六四二さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

六四二

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DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

3.9

イロモノになりかねない題材を、最後まで集中して楽しめる映画に仕上げていることにベッソンの映画作りの巧みさがうかがえる。リアリティを損なわせないポイントをしっかり決めて脚本とセリフを練り込んでいる。
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ロンドン・コーリング ザ・ライフ・オブ・ジョー・ストラマー(2007年製作の映画)

4.0

映画と同名のアルバムを愛聴していただけでクラッシュのファンを名乗ってるが、ジョーストラマーの逝去もこの映画の存在と同時に知った。
ザ・クラッシュは、セックスピストルズの純度の高い(ように見えた)剥き出
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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.5

逆再生のシチュエーションを作るための理屈が強引過ぎて乗れない。どういう法則ならば目の前の奇怪な現象が起こせるかをずっと考えてしまう。見終えた後もそれを考え続けるのが楽しかったりする。

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.0

80年代、アイルランドで少女時代を過ごすコットのひと夏の出来事がアイルランド語で語られる。地に足のついた静かで美しい作品である。
側に居たい、居てあげたい、居てほしい。最も原初的な愛情が育まれる過程を
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劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(2024年製作の映画)

3.0

初見ではおそらく面白さを半分ほどしか受け止められないのではないか。そうであれば見ることそのものが失敗だったということになる。
スラムダンクが楽しめたのは例外だったか。

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

3.4

演技達者たちの個の競演が楽しめる映画だ。
余さん、倍賞さんらベテランに、子役くんも負けておらず表情と姿がいい。志尊さんのグル的な違和感が強烈だが終盤で納得はした。杉咲さんのメーター振り切れている状態の
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WILL(2024年製作の映画)

4.1

大変興味深く見応えのあるドキュメンタリー作品だ。野次馬的にタレントを追っかけるムービーではない。都市生活からエスケープし山野で狩猟をして生活するという生き方を選んだ一人の男の話である。
見ながら、見た
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マッチング(2024年製作の映画)

2.3

土屋太鳳、スノーマンとも庶民の設定にしているのがよかった。父娘二人での住まいも生活感があり、慎ましいものになっていた。
コメディか?と思わせるシーンがあり、そのような見方をすれば土屋の悲鳴も味わい深い
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ミレニアム・マンボ 4Kレストア版(2001年製作の映画)

3.8

自立したいのにできないのか、したくないのか。行きつ戻りつするマンボのステップのごとく、新しい女性の生き方になかなか踏み込めない人のようにビッキーが見えた。男とセットでしか人生を語れない女ではなく、日本>>続きを読む

犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.6

今作は、ヒール2系統、メインとサブを2セット用意してくれている。一組は日本の893という設定で、日本刀を得物にするリキが率いるグループだが、もう少し凶悪な刀の使い方をして欲しかった。レーティングの問題>>続きを読む

このハンバーガー、ピクルス忘れてる。(2023年製作の映画)

3.8

違う惑星の… がすごい面白かったので
これも…
こちらは余白が全くなく、超濃密の珍会話劇を、ずーっとやっている。すごいですわー

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

どうも後味が悪い
医術者の誇りと志しを曲げた行動でよしとするお話を好きにはなれない。エンタメ作品なればこそ
もうちょっと考えて欲しい。
ヒポクラテスの誓いに背くどころか…
である。

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)

4.0

事態が悪い方に加速度がついて転がり落ちていくジェットコースター的面白さがある。破れかぶれになった特にテルマの大胆行動にあんぐりしてしまう。
リドリースコットがこんな映画を作ったことも映画賞を受賞したこ
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ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.0

バスドゥボスの映画は漢方薬のようで、いろいろ主張しないのが好きならば気に入るかもしれない。
ベルギーのアラブ系年配女性にフォーカスする。あまり目に止まることのない存在、作家のモチーフ選びの一つの型かも
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Here(2023年製作の映画)

3.6

南紀に熊楠記念館という自然に囲まれた施設があり、生きた粘菌を顕微鏡で覗くことができる。この映画の中でシュシュが仕事で見ている世界を少し味わえるかもしれない。
街のそばの間道の、植物が自生するようなとこ
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ジェントルマン(2021年製作の映画)

3.5

2時間でよくまとめたと感心する。
シリーズドラマを見終えたような満足感がある。
ただ、ミスリードのための撮影シーケンスと、実は… という種明かしで映すものが明らかに違う。
現在と過去の行ったり来たりも
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身代わり忠臣蔵(2024年製作の映画)

3.2

タイトルから”忠臣蔵”は外せないだろうが、この映画では”忠臣”よりは家臣への情と、立場を超えたR×3風友情を描いている。悪いイメージを一手に負わされ、カタルシス発動のヒールにされてきたキラがいつもと違>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.5

誰の監督作か知って是非見たい。となったが、あの予告だけではそんな気にならない。ザラついた絵を断片的に見たところでこの映画の良さに勘づくのは難しい。その画質は本編ではいい味となっている。16ミリフィルム>>続きを読む

ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

4.0

2008年韓国映画クロッシングで、恐怖で国民を支配し国民を私物化する異常な政体に強い怒りを感じ、創作の態なればこそ描けるのだと感じた。
ドキュメンタリーである本作では、事実の記録として首領様のユートピ
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.1

軽やかな脚本と演出と笑いである。
面白かったという以外に言葉を思い付かない。

大ヒット人気作となっていて多くの感想が出ていると思うので脇のことを述べる。
役者については全ての出演者に愛着が湧くけれど
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.1

ディズニー配給!
ファンタジーランドではあるけれど…
賞とり作品というので拝見したが、その雰囲気ゆえに見ないつもりだった。しかし長尺のこの映画に最後まで惹きつけられっぱなしだった。感動というのとはちょ
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バービー(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

監督のグレタは愛と誠を見たのかしら。
三池のやつ…
映画は紅白の運動会を見ているような賑やかさで楽しい。男的(女的)なものの展覧会と言ってもいい。どんなものに男フラグを立てているかをみるのは興味深い
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熱のあとに(2023年製作の映画)

3.6

狂気を宿した主人公に、橋本愛がよくはまっている。病的なまでの執着とはシンドイことだ。
人生を軌道修正しようとして必死で欲望に抗おうとしているのが涙ぐましい。

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

3.6

トーキングヘッズ
ホーンセクションをシンセに代えて、ソウルをやっていたんだ! と、認識を新たにした。
がらんとしたステージにアコギ一本で立つデビッドアウトバーンがひとり、名曲シリアルキラーをやる。その
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僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)

3.3

ちょっとズレてる独善的なKY
この親にしてこの子ありのムスコくん。
作家の身近にこんな親子が居たのではと想像する。悪意さえ感じる設定とエピソードには笑ってしまうが、自分も同類では?と、ドキッとする。
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「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ(2024年製作の映画)

3.5

あまりコレを知らない者が述べる勝手な感想だ。
ストーリーを俯瞰して見れば、主人公の戦闘の個人的モチベーションに過ぎないある意味脇役だったネズコが、以降の展開のキーパーソンになった。
新局面のお話が楽し
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.6

アニメしか見ていないが、ほぼその通りにストーリーが進行する。絶妙な配役と、人物造形の再現に抜かり無く、おそらく原作に忠実にできている。よくできていて面白く見た。テレビドラマ的な味わいは万人に向けた安心>>続きを読む

鶏の墳丘(2021年製作の映画)

4.0

この密度の濃いCGアニメ作品は、息を抜く暇がない。メカニック造形は見覚えのあるものがいくつか出てくるが、表現方法が斬新で驚かされる。描かれるのは戦争のようだ。
人型のものが出てきはするが、我々の世界と
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吸血鬼(1932年製作の映画)

3.3

吸血鬼といえばクリストファーリーのドラキュラのイメージが強烈なホラーの原体験として刷り込まれている。
それより前の時代に制作されたドライヤーによるバンパイヤものは怖さは控えめながら格調の高さが感じられ
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違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)

4.1

永遠にダラダラと見ていたくなる映画である。
特に本作では中島歩がたっぷり見られるうえに会話が最高に可笑しい。恋の行方が混戦模様になってからどんどん会話劇が迷走して面白さが加速し、クライマックスのスポー
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レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

3.8

若いお嬢さんがたくさん見に来てらした。どうしようもないヤクザなおっさん達のゴミのような卑猥なヨタ話を延々聞き続けるのはどんな気分だろう。見たいものが見れたのだろうか。
何かに乗せられているのではないか
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海街奇譚(2019年製作の映画)

3.5

自分は、つげ好きだからこの手の幻想譚は大好物で、つげ的な絵が随所に見られて満足した。映画の主役は邦題にもある(うら寂れた)海辺の街の、作家の心象風景である。
ストーリーは深掘りしてもあまり意味がない。

あるじ(1925年製作の映画)

3.9

100年も昔にこの映画のような主張を持つ男性がいて、大衆を啓蒙する作品を生み出したことに感動を覚えた。ドライヤーはストレートど真ん中の絶好球を放って下さっている。
女房に心無い態度をとる亭主がやり玉に
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.0

出演の顔ぶれや演出が山田洋次の人情噺を思わせる。西川さんの今までの作品と違う印象を受けるのは、分かりやすいモチーフをストレートに描いているからだと思う。役所さん演じるのは殺人の刑期を終えて刑務所を出た>>続きを読む

彼方のうた(2023年製作の映画)

4.5

杉田氏の作品が見られるのを心待ちにしていた
そのようなファンは多いはずだ
作風は茶の湯の世界に近いのではないかと想像する。もてなす客を思いさりげなくこだわりの趣向を凝らす。シランけど…
見れば期待通り
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ラ・メゾン 小説家と娼婦(2022年製作の映画)

3.4

露骨に色々映るが、扇情的であったり、即物的な表現のポルノとはまったく違う。ある意味ドライで見易い。
主人公は興味本位で売春をする。小説のネタ探しを目的とするだけでなく、好きでやるという。
身近な人の売
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