ろいろい

Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-のろいろいのネタバレレビュー・内容・結末

Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-(2021年製作のアニメ)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

💠favorite line💠
"ご清聴、ありがとうございました。"

🎞️catch phrase🎞️
『<私(ヴィヴィ)>が<私(A.I.)>を滅ぼす物語──』
『これは<私>の100年の旅──』

🎞️story&information🎞️
“ニーアランド”、それは夢と希望と科学が混在したAI複合テーマパーク。
史上初の自律人型AIとして生み出され、施設のAIキャストとして活動するヴィヴィは日々、歌うためにステージに立ち続ける。
ある日、そんなヴィヴィの元に、マツモトと名乗るAIが現れる。
マツモトは自らを100年後の未来からきたAIと話し、その使命は「ヴィヴィと共に歴史を修正し、100年後に起こるAIと人間との戦争を止めること」だと明かす。
果たして、異なる使命を持つ2体のAIの出会いは、どんな未来を描き直すのか。
AIの『歌姫』ヴィヴィの、百年の旅が始まる――。


監督はエザキシンペイ。

ライトノベル『Re:ゼロから始める異世界生活』を執筆した長月達平と、そのアニメ化作品で脚本を一部担当した梅原英司が、共同で原案・シリーズ構成。
幅広い視聴者が楽しめるように、SF設定はあくまで作品を盛り上げるための要素として、難解な設定は極力排除している。

特徴として、AIと歌と歴史改変の3つを主題としており、異なる使命をもった2体のAIを中心に物語は進む。

🎞️review🎞️✐✐✐✐✐✐
リゼロで有名な原作者が原案したことで有名なSF作品。
脚本が書かれた年代に丁度話題になっていた「シンギュラリティ」に触れている作品。
話題だからアニメにしてみようという安直な感じが否めないけど、惹かれたので視聴してみた。

映像と音楽は一見する価値のあるもので素晴らしい!!
特に各アクションシーンには目を見張るものがあり、興奮する。
が、そこに脚本・ストーリー構成と演出が追い付いてない…

ここからは少々辛目な評価だけど、許して欲しい。
脚本と演出が良かったら更に良い作品になっていたかもしれないので😵

まず、脚本が薄い。。。。。💦
無理のあるご都合主義ストーリーが散漫。そして過去有名SF作品のオマージュも散漫している。
そもそも、未来を救うという大規模な話に対して、未来を変えるポイントのスケールが毎回中途半端に小さい。

薄いと感じた点をいくつか挙げると

◎主人公をアイドルにする必要性
AIと歌が主題としているのに、2つが絡まっていない。もっと言えば主題の「AI」「歌」「歴史改変」が絡まっていない。実際に作中でも主人公は、歌ではなく戦闘で人を救っている。

◎シンギュラリティ計画の目的と実現方法
人間とAIの戦争を止めるのなら、AIの発達を遅らせることではなく、首謀者を突き止めることでは?🤔
たしかに首謀者を見つけることが難しいからAIの発達を遅らせることにしたのかもしれないけど、100年の間に首謀者を突き止める時間はいくらでもあるはず。

◎終盤手前まで敵対する組織のトアクの描写の弱さ
ラストに手を組むことになるのであれば、印象付けるように強くストーリーに絡めるべき。
設定もあって無いような状態なので、もっと深堀できたはず。

◎主人公が人の死を目の当たりにしてフリーズしたシーン
最終的に主人公は立ち直りはするものの「人の自殺」を乗り越えられたという描写がなかった。
これに関してはもはや物語の核である「AI」の設定がブレブレ。

◎AIが人間になり替わろうとしたアーカイブの結論の理由
人間よりも論理的に考える立場であるアーカイブの結論の根拠が何も語られていない。
脚本のご都合的に敵になった印象しかない💦

◎全ては決められていたこと、そしてラストで再度時間遡行
多くの人が指摘しているけど、ラストで再度時間遡行を行うということは今までのストーリーが意味のないものと捉えてられて興ざめ😵

極め付けは、最終話とその1話手前。
なぜ主人公は歌えなかったのか?
そして再度時間遡行してなぜ歌う事ができたのか?
この描写が曖昧で説明不足なのは作品として惜しいというより致命的。
と、このように薄いと感じた点が多く、それが本来物語の核を成すべき箇所なので残念。

また、作品内に過去有名作品の設定をそのまま持ってきていると思える箇所がいくつも見受けれた。
それ自体は問題ない。むしろオマージュという形で元の作品を昇華できていれば賞賛できる。
だけど、本作はそれができていない。

例えば、メッセージの1つである「AIに心はあるのか」というもの。
これは日本を代表する某名作SFアニメの主題と一緒。
再起動後の主人公のキャラと立ち振る舞い、明らかに意識しているなぁとは思ったけど、まさか衛星の件までオマージュしてくるとは思っていなかった。
しかもその衛星のラストシーンが極めて雑い。
設定をオマージュしているのに対して、リスペクトが微塵も感じられなかった。
似たようなメッセージでオリジナルアニメをしようとしたその勇敢な姿勢は評価できる。

過去SF作品の良いところを取り入れるだけ取り入れてオリジナリティを出せてない。
そして、終盤まで論理的な詰めが甘く、情動操作に走ったあたり、脚本の想像力の限界が窺えた。
幅広い層に観て欲しいからSF要素は深く取り入れていないとのことだが、深く取り入れる技術が無かっただけと言われてもしょうがない。

ちなみににファンを獲得するAI、婚姻の多様化、人権の付与などが散りばめられており新鮮という声も聞こえるけど、既に色々な場所でテーマとしてされてきたことなので、視聴作品数が多い人は既視感があると思う。

次にキャラの設定と演出
よく喋るマツモトに対し、感情がない(薄い)主人公というバディの相性は良い👍
が、それゆえにAIの非人間らしさが無い。
初めから感情がなかったのではなく、薄かっただけ。その時点で心が存在してる。
そのくせ、いきなり非人間になる。
恐らく時代が進むにつれ、人間らしくなっていく様を描きたかったのかな…
最初から心が存在しているのであれば、まず主人公が心を自覚する話をどこかで盛り込むべき。

もう1つの主題「歌」の演出が稚拙。
歌そのものは素晴らしいのに、演出がのっぺりしていて視聴していて退屈だった。
OPが良かっただけに粗が目立つ。

ここまで散々辛目なレビューをしてきたけど、決して悪い個所だけではない。
主人公の人格が変わる度に、歌の指名のためにシンギュラリティ計画に協力するのは同じだけど、角度が違うのは面白いし、
ストーリー展開として、「人間とロボットの成長の違い」も現れていて好感。

映像は綺麗、楽曲も良い、格闘戦闘シーンは素晴らしい。
メタルフロート話ラストの片手に赤い血、逆にの手はAIの青い血の描写はとても良い演出だった。

総合的には
瞬発的に視聴者の感情を盛り上げる力は有る
のにストーリー全体を見ると粗が目立ちすぎてもったいない作品。
これは、脚本が「メッセージ性」よりも「どのような設定を盛り込むか」に重きを置いた証拠。

重厚なSF作品が苦手な人、SF作品をあまりみたことがない人にはお勧めできる1作にはなっているので、そのような人はぜひ見てみて欲しい!!

最後に1つだけ言わせて欲しい。
最終話の曲だけ酷かったw

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story:dアニメストア参考
information:Wiki参考
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