凛太郎は元柚彦

86―エイティシックス―の凛太郎は元柚彦のレビュー・感想・評価

86―エイティシックス―(2021年製作のアニメ)
5.0
全人類に見てほしい神アニメの一つ。
作画は綺麗だし、キャラは魅力的だし、シナリオは深くて考えさせられるし、何より演出が神がかってる。
音楽を澤野弘之が担当してるだけあって、盛り上がり方が尋常じゃない。
テーマは〝国家〟〝差別〟〝戦争〟で毎話かなりシリアスで重い話が展開される。
このアニメを傑作たらしめている理由は、主人公たちが戦う〝理由〟にあるだろう。
往々にして、戦闘系のアニメではキャラクターの戦う理由が描かれることによって視聴者を物語に引きずり込む。
例えば、『生き抜くため』『自由を手に入れるため』『愛する者を守るため』『強くなるため』とか。
だが、本作のキャラクターたちが戦う理由は『死ぬため』だ。
変えようがない残酷なシステムの世界で、死ぬまで迫害され同胞と戦わせられる奴隷として描かれる彼らは、誰一人として世界や人生に希望を持っていないのだ。かといって、絶望しているわけでもない。仕方のないことだ、と諦め鼻で笑い飛ばし、
『どうせ他人の命令で死ぬまで戦わせられるんだったら、自らの意思で戦って潔く死のう。』
と言い続ける。
もちろん戦闘シーンはかっこいいしアツくなるが、キャラが誰一人生きるために戦ってないという真実が彼らのセリフや表情から垣間見える瞬間、えもいわれぬほど切ないカタルシスが待っているのだ。
一話だけ専門用語や説明が多くここで辞めちゃう人多そうだけど、とにかくこのアニメは二話から始まるのでぜひ見てほしい。