ぺん

戦闘メカ ザブングルのぺんのレビュー・感想・評価

戦闘メカ ザブングル(1982年製作のアニメ)
4.4
ガンダム以外の富野作品で観た中では一番好きかも。産まれる前のアニメだけど観てよかったな。
西部劇風SFロボットアニメで明るめギャグ多め、仲間とわちゃわちゃ旅をする。
でも根底に復讐劇と支配階級へのカウンターもある。キングゲイナーやガンソードは今作の流れを汲んでる感じ。

舞台は文明が滅び荒廃した砂漠の星で、そこは支配層イノセントと被支配層のシビリアンが暮らす世界。
シビリアンには「三日限りの掟」があり、窃盗でも殺人でも三日たてば無罪放免、加害者はやり逃げ、被害者は忘れろというもの。
その「三日限りの掟」を破り、親の仇を追い続ける青年ジロンが主人公。
みんなが常識と思っている矛盾に反抗し、信念に従い生きることを求めるジロンの姿に出会う人々は感化されていく。

ガソリンを燃料としたメカで戦い生き抜いていく姿が泥臭い。
作画もよく動くし割とすごいことやってる。
軍隊がないのでロボットはハイテクな戦闘メカではなく、すぐ壊れるポンコツだったり、車のように移動や生活必需品として使われているのも面白かった。
ヒロインたちはジロンに気がありながらも他のイケメンにアピールしたり、今ならビッチ呼ばわりされるのかなぁ。でもネチネチしてなくて良いのよ。
娯楽のない砂漠で過ごしており、「文化の香り」に弱いエルチちゃんの気持ちはなんか分かる。奔放で好き勝手な奴らだけど敵キャラも含めてみんな憎めない。

後半はシビリアンへと叛逆し少しシリアスになっていく。
シビリアンも全員がいけすかない支配者ではなく、理解し合える部分のあることが嘘くさくなく描かれていた。
長い物語の終わりの爽やかな大団円は泣くわ。
富野作品に限らず、数あるロボットアニメでこんなにすっきり終われる話は稀有じゃなかろうか。
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