求める映画前半は、やっすい韓国ラブコメと大差がなく、こりゃ感想スルーかなってな軽い気持ちで眺めていた。だが、バス運転手グア>>続きを読む

ミュージックボックス(1989年製作の映画)

4.0

単純なホロコースト映画にはなっていない、法廷ドラマの秀作である。ハンガリー移民の父親マイク(アーミン・ミューター・スタール)がハンガリーの警官時代にユダヤ人虐殺に加担していたかどうかを争点に、アメリカ>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.5

ショボクレ親父役がすっかり板についてきた最近の三浦友和が、なぜかデカプリオに見えてしょうがない。戦後すぐに親父から受け継いだボクシングジムを経営している、糖尿病の会長笹木を好演している。元世界チャンピ>>続きを読む

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ(2017年製作の映画)

3.7

クリント・イーストウッド主演『白い肌の異常な夜』(1971年)のリメイク作品。オリジナルは“イカれ◯ッチの館”から負傷した北軍兵士が命からがら脱出するサスペンス・スリラーだったらしい(未見)。ソフィア>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.0

「今回は実に素直にエリック・ロメールからの影響です。7という数字はロメールの『木と市長と文化会館/または七つの偶然』(1993)も7だったということがあります(笑)。そして、何か『偶然』という運とかチ>>続きを読む

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.5

前作『アバター』からかれこれ13年経って完成にこぎつけた本作。36年ぶりの続編『マーヴェリック』が大ヒットを飛ばした後だけに、満を持しての公開といえるだろう。前作のファンタジックな世界観に魅了され、仕>>続きを読む

ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)

3.3

エルモア・レナードが書いた『ラム・パンチ』をはほぼ忠実に再現したクライム・ムービー。映画の解釈なんかより雰囲気を楽しむことが大切なのさ、という向きにはオススメの1本だ。日本のハルキ・ムラカミなんかもエ>>続きを読む

ブギーナイツ(1997年製作の映画)

3.5

PTAの最新作『リコリス・ピザ』でもお馴染みの70年後半から80年前半のLAサン・フェルナンド・バレーが舞台。監督は、この時代の故郷に相当いい思い出があるのだろう。ポルノ業界のレジェンドと言われる実在>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.7

クエンティン・タランティーノ大好きな若手映画監督デヴィッド・リーチが撮ったほぼノンストップ新幹線アクションムービー。評論家竹島ルイ氏のご指摘通り、本作はタランティーノの『レザボア・ドッグス』『キル・ビ>>続きを読む