本作の特徴をひとつ挙げるとすれば、多国籍企業の内部告発というまったく絵になりにくそうなテーマを扱いながら、自宅のバルコニーの背景に見せる街の灯りや田舎の風景などの映画らしい映像美を、本題から外れた逸話>>続きを読む
居心地のいい怪談。
近代までの「ホラー」は、ただいたずらに恐怖を煽るものではなくて、各々の心のなかにある畏怖を呼び起こすものとして語られてきたんじゃないか。そんなことを思わせる。
ものすごく楽しかった。何を撮りたいのかはっきりしていて、そのために採用したどぶ板戦術が、その撮りたいものにマッチしてる。
今もこれからも僕とはぜったいに交わることのないであろう地方のチンピラたちの世>>続きを読む
普段の僕なら、まず食指の伸びない類いの映画なんだけど、ここでのレビューを読んで気になってふらりと観に行った。大正解でした。
18禁のエロムービーは古今東西に数あれど、これは韓国じゃなければ描けない。>>続きを読む
出演者全員に演技賞あげたいっ。
特に小出恵介がホントにいい。ああいう天然ゲスキャラやらせたら彼の右に出る者なし。
満島ひかりの長いセリフといえばデビュー作「愛のむき出し」のクライマックスを思い出す>>続きを読む
この映画は、偏見を持つ人たちをいたずらに悪人として描かない。だから、そういう不寛容は僕の中にもあると気づかされる。
少年が「普通ってなに?」と尋ね、母親が「異常じゃないこと」と答える。そのあと別の場>>続きを読む
今泉監督作の鑑賞は「サッドティー」「知らない、ふたり」に続き3本目。
知らないうちに交錯する男女たちの、惚れた腫れたの群像劇。その路線は継承されているのですが、全部を説明しきって物語を終わらせるこれま>>続きを読む
雑すぎる展開が作風なんだろうな(笑) 期待どおりに血しぶき撒き散らしてくれて、最後にちょっと意外な(しかしかなりテキトーな)展開。くだらないテンションをどんどん積み重ねていくのは、秘密結社鷹の爪のおも>>続きを読む
待ちに待った話題作を公開初日に鑑賞。
序盤は凡庸。高速道路を封鎖しての撮影はさすがに見応えあったけど、このままの調子なのか…?と一抹の不安がよぎる。
おもしろくなったのは、夜景をバックにミアとセバス>>続きを読む
本作にコメントを寄せている森達也監督作「FAKE」(佐村河内守氏のスキャンダルのその後を追ったドキュメンタリー)と比べるとおもしろい。
ウィーナー氏は言う。
「政治家がメディアを使って何かを伝えよう>>続きを読む
西川美和監督作「永い言い訳」とプロットが驚くほど似てる。主人公の壊れ方だけでなく、親しくなった少年がとてつもなく魅力的なところまでそっくり。
光の具合を始めとして、映像はすばらしかった。何を言ってる>>続きを読む
白い肌は七難(七人の厄介な"事実")を、隠すのではなく晒してしまった…。
昨年の一週間限定上映では連日チケットが発売後数分で売り切れた話題作。ようやくお目にかかれた!\(^o^)/
けどこれ、もう一>>続きを読む
矢口監督の映画は「WATER BOYS」しか観たことがありませんでした。どれも狙いすぎてる感じがしてなんとなく食指が伸びなかったのです。なので、あまり気乗りせずに映画館に向かいましたが…想定外におもし>>続きを読む
北欧のメロドラマmeetsボクシング。エンドロールのキャストの最後の一行を見た瞬間、最高潮の「ほっこり」に心が包まれます。
東京国際映画祭では予定との兼ね合いで観る機会を逃し、ノーザンライツフィルム>>続きを読む
これ俺が好きなやつ。
大人には2種類いる。主人公の母親のように、大切なものを捨てて未知の領域に踏み出す勇気を持っている人と、大切なものを手放せなくて意図しない展開に溺れる人。
後者の大人に"成長"し>>続きを読む
イラク→トルコ→ギリシャ→ドイツ→ノルウェーと展開するロードムービー。
主人公の少年は、早くに亡くなった父に代わり一家の長として、クルドの伝統的なやりかたで姉の縁談をとりつける。ところが姉は結婚直前に>>続きを読む
群像劇。
ひとつひとつのエピソードが薄っぺらくて、かといってそれぞれが有機的に絡み合ってるとも思えなくて、映画に入り込めなかった。難民たちの人間性としての「ありきたりさ」を描くなら、もうすこし丁寧にし>>続きを読む
不思議な力で生物学的性が変わっちゃうファンタジーと、トランスジェンダーが性自認に気づくシリアスなヒューマンドラマを、ひとつにした映画。
男の子に変わったキムが水を得た魚のようにいきいきと輝いていたのが>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
マリアンヌはなぜ自らの本名を夫に伝えなかったのか…。もしも伝えていたらあんな結末にならなかったのに。
娘は、母が死んだいきさつをどう聞かされるのだろう…。
ドランの監督作品の中では随一に地味な作品だという印象を受ける。けれど、テーマを浮かび上がらせる手法はブラッシュアップされていて、粗熱がとれてきた。
原作既読の人にとっては、原作を超えた何かを得られるまでには至らない。けれど、濃密で強烈な原作を映像に再構成することには成功していて、原作未読の人には親切。
とはいえ、伊藤計劃の原作をとにかく読んでほ>>続きを読む
アスレチックで順番を待たなかった子に石を投げた男の子を、主人公がたしなめる場面。「じゃあどうすればいいの?」と訊ねた少年への答えに窮し、「お母さんに訊いて」とやりすごす姿に、同じ環境に身を置き続けるこ>>続きを読む
実話に基づく以上は、現実にこの悪夢に遭遇するより怖くできるわけないし、割りきって殺人鬼ハンターの偏執的なキャラクターに焦点を当ててる。それがあのBGMだったり、スピーカーから繰り返し流れる音声だったり>>続きを読む
家というのは、何者も演じることなく素でいられる空間なんだろうと思った。彼があんな暮らしをやっていけてるのは、役者やモデルの経験あってこそ。
夢を追いかけ、夢に敗れ、「どこで道を間違えたんだろう」と涙>>続きを読む
ドンパチの描き方はエキサイティングで、西部劇として観るぶんには文句なく楽しめる!観る価値はある。
が、他の方も書かれているように、七人がこの闘いに駆り立てられた背景が浅すぎて…名作のフォーマットを使>>続きを読む
アトリエの大きな窓を、外から眺めるときは、その内側でプレイボーイが繰り広げる人生の煌めきを羨望の眼差しで見つめるしかないのだけど、いざその内側から外の風景を見やるときは、リア充にはリア充なりの辛苦があ>>続きを読む
「パパは死んだ」
「ごめんなさい」
「君は悪くないよ」
という流れは、自閉症のキャラに典型的で微笑ましいやりとりだけれど、これがとても象徴的なシーンであることに、終盤になって気づきます。
愛がどうい>>続きを読む
あーおもしろかった!
クリスマスはみんな素直になったりちょっとお行儀よくしたりするものだけど、この話の登場人物たちはそんなセオリーにお構いなしに、筋の通らない人間らしさを見せてくれる。そんな人間らし>>続きを読む
優良な「消費者」であるよりも、優良な「顧客」であろうと思った。
あなたの行動を必ず変える一本。
「平和的な訴えは無駄だ」とか「殉教が望みだ」とか、ホントにそうなのか?と思う発言は多いけれど、これが誇張も脚色もされていない現実だという世界の一面を知るための映画。
団地のある部屋、生活感のあるベッ>>続きを読む
原作についての監督の解釈がはっきりと伝わる映画でした。ロドリゴの配役がなぜアンドリュー・ガーフィールドなのか、それは彼が未熟さのイメージを備えた俳優だからです。すなわちこれは、信仰の強さに関する物語で>>続きを読む
ふんどし一丁で、観客に背を向けて大太鼓を打つスタイルの元祖。
ドキュメンタリーではなくプロモーションビデオといった赴きで、パフォーマーたちの所作は美しいのだけど、音に迫力がない。とはいえ、一件の価値あ>>続きを読む