かなり悪いオヤジさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

かなり悪いオヤジ

かなり悪いオヤジ

映画(683)
ドラマ(1)
アニメ(0)
  • List view
  • Grid view

クジラの島の少女(2002年製作の映画)

3.6

ニュージーランド観光協会やグリーンピース、そしてフェミニズム協会からも援助金をもらえそうな、技ありの一本。マオリ族の族長一家に望まれない子として生まれた女の子の物語は、LGBTQ差別に反対する団体から>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

3.8

ブリュッセルのこじんまりとしたアパートで息子と二人暮しをしているジャンヌの日常生活は、きちんとしたルーティンで回っていることが伺えます。旦那は若くして病死していて、息子は文学部の大学生。余所の赤ちゃん>>続きを読む

PIG ピッグ(2021年製作の映画)

3.6

公開された当初、この映画をニコラス・ケイジ演じるロブにイエス・キリストを投影させた宗教的ヒューマン“グルメ”ドラマであると論じたレビューを何本か読んだ記憶があるのですが、今ググって見つけようとしても見>>続きを読む

Pearl パール(2022年製作の映画)

2.8

このタイ・ウェストという監督、多分伏線をうまく引けない人なのであろう。クリストファー・ノーランの初期作品も伏線下手がとても目についたのだか、ノーランとウェストではそもそも格が違うのである。前作の60年>>続きを読む

レミニセンス(2021年製作の映画)

3.5

クリストファー・ノーランの弟ジョナサンが製作にクレジットされている本作は、アメリカ映画にも関わらず英国っぽく、SFにも関わらずアクションやCGもおさえめで、むしろクラシックなラブストーリーに注目すべき>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

4.0

インターミッションが真ん中に入る179分の長尺で、人口世界第一位、GDPで世界第五位に躍り出たインドの勢いをそのまま感じさせる超大作である。こてこてのボリウッド作品にもかかわらず、高齢少子化の影響で全>>続きを読む

新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

3.5

最近はカー・アクションにも力を入れているのがハッキリと伝わってくるコリアン・ムービー。もはや折り紙つきの血ミドロバイオレンスに止まらず、本家ハリウッドをも射程にとらえた勢いを感じるのである。それは何故>>続きを読む

エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

3.3

まずはこの私に💩生意気な口をきいたアジア男から、タマを切り取ってやればよかったけど、スペイン語とロシア語の区別もつかないようなアホアホはこっちから願い下げね。しっかし精神病院抜け出してもぐり込んだ家が>>続きを読む

SOMEWHERE(2010年製作の映画)

3.7

自殺願望親子の幻覚旅行を描いた『aftersun』の元ネタといわれているのが、ソフィア・コッポラが監督した本作である。主人公のハリウッド俳優ジョニー・マルコ(スティーブン・ドーフ)がある時酔っぱらって>>続きを読む

アンナの出会い(1978年製作の映画)

3.5

近年フェミニスト映画監督として再評価が進んでいる女流ユダヤ人映画監督シャンタル・アケルマン。その分身であろう主人公の映画監督アンナ(オーロール・クレマン)が旅先のホテルでカーテンを全開にする横移動カメ>>続きを読む

X エックス(2022年製作の映画)

3.3

すこぶる評判のいい『Pearl』を劇場に見に行くかどうかを決める前に、シリーズ第一作目をアマプラで鑑賞したのだが....70年代に活躍したスラッシャー映画監督トビー・フーパーや、(誰でも知っている)『>>続きを読む

小間使の日記(1963年製作の映画)

3.5

この映画、ブニュエルのフランス復帰第一作目として語られることが多い作品であるが、メキシコ時代最終の問題作『皆殺しの天使』(1962)の流れで鑑賞した方がわりと理解しやすいのではないだろうか。『皆殺し』>>続きを読む

デッド・オア・リベンジ(2015年製作の映画)

3.4

舞台となっているジョージアという国についてちょっと知っておくと、この映画の見方が多分変わってくるはずだ。1991年のソ連崩壊に伴い独立した当初はグルジアと呼ばれていたジョージア。現在のウクライナ同様、>>続きを読む

ウィッカーマン(1973年製作の映画)

4.0

スコットランドの孤島を舞台にしたフォークミュージカル風お色気カルトスリラー。なんのこっちゃと思ったあなた、一度ご覧いただければ本作のジャンルが唯一無二であることをご納得いただけるだろう。元々脚本家のア>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.3

ポール・バーホーベン自身は無神論者らしいが、インタビュー記事等を読んでみると、キリスト教ならびにイエスのことをかなり勉強しているっぽいのである。欧米の映画監督(バーホーベンはアムステルダム出身のオラン>>続きを読む

悪い種子(たね)(1956年製作の映画)

4.0

8歳になるまでにこの少女ローダ(パティ・マコーマック)は、一体何人の人間をその手で殺めたのだろうか。その残忍さは少年時代のダミアンやあの貞子をもしのぐ完全無欠のサイコパスなのだ。しかも何も知らない大人>>続きを読む

あのこと(2021年製作の映画)

3.5

フランス人女流映画監督オードレイ・ディヴァンは、ノーベル文学賞作家アニー・エルノーの自伝小説を、おそらく“フェミニズム文学”と解釈した上で映画化したはずである。できちゃった赤ん坊の堕胎になんの迷いも感>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.8

理不尽な暴力を受け続けてきた者が、それを法によらずに強制排除することは自然の摂理にかなっているのではないか。この映画ならびに動物学者ディーリア・オーエンズがしたためた“湿地”ベストセラーミステリーが掲>>続きを読む

黒いオルフェ(1959年製作の映画)

3.0

第12回カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した本作ほど、評価がはっきりと分かれている映画は他にないであろう。そのあたりの事情が、一応この映画の原作とされている『オルフェウ・ダ・コンセイサォン』の訳者あと>>続きを読む

マークスマン(2021年製作の映画)

3.5

な~んかイーストウッドの映画に似てなくねと思ったあなた、大正解です。劇中『奴らを高く吊るせ』を孤児のメヒコ少年と一緒に鑑賞するワンシーンがあるのだが、そんなレベルではないのだ。この映画をよーくご覧にな>>続きを読む

ミセス・ハリス、パリへ行く(2022年製作の映画)

3.4

服が福を呼び?念願だったクリスチャン・ディオールのオートクチュールを買い求めに、ロンドンからパリにやって来たMrs.ハリス(レスリー・マンヴィル)。メゾンを仕切る支配人イザベル・ユペール 扮するコルベ>>続きを読む

声もなく(2020年製作の映画)

3.5

大麻、プロポフォール、コカイン、ケタミン、ゾルピデムの5種類の薬物を使用した疑いがもたれ警察に拘束中のユ・アイン。韓国映画界きっての若手演技派だけに、これでキャリアが絶たれてしまうのはなんとも惜しい気>>続きを読む

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.5

『エクスマキナ』がイブの楽園追放を、『アナイアレーション』はタルコフスキーの『ストーカー』に言及した作品だった。この奇妙奇天烈なホラーを理解するためには、やはり本作の元ネタを探し出す必要があるだろう。>>続きを読む

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

3.6

林檎とくれば当然ハチミツだろうって思ったあなたは、わたしの友だちだ。最近は本業の女優業よりも、映画祭の審査員や製作にまで色気を見せているケイト・ブランシェット推しの1本である。本作で初メガホンを握った>>続きを読む

ライダーズ・オブ・ジャスティス(2020年製作の映画)

3.6

この映画の中で最も心を病んでいたのはいったい誰なのでしょうか?電車事故で母親を喪った太めの金髪娘?電車の中でその母親に席を譲った片腕が不自由な統計学講師?その共同研究者でブライアン・メイ似のセラピー回>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

2022年のベストムービーにあげる評論家も多い、イギリス期待の新星シャーロット・ウェルズによる自伝的ヒューマンドラマ。しかし、公開初日に見た感想を正直に申し上げるならば、その評価少々盛られすぎのような>>続きを読む

ブラックボックス:音声分析捜査(2021年製作の映画)

3.6

この映画の主人公マチュー(ピエール・ニネ)を見ていると、会社にいるZ世代の新入社員とイメージがかぶってしょうがない。こと仕事に関しては人一倍熱心で一生懸命、我々雇用延長世代が新人だった頃よりも、むしろ>>続きを読む

リトル・チルドレン(2006年製作の映画)

3.6

メインのアダルトチルドレンW不倫よりも、元幼児性愛服役囚と少年を誤射した過去のある元警官のサブストーリーの方に断然魅力を感じる1本だ。ご近所で開かれた『ボヴァリー夫人』読書会で意見を求められたサラ(ケ>>続きを読む

裏窓(1954年製作の映画)

4.0

この映画はヒッチコックお得意のサスペンスではないだろう。お迎えの部屋に住んでいるセールスマンが一体何をしでかした(妻殺しではなく多分宝石窃盗の類いか?)のか、最後まで明かされないのだから。つまり、事件>>続きを読む

めまい(1958年製作の映画)

4.5

トランプに「整形外科医を訴えた方がいい」とディスられてひどく傷ついたというキム・ノヴァク主演のラブ・サスペンス。ブロンドフェチで知られたヒッチコックの最高傑作と呼ばれる本作だが、公開当時は男性が女性を>>続きを読む

ジョゼと虎と魚たち(2020年製作の映画)

3.7

「もう一人でも私は大丈夫だから」
「そんなこというなよ」
そして、わたしたちは別れた
あなたに会ったあの日からわかっていたの
あなたとずっと一緒にいることは出来ないって
なぜならあなたは水槽の中の魚だ
>>続きを読む

ダウントン・アビー/新たなる時代へ(2022年製作の映画)

3.5

TVシリーズのキャスティングをほとんどそのまんま踏襲しているせいか、ショートストーリーが目まぐるしく展開する。が、見ていても不思議とせかせかした気分にならないのは、やはり緑溢れるヨークシャー地方の自然>>続きを読む

EO イーオー(2022年製作の映画)

3.0

大作『TAR』(158分)を見た後だと、上映時間たったの88分という本作のスケールの小さがやたらと気になってしょうがない。長けりゃいいというわけでもないが、内容的にも本作はかなりスカスカだ。オマージュ>>続きを読む

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.5

「はじめての食事は?」
「ベビーシッター」
「私もそうよ」
その会話だけで十分だった
彼のことは何も知らなくても
臭いをかいだだけでわかったの
この人が私と同じだって
だから2人で逃げたのよ
ヴァージ
>>続きを読む

ベルイマン島にて(2021年製作の映画)

3.4

映画監督に限らず、ありとあらゆる芸術家のインスピレーションのために設立された“ベルイマン・エステート”。女流監督ミア・ハンセン=ラブも、その施設を舞台にした映画撮影のプレゼンをおこなったところ、それが>>続きを読む

イロイロ ぬくもりの記憶(2013年製作の映画)

3.7

東南アジア系の映画には子供を主人公にした秀作が割りと多い気がする。シンガポールの新鋭アンソニー・チェンの長篇デビュー作は、監督自身の幼少期が反映された自伝映画。1997年不況下のシンガポールに暮らす3>>続きを読む