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サクガンのKEiGOのネタバレレビュー・内容・結末

サクガン(2021年製作のアニメ)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

終わりました…!
まずは改めて1クールを振り返りたいと思います。

1,2,3話:世界観の説明とバディの絆が中心に描かれる。
4,5話:環境保全、コロニーから意図的?に断絶された生命の循環が描かれる。また、メローロは環境だけでなく、文化の保全・継承も目的とすることが明かされる。
6話:格差と分断が描かれる。
7話:マジックマッシュルーム回。
8話:ガガンパーとザックの因縁回。"疾風"も初登場。このとき娘と向き合ったはずだった…。
9話:無人島回。また、シビトの活動も描かれる。
10話:ラビリンス自体が人類の歴史を繋ぐための超巨大システムであること、気候変動に伴う危機が迫っていること、管制局から見たシビトの目的が明かされる(恐らく地上は核で汚染されている…?)。まーだ親子喧嘩してるよ。
11話:舞台はアメリカをモチーフにした”ドリームコロニー”。アメリカンドリームとは裏腹、職業選択の自由は保障されていない様子。また、クリエイター(アーティスト)とファンのすれ違いも描かれている。
12話:俺たちの戦いはこれからだ!

このように『サクガン』は様々なメッセージを伝えようとしていた気がします。そういう意味では、もしかしたら一話完結型にして、薄く世界観を広げる形にした方がよかったのかもしれない。しかし、初動を観る限りバディ冒険モノを作りたかったような空気を感じるので、やはりストーリーに厚みを持たせた全話連動型の形の方が適しているようにも思えます。
これは私の推察の域を出ませんが、ここはスタッフ間でかなり揉めたor議論されたのでは。恐らく「世界をターゲットにした作品なので、SDGsのような社会問題を提起するメッセージを込めたい派」と、「『天元突破グレンラガン』のようにとにかくアクション・冒険でぶっ飛ばして、その中に特に伝えたいメッセージ(恐らく家族や相互理解、文化の継承あたりが主軸)を少し込めれば、あとは(良い意味で)作品が独り歩きするでしょ!派」がぶつかって、その折衷案がこれだったのではないでしょうか。結果、まとまっているようでまとまっていない、宙ぶらりんな形に落ち着いた、と。

所謂打ち切りなのでしょうか。最終話を迎えても何もオチず、消化不良だけで、
・虹の子の秘密
 ・メメンプーの記憶
 ・メメンプーが特別な理由(頭部の手術根)
 ・シビトの思惑
・ガガンパーの過去
 ・相棒ルーファスと何があったのか
 ・メメンプーとはどのように出会ったのか(メメンプーの記憶のシーン)
 ・妻?らしき人物との関係性
・その他
 ・カイジュウ
  ・シビトが岩盤の振動からカイジュウの出現を予測していた仕組み
 ・チラっと見えたプリンセス
 ・メローロの家族
と盛り沢山!
ポジティブに捉えたらこれだけ余白が、伸びしろがあるってことです。往年の『ガンダム』作品だって、明らかに不必要なギャグ回を度々挟んでいましたし、『サクガン』も4クールくらいあれば、このテンポも納得なのですが…笑

褒めたいのは今作が初主演の天希かのんさん!初主演とは思えない演技でした~!メメンプーがメメンプーらしく生き生きとしたのは彼女の功績に他なりません。
また、楽曲も好きでした!遠藤正明さんのパワフルなボイスとサウンドで冒険心を焚き付けられる一方、MindaRynさんの優しく透き通るような歌声に心を癒されました。

『サクガン』を1クール追いかけてきて思い出したのは『ウィザード・バリスターズ 弁魔士セシル』と『ガリレイドンナ』ですかね(まじで他意なくどちらも梅津監督作品になってしまった…笑)。世界観の奥行きが凄まじく、序盤の期待が高いが故に、後半の展開に物足りなさを感じてしまうところが似ていたかなーと。

後出しじゃんけんになりますが、『サクガン』は友人が制作に携わった作品でした。何かを創り産み出すことの難しさ、大変さを噛み締めながら1話1話拝聴させて頂きました。近しい人が同人ではなく商業として何かを作って世に送り出すのは、僕にとっても初めての経験でした。ただの消費豚でしかない青二才の感想を「どんな感想もありがたい」と受け取ってくれた友人には頭が上がりません。ここまで作品を届けてくれてありがとう。これからも楽しみです!


早く自分も誰かに何かを届けられる人になりたいな。



参考
・コミックナタリー, "アニメ「サクガン」サテライトだけどサテライトじゃない、全世界をターゲットにしたアニメ作りに奮闘した日々", https://natalie.mu/comic/pp/sakugan
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