浮浪者さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

浮浪者

浮浪者

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オオカミの家(2018年製作の映画)

3.4

グロテスクリアリズム。五分経てばその世界に順化しきっている人間のもつ認識の浅はかさと素晴らしさをメタ認知しながら、見続ける。

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

3.4

Tender Is the Night 夜はやさし

絡みあいが絡まっていくなかで瞬間、ほどけとむすびが一体になるときもある。

トルテュ島の遭難者たち 4Kレストア(1976年製作の映画)

3.5

デフォーというよりセルバンテス。もはや野蛮になることも叶わない。憐れなドン・キホーテ。

さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

3.5

運命を引き受けるという名の下に正当化される暴力の連鎖。その軛から解き放たれる方途を各様が求めている。

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

3.7

映画の可能性を撫で回す。その仕草の官能と滑稽に惹きつけられるのだな。

不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

3.7

サークとカウリスマキの融合。呆然と自失が、エロスとタナトスの翻訳でもあれること。

デジレ(1937年製作の映画)

3.5

発話が身体表現へと形成していくとき、歌舞音曲という言葉が浮かんでくる。最上のミュージカル。

夢を見ましょう(1936年製作の映画)

3.4

モノローグの過剰が哀愁と滑稽を両表出する瞬間。

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.7

火事場の途方もなき流体画、箱庭から作庭の精神。生きるに値する世界を顕現するための友愛と母神。

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.2

小細工が小賢しさと紐づいてしまうほどに機能していない。

起伏のない筋書きを貫くとするならば、不要なギミックの群れは何なのだろう。

深刻さだけ漂わせ、内面と内省はボカす。ある種の結末や決断は闇に任せ
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小説家の映画(2022年製作の映画)

3.5

シャンパーニュのようなショットと、ぬる燗のようなシークエンス。

ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

3.6

諸行無常の響きあり。

有常としての愛ではなく、無常という時間の露呈こそ愛であるという諦念にして、確信。

形式として何かが存在していることの安堵と投棄。愛は述語規定を拒みつづけていく。

愛がそうで
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小さき麦の花(2022年製作の映画)

3.4

饅頭が舞台美術を超え、耽美なまでの端役として活きるのはまた珍しや。

トリとロキタ(2022年製作の映画)

3.5

ダルデンヌ印の哀しみを、私たちはいつまで学び続けるのか。彼らがいなくなったとき、その風格を纏う人間は現れるのだろうか。もうすでに現れている、いや、現れる必要はない。

EO イーオー(2022年製作の映画)

3.4

懐かしの、そして先鋭化された市民像としてのフーリガン。戦慄するようなショットは感じられず、緩やかな怠慢を帯びているようだ。

ふたりの女、ひとつの宿命(1980年製作の映画)

3.5

優美と高貴が手を携えて、懐胎と廃退へ向かっていく、まさにオーストリア=ハンガリー帝国の遺産であり悔悛。

アダプション/ある母と娘の記録(1975年製作の映画)

3.6

遅れを感じさせるように触れ合いが行われていく。躊躇と怠惰による先延ばしが功を奏していくこともある。濃密にではなく、軽妙に触れ合われる肌理。多焦点的ともいえるような、分散された俯瞰もまた、先の躊躇の目線>>続きを読む

暗黒の鉄格子(1953年製作の映画)

3.5

冤罪に連れ添う人間の臆断や不条理を圧縮し、サスペンスという宙吊り芸を練り上げる技量については感得してしまう。

コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って 4Kレストア版(1993年製作の映画)

3.4

賭博行為を支えるのは賭けるに値しない生なのか。厭世と大胆と意固地を辛うじて支えてしまうアレア。

イリンクスと見紛うような愛の遊戯に移行する様は、文明の行く末を問うようだ。

怪物(2023年製作の映画)

3.6

ムーラー「山の焚火」を思う。疾駆する結晶化作用©スタンダール。

毒薬/我慢ならない女(1951年製作の映画)

3.5

ソフィストの肖像。私の真理はあなたの真理と類比不能であることの詭弁集。行為空間と理由空間の交わらなさを笑いの熱源にして。

別れる決心(2022年製作の映画)

3.5

九鬼想起。

"「いき」の構造は「媚態」と「意気地」と「諦め」との三契機を示している。(中略)さきに述べたように、媚態の原本的存在規定は二元的可能性にある。しかるに第二の徴表たる「意気地」は理想主義の
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ヨーヨー(1965年製作の映画)

3.4

パントマイムとしての人生。言葉をはぎられた剥き出しの身振りが無言であるとき。

にわのすなば GARDEN SANDBOX(2022年製作の映画)

3.6

新しい靴が足に馴染みゆくまでの過程にも似た身体感覚が、この映画に触れる時間にはある。不慣れな構図、馴染みのない話法が、はじめからそれを欲していたのだと遡及的に錯覚していく趣意が隠されている。

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.5

不穏の力学系。意味が宙吊りにされた寓話、ただ無意味に時を経ることになる会話。

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.4

「饗宴は虚無を内包する。」当事案を皮肉と銘打たれた表現に遭遇するたびに興醒めしてしまう。

あくまでも体得された叡智として、粛々と日常が躍動するさまを寄せ集めるほうが、よほど皮肉の真骨頂とおもう(とい
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