おときち

SHIROBAKOのおときちのレビュー・感想・評価

SHIROBAKO(2014年製作のアニメ)
4.2
これはオススメ。

このテレビシリーズを観る前に『劇場版 SHIROBAKO』を鑑賞したことをちょっと後悔。あの時ちゃんとテレビシリーズを観てから劇場に行っていたら、もっと映画が楽しめたのになぁと。


ここ最近いろいろなアニメ作品を観ていることに加え、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:‖』や『プロフェッショナル 仕事の流儀 庵野秀明スペシャル』を観たところで本作を思い出し、一気に鑑賞。


高校のアニメーション同好会出身の5人を中心にアニメ制作の現場を描く群像劇。
「アニメ制作って大変だよね」というアニメを観るっていうなんとも言えない感覚。
罪悪感とか申し訳なさとも違うんだけど、「このアニメを作るのも大変だったんだろうな」と。


本作でも他の作品(アニメに限らず)でもそうだけど、スタッフのクレジットを見る目が変わる。
どれだけ多くの人が関わっているのか、という事実。
いやはや「あぁ、あのアニメつまんないよね」なんて軽々しく言えなくなってしまう。
もちろん制作に関わる皆さんに敬意は持ちつつ、面白いとかつまらないとかはこれからも言うと思うけど(好みもあるし…)。

でも、足を向けて寝られないというか。感謝と尊敬の念が強くなる。
毎回クレジットも飛ばさず見ていました。

アニメ制作に関わる全ての人が報われるといいなぁ。あれだけ大変な思いをして、好きだからこそ真剣に作品づくりに携わっているのに、それだけでみんなが潤うわけじゃないんだろうな。収入的な潤いが全てではないのかもしれないが、食っていけないんじゃやっていけないし。
アニメ産業の構造的問題をけっこうあっけらかんと取り上げている。
手塚治虫先生がこのアニメを観たらどう思うんだろう。もちろん手塚治虫は大好きだし尊敬してますが。


でもジメジメしてないのが魅力。
登場人物も多く、すぐに顔と名前を覚えてられなかったけど、みんな個性的で仕事の進め方もそれぞれ。おい、タロー、お前に言ってんだ。
時にぶつかり合いながらも、作品の完成という目標に向かって、一丸となって進む。まぁそうじゃなくては作品って生まれないんだろうな。


『えくそだすっ!』の制作を中心とした前半と、『第三飛行少女隊』の制作を中心とした後半。
前半でアニメ制作の流れを押さえつつ、その流れに翻弄される日々を描き、後半では一気に成長する物語。
いやいや、これだけじゃないんだよ。書き出したらキリがない。これはもう「観て!」としか書けない。

しかし良いエピソードだらけだった。メインの5人がそれぞれ「制作進行」「アニメーター」「声優」「CGクリエイター」「脚本家」というポジションなので、常にさまざまな現場を知ることができる楽しみがあり、誰か1人ではなくみんなを応援しながら観ていた。おい、タロー、お前もだよ。
終盤は泣いちゃったな。報われてよかった。


登場人物を理解したうえでもう一度観ると面白さが深まりそうな気がするので、すでに2周目に突入しています。
劇場版もまた観よう。
これはオススメです。