未来が見える少女・びわの目を通して平家の栄枯盛衰を見つめる物語。
令和の世に平家物語をアニメ化するという試みだけで10000点くらい付けたいところだが、内容もとても素晴らしい。
透明感のある美しい絵巻物のような古風な作画、今と昔が混じりあうベストマッチの音楽、繊細な人物の心情描写…。毎回の琵琶の語りも背筋が伸びるような圧倒的な存在感と、全てにおいて映画並みのクオリティ。
今の世の中の説明過多で派手な作品とは一線を画すような、静の美しさに満ちていた。
個人的にはここまで平家に優しく心を寄せた作品を観るのは初めてで、OPの歌詞にある通り、最終回のストーリーは決まっているけど平家の人々に一喜一憂して応援し、最後まで見守らずにはいられなかった。敦盛の悲しくも美しい最期は忘れられない。
大河の「鎌倉殿の13人」を並行して観ているので、アナザーストーリーとして大河の補完にもなったのは嬉しい効果だった(情緒はおかしくなるけど...)。
登場人物では実直な重盛と、運命を受け入れながらもひたむきに生きようとする徳子が特に好きだった。
儚くも美しいこのアニメに出会えて良かった。