tama

妄想代理人のtamaのネタバレレビュー・内容・結末

妄想代理人(2004年製作のアニメ)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

辛い現実から逃避するために何かにすがりたい人間、言い訳が欲しい。オタクが象徴的に描かれている。彼にはフィギュアがマロミと同じように動いて見えているのだろう。虚構に縋り現実逃避するその最たる例がオタク。
少年バットが虚構なのは1話時点で予想が付くように作られているように思われる。かなりわかりやすく作られていて、良いアニメ。話を単調にしないための工夫が見られる。2~5話も「人を傷付けてしまった」という事実を受け入れられずに少年バットがやったと思い込んでいると思いきや、実際には少年バットの模倣犯がやったという展開。

空想が実態を持つということは現実的に考えれば馬鹿げた話だが、似た事例は現実にも見られる。薬中の寄生虫妄想とか幽霊や妖怪とかUFOの心理社会的仮説とか陰謀論とか。少年バットもその一つに過ぎない。本人が「見た」ならそれはその人にとっての現実であり、それを社会全体で「見た」ならそれはその社会にとっての現実。
オルレアンのうわさ等、噂が現実になることもある。
この辺りをテーマにしたのが8・9話だと思うが10話は何?夢が現実化した?8~10話は正直なくてもいい、補足説明回
マロミも少年バットも現代にはあふれている

現実と向き合うという展開はわかりきっていたけどその演出がいい。

猪狩の世界を昭和のアニメで表現しているのが好き。狐塚の世界がファンタジーだったのは唐突にfalse世界観が変わって驚いた。
true世界観の共有については深く考えない。

マロミは神で少年バットは悪魔?マロミも悪魔で少年バットは悪魔だが神のように感じる人もいる。現代では神と悪魔は同じ存在だよな。救済を与えるし信仰は人を堕落させる行為でもある。善のイデアに到達できないんだから見方の問題。

フロイトを源流とする精神分析や分析心理学は科学だと思っていないが、それらの分野が好きな人にはまた違った見え方になるんだろう
tama

tama