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本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられませんのtakefourのレビュー・感想・評価

4.2
今や、ラノベ界とアニメ界を席巻する「小説家になろう」通称「なろう」。
個人的には、「なろう」発の小説で一番好きで、一番良く出来ている物語だと思っています。

「なろう」の小説は、謎とか設定を取っ散らからせたのに、更新が滞って完結していないものがたくさんあります。

でも、この物語はちゃんと完結しています。
全部回収した立派なラストです。何度読んでもロスになるくらい。

「本好きの下克上」自体を知ったのがこのアニメなので、あまり偉そうなことは言えないのだけれど、アニメ1期が終わったあと、続きが知りたくてたまらくなって「なろう」で読みあさりました。

全部読んだら1ヶ月以上かかるめちゃくちゃ長編の物語だけど、耽溺という言葉がぴったりな読書体験をさせてもらいました。

1期と2期は3ヶ月くらいしか間を空けないで放送されたけど、3期は2年近く空いてしまって、やっぱり続きはどうだっけ??となって2回目読破したのが2022年でした。
この時も1ヶ月くらいかかった。

「なろう」からダウンロードしたテキストファイルを Kindle にコンバートして読んでいます。

「なろう」の小説は結構読んでいますが、ここまで面倒臭いことまでやって手元に置いているのはこの作品だけです。

「書籍版買えよ!」という声が聞こえてきそうですが、B6版でちょっと豪華なのでお値段が高くて、それが33巻もあるのでなかなか手を出せません。ごめんなさい。

「なろう」お得意の異世界転生物です。
でも、女性が主人公なのは当時珍しかった。

図書館司書になるのが夢という22歳の女子大生が、念願の図書館へ就職が決まった日に大地震が起きて、書棚から落ちてきた本に埋もれて亡くなってしまいます。

もっともっと本が読みたい!
本に囲まれて暮らしたい!!
図書館司書になりたい!!!
神様、転生させて!!!!!

気がつくと5歳の少女=マインとして、中世ヨーロッパ風の世界に転生できたけど、その世界には本がなかった……、無いなら自分で作っちゃえ!!という物語。

アニメシーズン1では、転生意識が覚醒した5歳から、自分の身を守るために神殿に入る7歳までの約2年間が描かれます。

物語全体で描かれるのはマイン5歳から15歳までの10年間なので、年数としてはシーズン1は全体の1/5程度たけど、この後が長いんです。

この物語で、一番驚いたのが、壮大なファンタジー世界を緻密に創り上げている点でした。

世界の成り立ち・地理・歴史・社会・世界情勢・政治体制・宗教・教育・文化・習俗・魔力特性・魔法生物に至るまで、架空の物語世界が緻密に創り上げられています。
驚愕です。

魔法がある世界だけれど、魔法が使えるのは貴族のみ。
貴族の中でも魔力の強弱があって、それが世界での地位に直結している世界です。

稀に平民からも魔力を持つ子どもが産まれるのだけれど、その子らはとても病弱で短命を宿命づけられています。

転生した女子大生=マインは平民なのに、膨大な魔力を持って産まれました。
だから頻繁に発熱して寝込みます。

シーズン1ではマインはなぜ病弱なのか、という謎と対処が主なテーマとなって物語が進みます。

病弱な身体ながら、本への情熱が冷めず、本の素材である紙の研究から始めて、なんとか紙を完成させます。

魔法世界の異様な魔木を素材にするのですが、このあたりの課程も細かく丁寧。

紙を完成させてマインが病弱な原因が明かされ、死を避けるために神殿に入ることを決意するまでがシーズン1で描かれます。

サイドストーリー的に描かれるのが、マインのさまざまな発明品について。

21世紀に読み漁った書籍から得た膨大な知識を持っているマインは、中世ヨーロッパ風の世界に足りていない品物を作るようになります。

作り出すものは女性ならではの商品。
やがて評判を呼んで、大きな商会から声がかかって販売もするようになります。

これが今後の本作りの大きな原資となるのですが、まだ先の物語だったかも知れません。

2024年現在シーズン3まで制作されています。
シーズン4の制作が発表されたのが2023年暮れで、制作会社は WIT STUDIO とのこと。
どれくらい進んでいるのでしょうか。

Filmarks の Mark! 数等見ると次が勝負のような気もします。
超長い物語を全部アニメ化したら、あと100話くらいは必要な気もするので、アニメ化完走できないかも知れません。

本が好きな方なら、きっと琴線に触れるはず。
ひとりでも、視聴者が増えることを祈って。
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