倉田英之は俺をオタク畜生道に堕した元凶の一人(他にも沢山いる)であり、「倉本」は我が家にある聖書の一冊になっている。何となく思い立って10年ぶりに原点を確認してみた。まず普段は神保町の一角にあるビルで本の山に埋もれながら非常勤講師やりつつ、実は英国のエージェント、しかも巨乳眼鏡っ子である読子・リードマンの造形が素晴らし過ぎる。この性癖全部盛りの手付きは20年経った今でも色褪せていない。OVAらしく現代に蘇った偉人！それに対抗する超人エージェント！世界各国が舞台！なんて節操ない組み合わせなのに、勢いで乗り切るから破綻していない。作画力を全開にした飛んだり跳ねたりアクションではなく、身体の重さを実感させる地に足着いた描写。ここは舛成孝二の色が出てる。読子さんがスーツケースをえっちらおっちら運びながらいちいち鈍臭い仕草を見せるのがたまらない。あと以前は気付かなかったけど、百合だこれ。湿っぽい女同士の情感が要所に滲む。最後にロザミィ化してるナンシーさんとか背徳的だよね。百合作家としての倉田英之を掘っていきたいすね。
