ユーキさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

パンドラの箱(1929年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ファム・ファタールとその虜になった人々の破滅劇。

過剰な美貌や魅力はギフトと言ってもいいものだけれど、災厄を呼び込む呪いのようなものにもなり得る。
まさにパンドラの箱。

牝犬(1931年製作の映画)

3.7

冴えない経理係と、情婦と、ヒモ。
三者三様の振る舞いと結末。
人間の弱さと狡さについての話だと感じた。

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

パートナーの死をきっかけとした過食と引き篭もりで、鯨のような肥満体になってしまった男と、彼を中心として交錯する人々の話。

主演であるブレンダン・フレイザーの特殊メイクや演技は圧巻。

ハーマン・メル
>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

4.0

NBAデビュー前のマイケル・ジョーダンに注目し、彼との契約という大きな賭けに勝ち、エア・ジョーダンという巨大ブランドが生まれるまで。

80年代当時のポップソングの大量起用や、ビジネスの世界での大きな
>>続きを読む

素晴らしき放浪者(1932年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

あまりスッキリしない展開と結末。

倫理観に囚われない野蛮な神が人間を試し、また観客の道徳感を揺さぶるという意図があるのだとしたら、成立はしている。

川に始まり川に終わる映画。
放浪する様子を流れる
>>続きを読む

フレンチ・カンカン(1954年製作の映画)

3.9

タイトルだけは聞いたことあるけど観たことのなかった、フランス製ミュージカル映画。

キャバレー『ムーラン・ルージュ』において、ハッピーで享楽的なダンスステージ『フレンチ・カンカン』が成立するまでと、そ
>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

3.8

フランスの都市に住む主婦。

彼女の3日間の日常、ルーティンの記録。

BGMも無く淡々と進み、否応なく彼女の内面を想像させられ、クライマックスの驚きに繋がる。

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

4.0

社会不適合者な女殺し屋達の日常系コメディアクション。
クエンティン・タランティーノ的なサンプリング精神と会話劇もあり。

前作よりさらにリコリス・リコイルみが増してる気が(百合やお約束的描写など)。
>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.0

黒澤明監督/志村喬主演の『生きる』を元に、舞台をイギリスに置き換えたリメイク版。

ゾンビのように毎日の仕事をやり過ごしていた役所の課長が、余命宣告をきっかけに生きることや仕事への向き合い方を見つめ直
>>続きを読む

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

3.9

コメディ要素強めな、RPGアドベンチャー映画。

シナリオや世界観も作り込まれ、剣や魔法といったファンタジー要素にアレルギーが無ければ、観て損のない出来。

ヒュー・グラントのワザとらしい笑顔も良い。
>>続きを読む

長ぐつをはいたネコと9つの命(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

『シュレック』のスピンオフでありまた前作があるようだけど、今作単体でも楽しめた。
同名の童話があるけれど、あまり関係は無い様子。

欠落と不満を抱えた人々が、願いを叶える為の冒険と旅の末、それぞれに大
>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.8

仮面ライダー自体ミリしらで何の思い入れも無い状態で鑑賞。
ノリ切れないシーンも多かったけれど、そういう作品性でお約束なのだと受け入れたら楽しめた。
バイクの変形や疾走感、それに空中戦には手に汗握ったし
>>続きを読む

オットーという男(2022年製作の映画)

4.1

トム・ハンクス演じる、偏屈で孤独な高齢男性オットー。
彼がそのようになってしまった理由と、劇中引っ越してきた隣人一家のお節介から始まる、交流と変化。

一言で言うと、黒澤明の『生きる』やクリント・イー
>>続きを読む

セールスマン(1969年製作の映画)

3.4

60年代のアメリカを舞台に、聖書を訪問販売するセールスマンに密着したドキュメンタリー。

信仰心が資本主義に塗り潰されていく様子。

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)

3.9

死期間近のシングルファザーが、遺される息子の為に里親探しをする話。
設定だけで泣かせにかかってくる。

重い内容の割に96分と短く、また淡々とした見せ方なのに、父親の想いがスクリーンのこちらに伝わって
>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.1

齢76歳にして現役で映画を撮り続ける、映画史上最高の監督、スティーブン・スピルバーグの自伝的映画。

アーティストの母親とエンジニアの父親の間で育まれた原点。
映画監督という夢をかなえるまでの葛藤。
>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.1

生活に疲れた中年女性とそれを取り巻く人々の話と、人生の選択によってはあり得たかもしれない並行世界(マルチバース)という設定を、こう組み合わせるとは。

家族愛という普遍性のあるテーマと、カオスで独創的
>>続きを読む

少女は卒業しない(2023年製作の映画)

3.7

取り壊しを控えた校舎を舞台に、卒業を迎える4人の女子高生達を中心とした、オムニバスストーリー。

同じ制服に身を包んでいても、学生生活に対する思い入れや向き合い方は異なっていたけれど、それぞれに抱えた
>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

セレブやインフルエンサーといった上っ面ばかりの上級国民達が幅を利かせる現代社会を皮肉った一作。
居心地の悪さがクセになりそう。

富を生み出す能力は人格とは比例しないし、また無人島生活では高級時計も地
>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.3

ジャズってスゴいな🎷🎹🥁

心臓を掴まれたかのようなライヴシーン。
演者それぞれに積み重ねた練習や支えてくれた人々がいて、それがセッションという一瞬に化学反応を起こし、スパークする。

惜しむらくは、
>>続きを読む

アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

3.5

MCUの新作ということで期待してたけど、フェイズ5の先行きが心配になる出来。

アントマンの持ち味は地に足がついたコメディなのに、量子世界という宇宙を舞台にカーンという強大な存在を悪役としては、せっか
>>続きを読む

「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ(2023年製作の映画)

3.9

遊郭編第十話&第十一話/刀鍛冶の里編第一話の再編集版。

刀鍛冶の里編を盛り上げるためのプロモーション的な位置付けなので、アクションやドラマのテンションのピークは前半にあり、一つの映画として見た場合は
>>続きを読む

タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

以前は王道パニック恋愛映画のイメージだったけど、今観るとローズがジャックに触発され、様々な抑圧から解放され自由に生きようとする話でもあったんだな。

女神の継承(2021年製作の映画)

4.0

タイの民間伝承を元にした、オカルトホラーモキュメンタリー。

一言で言えば、タイ版エクソシスト。

序盤はかったるいけれど、ミンが取り憑かれるあたりから尻上がりに面白くなり引き込まれた。

不穏な空気
>>続きを読む

哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)

3.8

台湾発の血みどろゾンビホラー🧟

暴力や強姦といった人間の凶暴性を助長させるウィルス。

正気も狂気も紙一重だと思えるストーリー展開。

R18になるだけのゴア表現があるので、耐性のある人向け。

しとやかな獣(1962年製作の映画)

3.9

詐欺師一家と、彼らに翻弄されまた翻弄する人々。

愛欲と金銭欲をミルフィーユ状にしたブラックコメディ。

今でいう日本版『パラサイト 半地下の家族』。

能のような音楽の付け方が独特。

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.8

愛憎が入り混じる隣人関係。

片田舎の孤島ならではの人間関係の閉塞感。

それとは対照的な美しい景色と優しい動物達。

意地と誤解で思いもよらぬ方向へ転がる展開。

アイルランドの紛争を暗示してるのか
>>続きを読む

モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

4.1

マエストロと呼ばれ、数多くの美しいメロディを生み出してきた、映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネのドキュメンタリー。

映画のサウンドトラックに留まらず、観客の人生のサウンドトラックにもなりうる名曲の数
>>続きを読む

赤い影(1973年製作の映画)

3.7

ホラーというより、オカルト・霊能力的な話だった。
初見では突拍子のない結末だと感じたけど、解説を読んだら意外と序盤から丁寧に伏線を張ってたんだな。

Mr.Children 「GIFT for you」(2022年製作の映画)

3.8

ミスチルのライブドキュメンタリー。

デビュー30周年記念ツアーのライブ映像と、ファンが人生の中でどのようにミスチルと歩んできたかというインタビュー映像を重ねるというコンセプトは良いけれど、うまく馴染
>>続きを読む