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それでも町は廻っているの都部のレビュー・感想・評価

それでも町は廻っている(2010年製作のアニメ)
4.2
片田舎の商店街の喫茶店シーサイドで、ウェイトレスのアルバイトをする女子高校生: 嵐山歩鳥を中心とした日常と日常に点在する非日常が同居するコメディアニメ。

小市民的な規模感で語られるエピソード群はどれも緩やかに面白く、アニメ会社:シャフトの小気味よい演出と理路整然とした画面構成によって非常に見やすい作品になっているのが印象的。キャラクターの個性の散らし方も纏まりがあり、騒がしくない程度に賑やかなキャラクター達の瑞々しい言動が軽やかで良い。

あくまで日常コメディが主体ではあるが、ジャンル物としての乱高下を覚えるエピソードも見られて、エピソードを通した際に一辺倒な味わいにならないように原作の話の順の再構成が見られるが、素人目に見てもよく考えられていると感心する組み方だった。
ただ順序に倣ってあの最終話を迎えていたら陳腐に思える味わいだったのは想像に難く、日常の愛おしさを丹寧に計算高く編んでこそ得られる味わいを得ることに成功しているからだ。

全体的に喜劇なのはその通りだが、だからこそ映えるエピソードとしてその最終話の他には七話が上げられて、あまりにもストレートな青春像を嫌味な衒いもなく──と思わせない構成なのだが──それはそれとばかりに清涼感ある物として呑み込ませるのが巧みだ。明確なエピソード事の作風の変化を幅広い日常の枠に綺麗に留められている様は淡麗さすら感じ入るものである。
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