垂直落下式サミング

終末のワルキューレの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

終末のワルキューレ(2021年製作のアニメ)
4.5
現在連載中の「読むとバカになるマンガ」筆頭。神々による人類滅亡の決議に待ったをかけた戦乙女が、人類史上最強の英傑たちを選出して戦いを挑む様を描いたバトル作品。アニメ版はNetflixで配信され、何かの間違いで海外でも大ヒットしてしまった。
とりあえずファーストシーズンの見所は、佐々木小次郎VSポセイドン戦。ここで出てくるのが、ベタに宮本武蔵じゃなくて、佐々木小次郎なのがいい。顕現するのは全盛期の姿らしいが、死んでからも魂が鍛練を続けていたから老人の姿っていう謎理屈も、なんかいい。
武蔵との試合に負けた件が語り継がれている人なのに、人類側の初白星をあげるのがコイツなのが、またいいんだよなぁ…。佐々木小次郎、彼がはじめて報われている創作物なんじゃないか?
その後は、ノストラダムスとかニコラ・テスラとか、戦闘ムリだろって人の名前があって、ちょっと失速。ワルキューレさんたちも、搦め手で神殺ししようって魂胆がよくない。人類は、真っ向勝負の肉弾戦で神に勝てるッ!そう信じさせてほしいッ!(バカ)
呂布が負けたこと、まだ納得できてないもん。三国志最強の男は、あんな北欧のバカみてえなハンマーぶん投げマンになんか負けないんですけどね。悔しいです。
そもそも、人類史規模のはなしなのに、日本人で4枠も使ってんのダメだよなぁ。坂田金時と雷電為右衛門とか、相撲が強いという特徴がカブってるからどっちか一人でいいし、なんならサムライ枠は小次郎がいるんだから沖田総司とか要らなくない?
ロビン・フッドとかのが、人類規模でみたら勝ち目あるじゃんね?黒人がいないから、モハメッド・アリでもいいよ。雷電がいいんだから、ボクシングもいいだろ。タイソンやパッキャオら世界各国の歴代チャンプが応援に駆けつけて、シャドーで声援をおくって号泣するんだよ。ちょっちゅねー!
いろんな不満がありつつ続きが気になっちゃうのは、やっぱ作者の歴史認識というか、偉人たちの内面に対する解釈が面白いからだと思う。呂布はベタな感じだったけど、アダムと小次郎の描きかたは、本当に新しくて面白くて優れていた。そこが長期連載の分かれ目と思われる。
釈迦(ブッダ)が人類側に寝返ってくれるのとかも、めっちゃ解釈一致だもん。ダメなヤツを救わなくて、なにが仏だ。大好き。
この話の整合性ウンヌはおいといて、こういうバカ漫画は、ああでもないこうでもないと、最強談義ができるのが楽しいところ。
てかもう、ジャックザリッパーがヘラクレスに勝つマンガなんだから、何でもアリだろ。死を惜しまれるヘラクレスと、勝ったのに石を投げられるジャックの対比も素晴らしかった。外野がなんと言おうと、実際に戦った二人だけは特別な感情で繋がっているのもいい。
後に、フィンランドの伝説の狙撃兵シモ・ヘイヘも出てくるらしい。こういう題材で近代戦の英雄はあまり出てこないから、どう描かれるのか、めっちゃ楽しみ。