しゅんまつもとさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.8

アニメに関わらず、現場において発生するやりがい搾取とオーバーワーク、はたまたこれって誰が得してんの?みたいな広告とか行きすぎた商業主義の両方を描きつつ、明確にそれらを肯定はおろか否定もしていない。それ>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.8

実際に飛行機を飛ばしたり、爆破してみたり、それをカメラに収めるなんて、こんな馬鹿げたことがいつしか見られなくなる日が来るかもしれない。もしかしたらそう遠くない未来でこんな古くさい映画があって、と言われ>>続きを読む

トップガン(1986年製作の映画)

3.9

飛んでるものが平面のカメラに収まっているのはめちゃくちゃ気持ちいい。多分これをでかいスクリーンで見ることでしか得られない快感があるんだろうなぁってことはちっちゃいテレビで見てわかった。バイクとの並走も>>続きを読む

流浪の月(2022年製作の映画)

2.5

なんか物語についてはあんまり言及したくないな。自分の中では今作の何も言えない、言いたくないという状態は決してポジティブなことじゃない。

確かに"人は見たいようにしか見ない"のかもしれないけれど、少な
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.7

二回目(5/21 WHITE CINEQUINT)
二度見てより好きになった。なんならジェシーとジョニーが初めて対面するシーンでもう涙ぐんでしまった。途中にある「なんで録音してるの?」に対する回答のと
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

2.2

本作はこれ程までに子供に対する極めて残虐な行為を直接的に描写する必要があったのか、とても疑問が湧く。
こと日本映画において、本作のような残虐性の高い描写、または性暴力描写は殊更生々しく描かれ、それが「
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

2.4

異常にカットを割るハイテンポな編集と、なめのショット。まじでこれしかない。
『シン・ゴジラ』からの発展は自分には感じられずにかなり退屈しながら観てた。ブランコのシーンが良かったくらいであとは何から何ま
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パリ13区(2021年製作の映画)

4.5

いつだって誰だって、自分のことを知らない誰かと繋がりたい。
でも知ってしまったら、知られてしまったら、もうそれは別の世界になる。それでも誰かと繋がろうとする気持ちは消えない。

オープニングで外観から
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

3.8

考えれば考えるほど複雑な気持ちになる。
切り口によってとても好きな部分もあれば、同じだけ受け入れ難い部分もある。やっぱり自分も感情で映画を見てるんだなぁと改めて思う。
ネガティブな部分はストーリーに触
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映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝(2022年製作の映画)

3.3

脚本を前作にして大傑作『謎メキ!花の天カス学園』のうえのきみこさんが担当されていたので結構期待していただけに、なかなか煮え切らなかった。

出産や血縁という村的なしがらみを断ち切っていく話かと思いきや
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X-メン(2000年製作の映画)

2.5

さすがにつまらなすぎる。あらゆるシーンがそれっぽいけど無くていいシーンすぎる。でも別に嫌悪感は湧かない。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ(2004年製作の映画)

3.7

映画の中から出るためには"物語"を終わらせるしかない、という設定がもう良い。
物語の人物たちが続けるために自ら終わりに向かって動きだす。しかもそれが蒸気機関車の動きと並行してドライブしていくのとかめち
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.1

突飛な設定だったり、過激な描写にではなく、そのすべてをアリにしてしまう映画としての強さにシンプルに感動した。まだこんなにも観たことないものが見れるんだっていう体験でもある。

兎角こういう枕詞がありき
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.1

例えば、誰かが通りの真ん中を歩くという一枚絵としてとても優れた構図も美的感覚を刺激するだけじゃなくて、どちら側にも寄らないという映画全体を通じる意識によるものだと自分は思う。
オープニングの空撮もそう
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不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

3.3

こっちもそこまでグッと来ず。なんでことのない会話が聞きたい。

永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

3.5

漏れ。めちゃくちゃ移動する映画。なぜかそこまでグッとこなかった。
岡部尚のほうがもっと観たい。

モービウス(2022年製作の映画)

3.7

この軽さを自分は嫌いなれない。イシュー山盛りのMCUと意図的に差別化を図っているのか、なんとなくかっこいいアクションが撮れればいいと割り切ってさえいそうな感じ、とても良い。
ヴェノムとかよりも全然好き
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PASSION(2008年製作の映画)

5.0

濱口竜介の映画は身体が言葉の入れ物のように思える瞬間がある。口を開けている人の真上あたりから言葉がスクリーンを、スピーカーを通して聴こえているような、そんな気持ちになる。
ただその反対でスクリーンの中
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.5

これだけ暗いのに(物語じゃなくて画面の明暗の話)暗いのが苦にならないどころか、灯る光で映画全体を推進してるところが"夜"の映画である必然になっていていい。特にバイクのライトが点灯するところと終盤の赤い>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.8

喉を震わせる振動と海や湖畔の波紋としての振動の緩やかだけど確かな連携がむちゃくちゃ映画だと思った。
音が消える演出と同時に、ステージがボケてそれを眺める両親の背中にあっていくピント、その後の視線を使っ
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私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

3.8

感情が昂ると変身しちゃう、という古典的な設定の物語を真摯な"セルフケア"の話に昇華するのは、やっぱりピクサー。頭が下がるし、それだけでも意義があるのに世代を超えた解放の話になっているのもいい。
欲望を
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ユンヒへ(2019年製作の映画)

4.4

再会を捉えたショット、凄すぎて思わずため息が漏れ出た。劇場にいた人が皆揃ってこのシーンで涙腺が決壊している気配がした。

この映画がある限られた場所にしか届かないようなものとは一線を画すものになってい
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愛なのに(2021年製作の映画)

3.6

セックスがセックスでしかないのが良かったし、人は別に誰のことを好きになっても良い。
でも「愛を否定すんな」まで言葉にされてしまうとちょっと変な違和感も感じたりした。この違和感の理由は自分でもまだわから
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牛首村(2022年製作の映画)

2.2

『村』シリーズには3割くらいは期待しているのでやっぱり見に行ってしまったけど、結局は過2作に書いてあることと一言一句違わぬ不満しか感じなかった。

実在心霊スポットを『村』として描くことで、村特有の民
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.0

"思い出す"ってことをすごく考えた。
たしかに今の自分を作っているのは過去の自分の選択のひとつひとつだろうけれど、今の自分の満たされなさや「こんなはずじゃなかった」という思いを勝手に過去に押し付けるよ
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ボクたちはみんな大人になれなかった(2021年製作の映画)

3.4

周りをぼかして一人の人をアップで撮影する姿勢から、背景のことはどうでもいいんだろうなと思った。それはいい。
2020年から1990年付近の時代を描きながらコロナや震災、IT革命など時代をアイコン的な部
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.5

開発のために廃墟と化した街を捉えたファーストカット。
カメラは崩れた瓦礫と街を壊す重機や鉄球を動きながら収め、続いて街を生きる人々の背中を追う。
ミュージカルの特性が人の持つ身体の躍動と、喉を震わせる
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ザ・ビートルズ Get Back:ルーフトップ・コンサート(2022年製作の映画)

4.0

自分はビートルズという存在に対してまったくの無感情だけれど、それでもこのたった一度のライブが特別な何か(としか言えない)を内包しているのはよくわかる。
でもそれについて話していてもビートルズ論にしかな
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スティルウォーター(2021年製作の映画)

4.5

ビルはかつて石油の採掘に従事し、その職を解雇された今はハリケーンの被害により倒壊した家屋の瓦礫解体業で日銭を稼ぐ生活を送る。
つまりは彼の生活の基盤には災害があり、犠牲がある。もっと根底には人間の原罪
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香川1区(2021年製作の映画)

4.0

んー熱い。むちゃくちゃ熱い。
こういう言い方が正しいかはわからないけど、単純に選挙のゲーム性の面白さ、ひいてはその中で動くプレイヤーの特異さ、個々の戦略の多彩さが普通に面白い。同時に自分もこのゲームの
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なぜ君は総理大臣になれないのか(2020年製作の映画)

3.8

人の迷いや逡巡を捉えたドキュメンタリーとして秀逸だと思った。
タイトルのなぜ?の問いに対する答えは、決して彼の意志のブレではないと思う。もっと根本的な構造の腐敗や、もっと言えば彼らに票を投じる私たち側
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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.7

イーストウッドが運転する車と馬が並走するシーンがむちゃくちゃ良かったということを強く憶えてる。
わからんけどリドリー・スコットが重ねた年月の先に今の時代で撮っているのが『最後の決闘裁判』や『ハウス・オ
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

3.7

やっぱりどんなテーマだってリドリー・スコットの映画で「最初から詰んでた」の話なんですよね。(悪の法則とかから宇多丸さんの批評で言及されていたことの受け売りですが)

特別なことなんて何ひとつないはずな
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春原さんのうた(2021年製作の映画)

5.0

昨年映画を見ながら頭の隅にずっとあったのは、映画ってなんだろうとか人にカメラを向けるってどういうことだろうってことだった。
今年に入って見た数本の映画では、よりそれを強く思ってもっと言えば、映画の中で
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浅草キッド(2021年製作の映画)

3.6

夜のシーンがとても良い。とても良いだけに比較対象は同Netflix版の『火花』になってしまってやっぱりあれには劣ってしまう。
とはいえ両者が陥っているのは同じ"陰で支え続けた女性"の描き方の軽薄さなの
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ある夜、彼女は明け方を想う(2022年製作の映画)

1.0

映画の中の人物たちが損をしているように見えるということは、それは作り手の欺瞞でしかないと思う、ということがよくわかるとても良いテキストだと思いました。悪いのは作り手でしかない。
今時飛んで行く帽子をス
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