ヤマナカさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

モンキー・ビジネス(1952年製作の映画)

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若返りというか、若年性認知症みたいで怖かったんだけど、インディアンごっこするケイリー・グラントが最高に面白かった。さすがホークス!

鴛鴦歌合戦(1939年製作の映画)

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戦後のフランスでは『シェルブールの雨傘』という俗悪で退屈な映画が撮られることになるが、このマキノの日傘のさっぱりとした鮮やかさよ!

「とかくこの世はままならぬ
日傘差す人つくる人」
という七五調の朗
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キートンのセブン・チャンス/キートンの栃麺棒(1925年製作の映画)

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そこに寓話性を見出そうとせずとも、ただ圧倒的な量とスピードの故に喜劇は喜劇たりうるのだということを、20世紀のトラキアの狂女たちを通して、キートンは描いている。

血煙高田の馬場(1937年製作の映画)

4.5

きわめて鮮やかな黒の美しい着流しの阪妻の、片足をくのじに曲げて、次の瞬間には相手の懐に飛び込まんとして蹴り出す一瞬の、力の蓄積されたくるぶし、カメラの背後から飛び出して、画面の中に飛び込んでくるかのよ>>続きを読む

エル・シド(1961年製作の映画)

4.5

結婚初夜のソフィア・ローレンの表情が素晴らしいのが前半の最大の見どころ、後半のバレンシアの包囲戦、籠城戦は、浜辺に軍隊を配備する仕方と、海岸沿いに移動する人馬の流れ、それを追うカメラがあまりに的確で説>>続きを読む

獣道(2017年製作の映画)

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伊藤沙莉についての映画になるんだろうな、と思いながら観ると、勿論伊藤沙莉についての映画ではあるが、目つきの悪い須賀健太がかなり良く、ラストで校庭を爆走する伊藤沙莉を見てニカッと笑う須賀健太にやられた。

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

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森山良子と清水ミチコを揃えたのに、平野レミじゃなくて坂本冬美や岩崎良子がくる感じが、さすが平野レミ、となぜかいないはずの平野レミに思いをはせてしまう。

圧倒的な技術で描き出されるバーチャル空間にもか
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さらば、愛の言葉よ(2014年製作の映画)

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ウンチが汚くて、ワンワンがかわいい。

追悼、ゴダール。

河内山宗俊(1936年製作の映画)

4.3

リリアン・ギッシュみたいな甘酒売の原節子の声が調子外れで、物語のわらしべ的な内容と相まって、ヘンな感じがするところでこのラスト!
バリケード化した引き戸を破って男たちが押し入って来るところとか、すごい
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マルクス・エンゲルス(2017年製作の映画)

4.3

あのアウグスト・ディールがマルクスヘアでぽっちゃりしててキュン♥。マルクス夫妻、エンゲルス夫妻の4人で『共産党宣言』書くところね、あんな感じで論文書きたいです。

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.5

黒炭がキャンバスの生地にこすりつけられるときのざらざらした音が、肖像画を描くということのエロティックな有り様を通奏低音として伝えている。ドレスやシーツのかすれる音や、海辺の風、祝祭で歌われる女達の歌、>>続きを読む

インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(1984年製作の映画)

4.3

小さい頃に金ローで観て小学校で心臓抜くシーンのマネしてた思い出、お決まりの虫攻めもバカ殿に見えてきて笑ってしまう。邪神信仰は敵キャラとしては申し分ないが、ハーメルンの笛吹き男みたいにして子どもたちを誘>>続きを読む

レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981年製作の映画)

4.5

ユダヤの呪いでナチが焼き殺される設定ヤバすぎるけど、アドヴェンチャーを構成する要素の一つ一つがなんと言ってもわくわくする。

ハリソン・フォードが研究室のドイツ人の先生にしか見えない。

仁義なき戦い(1973年製作の映画)

4.3

戦争の暴力から組織的私闘としての暴力へ。

菅原文太と梅宮辰夫が獄中で盃の代わりに互いの腕をカミソリで切って、流れ出る血を吸い合うところ、セックスでも始まるんかと思ってしまう。そして菅原文太のセックス
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王妃マルゴ(1994年製作の映画)

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世界史で有名なサン=バルテルミの虐殺のシーンがあまりに凄惨で、相対化したいわけではないのだが、ホロコーストを扱った映画のそれの比ではないなどと思いながら、コリニー提督を演じているのがブリアリだというこ>>続きを読む

女は二度生まれる(1961年製作の映画)

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ノキシノブに水をやるときに霧吹きじゃなくて口に含んだ水で毒霧をやるのが笑う。
コップ酒イッキの若尾文子、中トロを食べる若尾文子が好き。山村聰の本妻と遺品の翡翠をめぐって言い争うところも面白かった。
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幕末太陽傳(1957年製作の映画)

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左幸子と南田洋子がど突き合いをするシーンであれよあれよと人をかき分けて二階に上がっていくところ、火事で半鐘が鳴って皆が上階の廊下の手すりに集まって野次馬をするところ、流石だというしかない。
石原裕次郎
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リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)

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「キテレツ観たら帰ろ〜」って感じで生きていきたい、牛乳美味しいよね。山田くん好きすぎる。

河内カルメン(1966年製作の映画)

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あまりに俗悪で辟易するが、野川由美子が魅力的なので観続けられる。『赤線地帯』の京マチを思い出す。

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.5

手話を映画において描くことで声に出して語ることの暴力的な力がむきだしになるので、例えばルビーが叫んだり、歌ったりするときの声があまりに「砂と糊」としての声になっていて、それでなんだかぼろぼろ泣けてしま>>続きを読む

エリザベス:ゴールデン・エイジ(2007年製作の映画)

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メアリ・ステュアートとのやりとりも無敵艦隊との戦いもかなりそっけなく、むしろエリザベス自身のおそれ、不安、陶酔、傲りが描かれるのがアナクロニズムではあるが、なにぶんケイト・ブランシェットなので説得力が>>続きを読む

極道の妻たち(1986年製作の映画)

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みんな不用心すぎる、、、

流水を背景に振り返る志麻さまを目に焼きつけた。

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

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芥正彦があまりに事物というものに信頼を置いているのが、当時の左翼としては至極当然のはずなのだが、不思議だったし、時間論についてもかなり不明瞭なことを言っていて、それに対して三島の反=国家権力のための天>>続きを読む

マルタイの女(1997年製作の映画)

4.5

さすがに伊丹十三ともなると、不用意に教祖を描いたりせず、不在の中心として放っているのが上手いし、それゆえケーサツ権力やゲーノウ業界などこれまた中心の見えない同心円的な構造が重なり合う。
カルト教団のテ
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ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル(2019年製作の映画)

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自然のリズムと自分のリズムを合わせるのが大事だというスピリチュアル系の武術で闘うイケメン獣医さんのアクションシーン多め(すごい)。

悪役がゾウに踏まれて死ぬところを見て、そういえば昔衝撃映像系のバラ
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EMMA エマ(2020年製作の映画)

4.2

ジョシュ・オコナーって、こんな変態牧師役もできてしまうのかと感心。

かなり喜劇調なのに(それゆえに)それぞれの人物のセリフが他者の心情にあまりに繊細に作用するので、いわゆる面倒なシチュエーションが多
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飛行士の妻(1980年製作の映画)

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この物語のタイトルが「飛行士の妻」になってしまうのがすごい。
尾行からバスでの出逢い、公園での会話、写真撮影、鴨の餌やり、カフェにいたるまでのシークエンスのすべてを好きだ!

いわさきちひろ 〜27歳の旅立ち〜(2012年製作の映画)

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いわさきちひろが池袋モンパルナスにいたことや、「原爆の図」の丸木夫妻との関係なんかは全く知らなかった。
「にじみ」によって子どもを溶かし出すようにして描くことで知られた彼女が、最初の夫の自死の後、絵描
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ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ(1975年製作の映画)

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ジェーン・バーキンの痩せぎすの身体が映画全体の痛々しさとよく合っている。だが基本的には観ていたくない画面が多い。
不気味に陽気なテーマソングがなぜだかくせになる。

はちどり(2018年製作の映画)

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エドワード・ヤンが撮った少年たちについての映画を少女たちのために撮りなおしているような感じのするシーンがいくつかある。

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

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家父長制の呪いに絡め取られ、「別人になる」ことで適応しようとする主人公の姿とそれに対する夫、実母の反応の違いなどが巧みに描かれている。
韓国の希望はこのような小説が書かれ、読まれ、映画が撮られたという
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