土の中からこんにちは太郎さん

BEASTARSの土の中からこんにちは太郎さんのレビュー・感想・評価

BEASTARS(2019年製作のアニメ)
4.3
原作未読。
シーズン2までの総評。

声優さんのキャスティングいずれもが絶妙。
特にレゴシの"朴訥としていそうでいて頑固な一本の芯がある"感のハマリようはすごい。
CGとアニメーションの調和が中々良い!
多少のぎこちなさ・不自然さはあるものの、補って有り余る作画のブレなさと細やかな動きの演技は、モーションキャプチャーやプレスコなどの技法・手法の混合具合が異常に上手いおかげなのだろう。
練り込まれた設定の数々に、繊細な演技(アニメーション)が調和して、のめり込むように一気観した。
劇中音楽、OP・EDのいずれも良いスパイスになっている。
近年稀に見る技術革新で良いショックを与えられた。

シーズン2のラスト3話くらいが妙に展開が早く、それまでが緻密にして繊細な積み重ねであった反動から雑にすら感じる作りには物足りなさを感じた。
画竜点睛を欠くが如く、結構残念な終わり方。

高校生達が織りなす青春群像劇。
と、ひと口で言い切れない設定の妙が好き。
肉食と草食が共存する社会でそれぞれがコンプレックスを抱え、悩み、欲望に葛藤したり身を任せることで折り合いをつけたり。
一見すると二足歩行の動物が織りなすファンタジーに見えるが、実際にはかなり地に足がついた、現実の問題を描いている作品だと言える。
それはもう生々しいほどに。

金城一紀著の"GO"で主人公が「みんなと違う見た目ならよかった。それなら近づきたい奴だけ近づいてくるし、そうじゃない奴は近づいてこない(意訳)」や、諌山創著の"進撃の巨人"で触れられる「人類共通の敵が現れれば、人類は一眼となるのか(答えは否)」というテーマのひとつに、この作品は草食・肉食といったまた別の視点からフォーカスを当てていて面白い。

21年5月16日、原作読了。
なるほど。
やっぱりアニメ版はコマ間の微妙な余白を描写することで、登場人物を生き生きとさせて自然なリアルさを生んでいた。
隕石祭のティラノサウルスの大きさ、故の足場の有無などの違いといった思い切った演出の変更も良い方に作用してると個人的には思う。
その代わりでもないのだろうけど、おじいちゃんとのエピソードを端折られてる。
そのせいもあるのか無いのか、シーズン2の最後の方はやはり減速感が否めない。
タイトルのビースター"ズ"を回収するためにも最後までアニメ化してほしいけど、無理なのかなぁ…。