都部

電脳コイルの都部のレビュー・感想・評価

電脳コイル(2007年製作のアニメ)
3.7
直撃世代なので作風と併せていい感じにノスタルジーに浸れる後味だった。
仄暗さを隠せない電脳世界における都市伝説や怪談が話の縦軸に有機的に絡んで、後半 話の深刻度が上がるに連れて前半の子供の遊びで済んでいたあの頃が懐かしく思える構成が好き。
二人の転校生によって、あくまで児戯の道具に過ぎなかった拡張現実世界の仄暗い裏側の世界がやがて見えてくるという構成の組み方も非常に魅力的。
視聴者からすれば早々から、小学生の子供が持つには無法な代物であると断じられる『眼鏡』の持つ危険性が、続々と明るみとなり子供達が前後不覚の状況に陥る様は浪漫と不安をこれでもかと掻き立てられるだろう。
『眼鏡』だけを見れば夢の近未来と言えなくもないが、この世界観の脇を固める『サッチー』や『イリーガル』の存在が、独特の味わいとして作品を補強しているようにも思える。
物語前半の遊び心溢れる子供達の小競り合いの数々の方が胸踊るのは確かだが、かと言って後半の真相に対する究明が退屈だったかと言われると個人的にはそうでもない。
むしろ情報に対して展開の目まぐるしさが目立つ。
元々3クールの話を2クールに圧縮した弊害か、終盤の畳み掛けがどうにも性急に感じるのが作品全体として『もう一歩……!!』となる大きな要因ではありそうだ。
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