都部

有頂天家族の都部のレビュー・感想・評価

有頂天家族(2013年製作のアニメ)
4.3
現代京都にて享楽的な日々を過ごす狸一家の愉快な日々を追うアニメーション。
人間世界に慣れ親しむ狸達の飄々ぶりを描く一方で緩やかなる諸行無常な生と死が相見える独特の諧謔味は森見登美彦ならではの美味がする。森見のアニメと言えば四畳半で屁理屈を捏ねる与太郎のそれや夜は短いからと言い訳をしながら飲み歩く阿呆のそれが代表作ではあるが、個人的には本作のこの畏まり過ぎないのどかな遣り取りがとても好ましく思う。敬愛する久米田先生によるキャラクターデザインも作風に忠実で、三国一の阿呆である京楽主義者の矢三郎の語り部ぶりも耳と感にしっかりと滲むそれであった。森見特有の『他人の文化祭を見させられている』ような明るい排斥ぶりを感じなかったのも大きいかもしれない。一言で称し難い弁天との距離感も好みだ。
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