もっと先へ――≪加速≫したくはないか、少年。梅郷中学に通う一年生・有田春雪。 丸っこい身体に内気な性格、学内格差(スクールカースト)の最底辺……そんな彼の生活は、この言葉をきっかけに大きく変わった。 彼に声をかけたのは、生徒会副会長にして学内でも指折りの有名人、黒雪姫。 彼女の誘いに応じて昼休みのラウンジを訪れたハルユキは、≪ブレイン・バースト≫という謎のアプリを受け取り、≪加速世界≫の扉を開く――。
初対戦で訳も分からず敗北を喫してしまったハルユキ。 黒雪姫は彼に≪ブレイン・バースト≫の正体は対戦格闘ゲーム――≪加速≫し続けるためのポイントの奪い合いだと教える。 対戦についてのレクチャーを受け、アッシュ・ローラーとの再戦に臨んだハルユキは、ピンチに陥るも、機転を利かせた作戦で、見事勝利を勝ち取る。 しかし、勝利の余韻に浸る間もなく、チユリと黒雪姫の遭遇という別の危機が待ち受けていた――。
加速世界を統べる七人の≪王≫たちの協定を破ったことで、≪お尋ね者≫となっていた黒雪姫。 最近学内ネットワーク上で、本来なら受けるはずのない対戦を挑まれ続けていた彼女は、執拗に迫る蒼いデュエルアバター、シアン・パイルの正体を探るべく、ハルユキに助力を求める。 チユリが容疑者であることを知ったハルユキは、疑いを晴らすべく彼女と直結し、彼女のニューロリンカーにウイルスが仕掛けられていることを突き止める――。
ささいな行き違いから口論をしてしまったハルユキと黒雪姫。そんなふたりを荒谷の乗った自動車が襲う。 絶体絶命の状況に、黒雪姫は肉体をも加速する禁断の力≪フィジカル・フル・バースト≫を使ってハルユキをかばい、重傷を負ってしまう。 一命を取り留めたものの、意識のない状態でシアン・パイルに襲われれば、黒雪姫になすすべはない。 彼女を守るべく、そして、伝えてくれた本当の想いに報いるべく、ハルユキの戦いが始まる――。
病院に現れたタクム――シアン・パイルに対戦を挑むも、なすすべなく倒れ伏してしまうハルユキ。 諦めそうになったその時、彼の瞳に横たわる黒雪姫の姿がうつる。 本当の強さの意味を知った彼は、シルバー・クロウの新たな力――≪翼≫を得て、シアン・パイルとの決着をつける。 そして意識を回復した黒雪姫は、≪黒の王≫ブラック・ロータスの姿を現し、≪ネガ・ネビュラス≫の復活を宣言。 加速世界に新たな戦いの火ぶたが切って落とされる――。
入院中の黒雪姫が治療に専念している頃。ハルユキは青のレギオンから脱退したタクムとタッグを組んで、レベルアップにいそしんでいた。 しかし、レベルアップしたことでバーストポイント全損の危機に陥ってしまったハルユキ。 タクムの勧めで≪アクア・カレント≫という用心棒を頼るが、条件として≪リアルを明かすこと≫を要求される。 指定された待ち合わせ場所でハルユキが出会ったのは、メガネをかけた可愛らしい少女で――。
用心棒(バウンサー)、≪アクア・カレント≫とタッグを組んで戦うことになったハルユキ。 ひとまわりレベルの高いタッグに苦戦を強いられるが、アクア・カレントの助力と黒雪姫やタクムへの強い想いで勝利をつかむ。 無事、ポイントを貯めた彼に、アクア・カレントは『後払いの報酬』を要求する――。 一方、後悔を胸に抱えたタクムに、黒雪姫はデュエルを仕掛ける。贖罪のため、ある決意をした彼に、黒雪姫は仲間の素晴らしさを語る――。
ある日、帰宅したハルユキは、エプロン姿のかわいい少女に出迎えられる。 母の預かったハトコだという彼女に、かいがいしく世話を焼かれ、すっかりドキドキしてしまうハルユキ。 しかし、≪一緒にお風呂≫イベントのさなか、首のニューロリンカーの痕跡から、彼女が偽者だと見破る。 彼女の正体は赤の王≪スカーレット・レイン≫。ハルユキに勝負を挑み、完勝した彼女は、ある『命令』を突き付ける。 それは彼の≪親≫――黒雪姫に、リアルで会わせろというものだった……。
ハルユキの家で始まった、ふたりの王の会談。赤の王――上月由仁子は、ハルユキのリアルを割り出し、有田家に潜入した理由を語る。 バーストリンカーの精神を乗っ取り、無差別な殺戮者≪クロム・ディザスター≫へと変える強化外装≪災禍の鎧≫。 かつて黒雪姫たち七人の王が消滅させたはずの鎧に取りつかれた赤のレギオンメンバーを『粛清』するため、シルバー・クロウの飛行アビリティを借りたいのだという――。
黒雪姫とニコが有田家にお泊りするという、ドキドキイベントが明けた次の日。 現在のクロム・ディザスターである≪チェリー・ルーク≫が現れた池袋方面へと、討伐ミッションに向かうハルユキたち。 しかし、≪無制限中立フィールド≫でクロム・ディザスターと遭遇する前に何者かの攻撃を受け、多数のバーストリンカーたちに囲まれた巨大な穴の中に着陸を余儀なくされる。 彼の背後からは、なんと≪黄の王≫が姿を現し――。
無限中立フィールドでの奇襲も、≪災禍の鎧≫をめぐる事件も、すべて≪黄の王≫イエロー・レディオの陰謀だった。 『過去』を暴かれたブラック・ロータスは戦う力を失ってしまい、シアン・パイルは倒れ、スカーレット・レインの圧倒的な火力も封じられてしまう。 そんな絶対的に不利な状況下で放たれたシルバー・クロウの叫びは、ロータスを再起へ導く光明を与えた。 彼女は再び戦いに身を投じ、イエロー・レディオと対峙する――。
クロム・ディザスターの圧倒的な力の前に撤退を余儀なくされる黄のレギオン。 シルバー・クロウも一度は恐怖に打ちのめされるが、今度はクロウがブラック・ロータスの檄によって己を取り戻す。 ≪災禍の鎧≫に侵されたチェリー・ルークを『親』に持つレインは、ついにクロム・ディザスターに≪断罪の一撃≫を放つ。 多くの犠牲を払った末、加速世界から≪災禍の鎧≫は消え、事件は解決を見る――。
新学期。チユリの猛烈なアタックに押し切られたタクムは、彼女に≪ブレイン・バースト≫をコピーすることに。 無事インストールに成功した彼女のデュエルアバター――≪ライム・ベル≫には、≪加速世界≫でも希有な能力・回復アビリティが備わっていることがわかる。 レギオンの新戦力なると盛り上がる一方、梅郷中の新入生に不審なバーストリンカーがいるのではとの疑いが持ち上がる。 その正体は、剣道部の新入生・能美征二だった――。
≪加速≫の力を使っているのに、マッチングリストには名前が現れない。そんな不気味なバーストリンカー、能美征二。 彼の目的も手段もわからないまま、黒雪姫は沖縄へ1週間の修学旅行へと出かけてしまう。能美の尻尾をつかむべく行動を開始するハルユキたち。 しかし、すでに彼の罠は周到に張り巡らされており、ハルユキはシャワー室の盗撮という濡れ衣の証拠を握られ、巻き込まれたチユリも彼の手に落ちる――。
能美――≪ダスク・テイカー≫との対戦で、存在のすべてとも言える飛行アビリティを奪われ、敗北を喫したシルバー・クロウ。 すっかり自信を喪失したハルユキは、チユリを救うこともできず、心配するタクムにもつらくあたってしまう。 対戦中も自暴自棄な姿を見せるシルバー・クロウに、アッシュ・ローラーは彼をある場所へと誘う。 そこには彼の親にして、最も空に近づいたデュエルアバター≪スカイ・レイカー≫の姿があった。
アッシュ・ローラーの師匠――《スカイ・レイカー》のもとへと連れてこられたシルバー・クロウ。 かつて加速世界で最も空に近づいたと言われる《スカイ・レイカー》は、クロウにバーストリンカーの秘めた真の力《心意》と、それを追い求めた者に残された傷痕について語る。 その狂気を知ってなお、《心意》を体得したいと願うクロウに、スカイ・レイカーは次に会った時に極意を教えると告げる。 そしてクロウを東京タワーのてっぺんから突き落とす。
修学旅行先からくれたダイブコールで黒雪姫が見せた想いやりに、能美との因縁は自分だけで決着をつけなくてはならないと、改めてダスク・テイカー打倒を誓うハルユキ。 一方、事件を知り、独自に調査を始めていたタクムは、能美が《加速》の力を使った隙をついて、対戦に持ち込む。 シアン・パイルの圧倒的な攻撃で追い詰められたかに見えたその時。全ての武装を解除したダスク・テイカーは、『奥の手』を使い……。
ハルユキが危機に立ち向かってるその頃、黒雪姫は修学旅行先の沖縄で、何者かに対戦を申し込まれていた。 危なげなく返り討ちにするが、琉花、真魚と名乗ったふたりのバーストリンカーは、どうやら彼女を試していたらしい。その腕を見込んで、頼みがあるという。 《リアル割れ》に対する危機感が全くない、バーストリンカーらしからぬふたりの態度に、警戒しながらも会談に臨んだ黒雪姫は、彼女たちの『師匠』の正体を知る――。
琉花たちの師匠《クリムゾン・キング》によると、沖縄の無制限フィールドに出現した神獣級エネミーのため、エネミー狩りができなくなってしまったという。 しかもその『飼い主』がマッチングリストに表示されない事実に、黒雪姫はバックドア・プログラムの存在を感じる。 《クリキン》たちと組み、黒雪姫はくだんのエネミー《ニーズホッグ》を操るバーストリンカーと対峙する。 《サルファ・ポッド》と名乗ったそのアバターは、予想以上の強敵で……。
シルバー・クロウとの直接対決で衰弱したダスク・テイカーを救ったのは、《ライム・ベル》――チユリのアバターだった。 能美によるチユリへの凶行に激昂したシアン・パイルだが、返り討ちに遭い無残に斬り裂かれる。 その惨状を受け怒りに駆られたシルバー・クロウは、自分の中で黒い『何か』がはじけた音を聞く――。 だが、そこでバトルはタイムアップにより遮られてしまう。ハルユキとタクムの狙いは失敗に終わったが……。
能美の企てにより、盗撮犯の濡れ衣を着せられる中、《赤の王》ニコに相談を持ちかけたハルユキ。 ダスク・テイカーの一件を説明し、タクムが《心意》を身につけるために協力を取り付ける。 《心意》の特徴と四つの基本技、そして習得に最も重要な、デュエル・アバターを形成した自分の心と正面から向き合わなくてはならないことを説明するニコ。 タクムは幼いころに受けた心の傷――シアン・パイルの『鉄杭』の起源について語り始める。
ダスク・テイカー同様、マッチングリストに現れない《ラスト・ジグソー》との対戦に勝利するも、あと一歩で逃げられてしまうハルユキたち。 一方、ライム・ベルとタッグを組んだダスク・テイカーは、ブラック・ロータスすら凌ぐかと思われる驚異的な力で勝ち星を稼いでいた。 黒雪姫が戻るまでに、自分たちでけりをつける。ハルユキはわずかな手がかりから能美の秘密にたどり着き、すべてのポイントを賭けた決闘を挑む――。
サドンデスルールで始まったダスク・テイカーとの決闘。 始まるや否や、シルバー・クロウは意外な伏兵――《ブラック・バイス》によって動きを封じられてしまう。 《心意》を得たシアン・パイルがダスク・テイカーを圧倒するも、ライム・ベルを人質に取られ、戦う力を失ってしまう。 語られる能美の心の闇。《加速世界》での最期という絶望を振り払うべく、力を振り絞ったシルバー・クロウの前に、姿を現したのは――。
決着をつけるべく、シルバー・クロウがとどめの一撃を放った瞬間、傷ついたダスク・テイカーにライム・ベルの《シトロン・コール》がかけられる。 そこにはチユリの本当の狙いが込められていた……。ついに翼を取り戻し、ダスク・テイカーを打ち破るシルバー・クロウ。 そして、昔通りの3人へと戻ったハルユキたち。そして、修学旅行から戻り、ハルユキとの絆を確かめ合った黒雪姫を、もうひとつの『再会』が待っていた――。
©川原 礫/アスキー・メディアワークス/AW Project