Yoshishun

Angel Beats!のYoshishunのレビュー・感想・評価

Angel Beats!(2010年製作のアニメ)
3.8
オリジナルアニメの名作として名高い本作がついにアマプラに降臨したということで、映画そっちのけで視聴。ただちょっと期待しすぎたか。

前世で報われぬ最期を遂げたことで、神が作りしいわゆる地上と天国の間の世界で、幸せな暮らしを続けるという神の意志に反旗を翻した若者たちの日常。その世界では刺されても、撃たれても、ましてやバラバラにされても何もなかったかのように蘇る。そんな生死とは無関係のような中で、各々が前世での記憶からやり残したことを見つけていく。天使がー、とか神がー、とかやたら面倒な説明が繰り返されるが、要は前世での未練をやり遂げて成仏される。神の意志を受け入れればその場にいる者は一瞬で消える。全話を振り返ってみても、わざわざ消える際のエフェクトなどなく、シーンが切り替わると既に消えているのだ。ドライな演出ながらも、幸せな人生を受け入れていく瞬間の温かさを感じさせるばかり。

前半は意外にもギャグパートに重点が置かれ、死を軽々しく描く不謹慎さはあれど、規律を守る学校という場で暴力や奇行に走りまくる死んだ戦線のメンツにはかなり笑ってしまった。ただ食券を奪うためだけにゲリラライブを行う行動力も視てて滑稽すぎる。

さて、最初に期待しすぎたと言ってしまったが、やはり終盤は展開の雑さが目立ってしまったように思う。卒業式に出席した5人以外は特に未練も背景も語られず消えてしまい、自らをChristと名乗っていた人物に至っては全く登場しなくなったために黒幕匂わせていたが、最終回直前は全く登場しなくなってしまった。天使の正体といった伏線回収は鮮やかながら、如何にも泣いてくださいと言わんばかりの大昧な音楽や台詞回しもややドン引きしたし、特にユイの成仏で日向が突然出てきて臭いセリフを吐き散らす(巷では、やんよ回と呼ばれている笑)のにも恥ずかしさを覚えた。

評価も高く、ミステリアスな世界観と全力のギャグ演出のミックス、オリジナルアニメという特性を活かした先の読めない展開、何よりもOPが神曲という良い面もあるが、特に終盤の展開の雑さや感動演出の安さが目立ち、期待していた反面全力で楽しめなかった。ただ人生の肯定という普遍的な価値観に言及している点や、単に実力派のキャスト&スタッフが集結している点でも高評価には納得できる。やはり映画と一緒で実際に自分の目で見ないとわからない。
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