前回に引き続き重ねて言うと、初音は運動神経抜群である。それはどんなスポーツにも当てはまる。だが、香月が姉に匹敵する実力をもつスポーツも存在した。それは水泳である。幼いころから水泳が得意だった香月は、中学生時代も学年トップだった。そして高校生になってからも水泳部に所属し練習に励んでいた香月は、今回ついに、初音が保持していた校内記録を打ち破ったのだ。
その事実は学校中に広まり、メディア部によって大々的にとり上げられた。香月は「姉と実際に競争したら絶対にかなわない」と謙遜するが、メディア部はその「競争」の二文字を逃さなかった。そして、周りが話を大きくしていき、しまいには初音と香月の姉妹による水泳対決にまで発展してしまう。その話に戸惑う香月に対し、初音は楽しそうに、しかし本気で勝負することを宣言。こうして、戦いの火ぶたは切って落とされた。
その後、香月はちはやと勇治とともに、対決に備えて新しい水着を買いにデパートへと出かけた。勇治は香月に対し、色々と水着を勧めるが、どれも布地の少ないセクシータイプばかり。当然のように香月は(拳つきで)拒否。そこで今度は、控えめカットの水着を差し出す勇治。それは香月の好きな若葉色だった。勇治の選んだ水着を着て、勇治の前に立つ。幼いころには無かった緊張をおさえ、香月は勇治に水着姿を披露。だが、勇治のかけた言葉は「意外と胸が小さいな」であった。やはり勇治は勇治。香月は、呆れの感情とともに彼を吹っ飛ばした。しかし、そこで香月は勇治から初めて気づかされる。香月が着た水着以外のセクシータイプのどれもが、同じく若葉色だったのである。勇治は香月の好きな色を覚えており、それを基準に選んでいたのだ。さらにもうひとつ、勇治に気づかされた。前回の一件もあり、姉には自分たちの世話ばかりではなく、やりたいことをやってほしいと願っていた香月だが、そのためにはまず自分が変わらなければならないことに。姉が水泳にやる気を見せているのなら、こちらも全力で応える。香月は、朝早くから学校のプールで猛特訓を開始した。
そして水泳対決当日。余裕の表情を見せる初音に対し、早くも心理的に不利な香月だが、勇治の(若干不真面目な)応援により、闘志を燃え上がらせる。そしていよいよスタート直前。どちらが勝ってもおかしくない、この勝負の行方やいかに!
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