都部

カードキャプターさくら クロウカード編の都部のレビュー・感想・評価

4.2
小学四年生の可愛気ある少女さくらの爽やかなカード集めの日々を描く一方で、辺りに広がる関係性は尽くインモラルという歪さに惹かれましたね。完全に食わず嫌いで今まで目にして来なかったんですけど、オタクと名乗るに烏滸がましい私からしても従来の魔法少女イメージとは異なる設定の連続で非常に新鮮でした。
どちらかと言えば召喚士の方が近いのかな。

全46話──安定感抜群なセル画による作画と手抜きのない演出と全てにおいて高水準なアニメーションなのですが、それに加えて歳の差.同性愛と時代を先取りした性的嗜好を取り入れながらも子供向けの範疇に収まる尺度でそれを臭みなく描いている微妙なバランスにビックリですね。
時代を築いただけの説得力があるというものです。

個性豊かで嫌味のないキャラクター立場の等しく魅力的ですが、大道寺知世は出会う時期が違えば私の嗜好を狂わせていたであろうキャラクターでしたね……。彼女が毎回用意するさくらのコスチュームの一つ一つも魅力的で、これを毎週放送していたというのだから驚きです。作画えらい大変そう。

そんな感じで完成度の高い作品でしたね。満足。

追記.
・多用的な感情と距離感を描いた作品なだけに、途中で教師と生徒の仄かな恋愛劇は強制的に作劇から降ろされて消え去ったの露骨すぎて笑ってしまったんですよね──まぁ、ダメなのは分かるけど、作中で描写していたのだからああした形ではなくしっかりとドラマとして消化して欲しかったかも。

また実はアニオリキャラクターだったらしい李苺鈴は賑やかしとしては便利な立場だっただけに、最終局面ではああした形でエスケイプして原作に沿ったそれになるのは致し方ないとはいえ……と思うところがなくもなかったです。
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