緩いデザインと酷薄な世界観の対照的な配置が印象的で、そのせいか少年少女の冒険活劇に差し込まれる現実に即したグロテスクな描写にあざとさやわざとらしさがなくて悪趣味に転じきらないバランス感覚が割と好みだった。とはいえ作品としてのそうした面白味を際立たせているのは、アビスという世界の謎に対するこの作品世界特有の価値観や文化形態の描写が丹寧だからであって、年端もいかない子供がそうした決断を下す躊躇いの無さやそれでも届かない無情さだったりにフェティッシュな質感を覚える。ガキの裸や身体付きに僕は残念ながら微塵も興味がないので、そちらのフェチシズムにはあんまりピンと来なかったが一見してアンバランスなようで世界観に馴染む主要人物のデザインセンスは中々だと思う。グロテスクな生物とレグ達を同じ画面に置いても、画としての違和を抱かなかったりはその賜物か。第一として世界観が好ましかったのでそこまで退屈ではなかったが、物語としては9話までが丸々プロローグという感じで世間一般で言われてるほどの『悪趣味』『胸糞』『鬱』を一期の範囲では感じなかった。
この嫌がらせじみたアビスの設定を鑑みれば、妥当な障害の数々で済んでいるように思う。まだ。
