何がしたいのかよく分からないアニメだった。気鋭のスタッフキャストを揃えて美少女ガンアクションに百合、社会派風のトロッコ問題と話題になりそうな要素をサンプリングし、事前の宣伝も抜かりない。アニプレが何度目かに放つ「ジェネリック『まどマギ』」と確実に当てに行く作品として企画されたはずなのだが、出力されたものはどうにも煮え切らない。美少女版『シティーハンター』として荒唐無稽でありつつもしっかりキメるハードボイルドを貫き通せば特に可もなく不可もなくだったにも関わらず、中途半端に現代日本の問題を憂いたりするテロリストをラスボスに設定してしまう。確かに冒頭から少年兵もとい少女兵が社会に搾取されている世界観であることは示されているが、真島は男なんだよな。百合をやりたいならあくまでもジョーカー気取りのヴィラン野郎を引っ張り続けるべきではない。ちさたきに介入する三角関係としても美味しかっただろうに、途中からちさたきではなくちさまじの様相を呈してくるから始末に負えない。あのさー、百合に男が挟まるのは無問題でも別個にカップリングが成立、しかもそっちの方が矢印の重力が強いのはマズいと思うのよ。更にそこには、育ての親であるミカや吉松も絡んで百合の純度が薄まる薄まる、千束がたきなに向ける感情は友愛の域を遂に出てはくれない。二期をやる気が満々なら一期でそういうのは終わらせておいてくれ。男同士の愛を今時風に肯定するのはちっとも構わないが、分量を明らかにミスってる。最終的に立ち上がらなくてはならない「大人対子供」の構図も、中途半端にそれぞれの理がありますよなんて手打ちでうやむやにされてしまうのも嫌。ガタガタの世界観を作っておいてそんなおためごかしで騙されると思ったら大間違いで、もっと正面から向き合って血みどろにならないと駄目だと思います。達観してるふりをしてモブは不細工ばっかりだからむしろ前時代的で下品、美少女アニメでうんこちんちんネタをやる判断。やたら多いトイレシーンに一番作家性が表れているなんて嫌過ぎる。バズった理由がカップリング等の「妄想の遊び場」を作ったことにあるんだとしたら、この位の設備は他にも沢山あるから大したもんじゃないと思う。サンライズが『ダーティペア』新作を作れば良かったんだよ。
