sukeさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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とても素敵なこと-初恋のフェアリーテール-(1996年製作の映画)

3.5

公営住宅カウンシルエステートを舞台にして、独特なワーキングクラスカルチャーと諸問題、LGBTQ+のテーマを掛け合わせていながら、どこか明るい色調と雰囲気でドラマを描く。
カウンシルエステートのなんか社
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.0

メディアが残す記録について、時間を経ることによって見え方やその記録の存在価値が変わり、アップデートされる記憶。そうした記憶のアップデートが人生にどのような影響を与えるのか。受け継がれる愛の物語だった。>>続きを読む

ハロルドとモード/少年は虹を渡る(1971年製作の映画)

3.5

ヒッピー思想か、ポストヒッピー思想か、大戦期の辛い記憶までも織り交ぜて、経済的な問題など現実的な課題を度外視して芸術的な自由の尊さを叫ぶような映画だった。生と死の循環というか合一化というか、非西洋の哲>>続きを読む

ウディ・ガスリー/わが心のふるさと(1976年製作の映画)

3.0

ウディガスリーの政治性をより際立たせた描き方だった。反体制的な政治メッセージや歌詞の歌が並べられつつ、美しい古きアメリカの放浪者のイメージが、今見てもそう感じるのは不思議だった。

Rodeo ロデオ(2022年製作の映画)

3.5

カリブ系フランス人女性アウトローのバイク映画という人種もジェンダーも社会規範も解体するようなテーマであり、その映像面からして刺激的で画が強かった。バイクの音も、効果音、BGMの選曲もそうした新しさや今>>続きを読む

ことの次第(1981年製作の映画)

3.0

私的な映画制作映画な感じだが、映像が芸術的でヨーロッパ映画っぽいパートと、ロサンゼルスならではの被写体だけではない、ハリウッドっぽい作風のパート。後半パートも、それをいじっている時点で外からみたハリウ>>続きを読む

EO イーオー(2022年製作の映画)

4.0

おとぎ話のようにロバの旅路を追うことによって現代社会を引いた視点で描く。
ロバによる人類の宗教的な叙事詩の再現?

点滅する光と円、回転のモチーフ。マイブリッジの馬やゾートロープなどの参照?脳の画像処
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クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)

3.0

主人公と対戦相手の試合までの積み上げが丁寧で、徐々に盛り上がっていく構成が良かった。最後の試合の結末が客への釣り餌になりにくい場合の、試合の熱狂に乗せるドラマが用意されていたのか分かりにくかった。

ナイン・マンス(1976年製作の映画)

3.5

主人公の顔が特に記憶に残る。すごい演技だと思っていたが、最後のシーンでガチ出産していて、後追いというか後ろからまくってくる感じでこの映画の作為を超えた真実味と記録性に驚いた。

お腹が大きくなってから
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お葬式(1984年製作の映画)

3.5

伝統的な宗教儀式を現代社会の中の生活の中でアイロニカルに段取り立てて再現するように実行していくなかで、日本人の生活者目線の生々しい聖俗が描かれる。
カメラが特徴的でいろんな手数が観察眼の多様さを伺わせ
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さらば冬のかもめ(1973年製作の映画)

4.0

ひたすら空が暗くて、主人公たちが体をこわばらせて寒そうにしているのが、単に気温の問題だけでない窮屈な空気感を印象付ける。常に切なさが背後に控えている男子校的なノリがメランコリック。
音楽の使い方がおも
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麻雀放浪記(1984年製作の映画)

4.5

博徒の群像劇だが、博打の勝負の面白さで物語を進めるというよりは、キャラとキャラ同士の関係性で駆動させていくのがエンタメ性高い。そして博打がテーマながら、人間を描くのに重きを置いているから、何かに全てを>>続きを読む

蒲田行進曲(1982年製作の映画)

4.5

最初から最後まで派手で大げさで、撮影所の熱量がデフォルメされてお届けされてる感じ。役者に対するメタな視点がメタを超えて演技ドキュメントみたいな感じになる部分があるのがおもしろい。

お引越し(1993年製作の映画)

5.0

いかついフレーミングと画面構成、人物配置。他者との関係だけでなく、自分の中の過去、現在の自分との関係、さらには此岸と彼岸の関係の、捉え方や変化をカットの繋ぎやワンカットのなかの動きなど様々な引き出しで>>続きを読む

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

3.5

地方都市を舞台にした貧困ポルノであることに自覚的で、しかも根拠のない楽観主義がアイロニカルに機能するような感じ。フィルムによってとらえられた光の粒が、ショッピングモールさえ美しく映してしまい、そのエモ>>続きを読む

マルサの女(1987年製作の映画)

4.0

結構大胆に省略されているような部分がありつつも、どのキャラクターも魅力的で、また小難しそうなテーマをエンタメとして昇華させるやり取りや展開も楽しかった。音楽が印象的で、ぶつ切りにする音編集もここぞとい>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.5

1人の指揮者の物語でありながら、いまの時代にアーティストであること、特に映画監督であることにそのまま置換できるような内容だった。
かつてのように宗教と結び付かなくなった西洋の芸術の、新たな拠り所とは。
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マグノリア(1999年製作の映画)

4.0

変な人たちの変な話だがロサンゼルスという舞台設定だけで謎の説得力。音楽が素晴らしく、ともすれば空中分解しそうな話を繋ぎ止めたり、映画全体のリズムやテンポを作ったり、引き際も良くて映像に没頭させたりと良>>続きを読む

スローなブギにしてくれ(1981年製作の映画)

2.0

浅野温子が存在感あり、たまに良い表情を引き出している。雑然とした、懐かしの日本の街の空気感が良い。
身の丈にあってない美学や文化の受容とアウトプット。中途半端な表現の空回りの連続がだるい混乱を招く。

ある男(2022年製作の映画)

4.0

制度や風習と人間の関係との歪み。そういう見えない矛盾のようなものを視覚化する矛盾として提示する。役者の演技が光る。
横浜に舞台が移った時にビルや人の立ち姿の縦のラインが強調されて、時間差で宮崎の植林地
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アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

4.5

ゆったりめのカメラワークとカット尺。落ち着いた編集と暗めのトーンで、全体的に哲学的というか思索的。出し引きやこもらせ方、選曲などの面で音響、音効のきかせかたが好みだった。テーマ的に大袈裟にきかせない音>>続きを読む

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

4.0

チルトの動きやロングの俯瞰などがかなり抑制されて、高さに制限を持たせた空間でのカメラワークになっていた。それによって横長の構図が動きの開始から終わり、そしてその過程でもキマっていて印象を残す。カメラワ>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.5

ニンテンドーゲームの名スコアに気持ちのいいCGをのせた素敵なエンターテイメント。ノスタルジー的なサービスだけでなく、移動シーンのキャラクターのアクションやカメラの動きなども刺激的。
実写の人間っぽさと
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

3.5

MCUの広げた風呂敷の畳み方。
マシュー・バーニーとパンクを掛け合わせたような独特なビジュアルやカメラワークなど、マンネリ化したジャンルの中で、画で差別化してみせようとしている感じがよかった。モータル
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食人族4Kリマスター無修正完全版(1980年製作の映画)

3.5

これを発端にフラハティのことまで考えさせられるような、ドキュメンタリーについて考えるきっかけになるような映画だった。記録に残すということの価値や、その大義名分による搾取。メディアのあり方への批評。
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タバコ・ロード(1941年製作の映画)

3.0

終始動物的でめちゃくちゃな家族を観察する感じだが、合間合間に正気な、近代的な道徳観で律せられた人間が出てきたり、問答無用に美しかったりおもしろかったりするショットが出てきたりして、感情が乱される。ただ>>続きを読む

捜索者(1956年製作の映画)

3.5

雪原の中の移動シーンがあまり見ない感じで新鮮で美しかった。モノの形や動きがおもしろい映像だと、色とかいらないのかと感じた。

リバティ・バランスを射った男(1962年製作の映画)

3.5

移動する馬車の荷台に、同じ方向に向かって画面の外から帽子をふわっと投げ入れるシーンがとても印象的。
事実よりも伝説を取る西部のアティチュードを回想形式で振り返るが、まさにその回想自体が映画というメディ
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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

3.5

全編通して常にふざけていて異常だった。だからこそコメディとしての緩急は映画の中ではつきにくくなっているが、現実が壮大なフリになってこの映画そのものがひとつのオチとして存在している感じ。劇画的な、面白い>>続きを読む

マイ・フェア・レディ(1964年製作の映画)

2.5

ディスプレイされた衣装と役者のモノ的な美しさ。装飾された空間をふんわりと常に捉えようとしているからか、ゆるいサイズ感のショットと人物配置の甘いつなぎ、メリハリのない編集が物語以上にけっこうストレスだっ>>続きを読む

ダーククリスタル(1982年製作の映画)

3.0

サイズを変えた人形を巧みに操り、野外でのロケシーンなどで実物大の自然のオブジェクトと対比させることでリアルさを出すなど、マペットの職人技を凝縮して見られる。善悪二元論ではなくむしろその表裏一体な感じや>>続きを読む

牝犬(1931年製作の映画)

4.0

窓の外から覗き込むような、窓枠越しの視点が時々挟まるのが印象的だった。急にひいた、第三者的な視線になることで、キショおじの悲劇を冷静にみられる感じ。
そういう視線の主観や客観的なポジションのことを考え
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子猫をお願い 4Kリマスター版(2001年製作の映画)

4.0

ポスト青春映画という感じで、成人年齢になっても急には大人的なものにはなれない感じの世界における浮遊感を、時空間的に連続性を感じにくいショットとその繋ぎや音響で表現している。

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

4.0

ファンタジーの古典でもあり、その世界観やイメージがもはやありふれたものになっているダンジョンズ&ドラゴンズだが、当世風のユーモアとカットのテンポ、音響やテーマ、また特にCGと組み合わされた派手でユニー>>続きを読む

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

4.0

英国人によるニュージーランドの土地の接収と男性による一方的な女性への搾取が重なるように提示される序盤から、現代的な、所有やプロパティに関するテーマが掲げられる。そうした男性本位が土台となっている資本主>>続きを読む

(1928年製作の映画)

4.0

西部を舞台にした怪奇サスペンス、スリラーという感じでヒッチコックっぽかった。
定期的に差し込まれる砂塵のインサート、シェルターである室内の日常のなかにも入り込み目にすることになる砂の存在。そうした丁寧
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