Brynhildr38

刻刻のBrynhildr38のレビュー・感想・評価

刻刻(2018年製作のアニメ)
3.8
着眼点が秀逸。

主人公の甥と兄が誘拐され、祖父が先祖代々伝わる謎の石の力で時間を止めて救出に向かうが、そこにいるはずの無い"動く"人達に襲われる。いろいろな問題と謎を解決して、元の時間が進む世界に戻ろうとする全12話のSFサスペンス。

原作は、マンガ大賞2011ノミネート作品と言うだけあって、創り込まれた独特の世界観が凄い。

時が止まった世界だけで完結させるストーリー展開は、シンプルでわかりやすい反面、淡々とし過ぎていると思われるかも。

テーマは、家族愛。
自分の身を犠牲にしても家族を守ろうとするデカパイヒロイン(樹里)。頼りになるが決して万能ではない頑固で偏屈な祖父(じいさん)。頼りないが甥(真)を守るために初めて頑張る引きこもりゲーマーの兄(翼)。頼りない上に自覚のないクズで無職の父(貴文)。特に父(貴文)のキャラクター設定は、イラつくけど最高。世の父たちへの反面教師とも取れる。

時が止まった世界をこれだけ長く描いた作品は無いのではないか。永遠に続く6時59分の中で実際にはいろいろな事が起こるが、作品テーマの制約上動きが乏しくなり美しく心に残るようなシーンは無い。が、だからこそ最終的に動き出した時の音と映像によるカタルシスが後から響く。

おすすめです。
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