てっちゃん

ウルトラマンレオのてっちゃんのレビュー・感想・評価

ウルトラマンレオ(1974年製作のドラマ)
3.0
「ウルトラマンタロウ」の後継作であり、昭和第2期ウルトラシリーズ最終作。当時はすでに「ウルトラ」を卒業していたので、今回初めて、通して視聴しました。前作「ウルトラマンタロウ」とあまりにも違うテイストと、これまでにない設定や展開にびっくりです。

「骨肉相食む人間ドラマ」「生きる厳しさと哀しさを鮮烈に謳う」という方向性の企画に加えて、終末ブームの影響もかなり受けているようですね。

2部構成での初回も「セブンが死ぬ時!東京は沈没する!」で波乱含みのスタート。セブンのピンチに、レオが助けにくる、と思いきや、早々にセブン(モロボシ・ダン)からダメ出しされて、特訓の末、どうにか敵を倒す、という展開。(レオはL77星からきていて、最初からおおとりゲンとして地球に存在している設定もこれまでにない)
この展開が、その後の基本フォーマットになり、毎回、おおとりゲンが失敗し、上司であるMAC隊長・モロボシダンに、鬼舞辻無惨なみに理不尽な叱責をされ、問答無用で過酷な特訓を強いられます。(すぐ鉄拳制裁する隊長なんて、歴代ではいなかったのに・・。仲間であるMAC隊員との関わりも薄く、皆、さくさく殉死する)

おまけに宇宙人(怪獣)が、通り魔の如く、次々と人に襲い掛かり、惨殺していく。正直観ていて気が重くなりましたよ。(お父さんが子どもの目の前で真っ二つ!)

ただ不思議なもので、次第にダンとゲンの二人中心の物語に慣れていき「怪奇シリーズ」「日本昔話シリーズ」の頃に二人のバディぶりも安心して観られるように(路線修正だと思いますがダンも少しは笑ってくれるようになってくる)

さらに伝説のウルトラマンキングやいきわかれた双子の弟アストラの登場や、アンヌ?との再会に黒部進、桜井浩子のゲスト出演、そして新マン・郷ひできが助っ人に来るなど盛りだくさんな試みも。(ただセブンガーが一回しか出ないなどあまり連関性がない)

極め付けが「決闘!レオ兄弟対ウルトラ兄弟(38話)」「レオ兄弟 ウルトラ兄弟 勝利の時(39話)」ウルトラの星が暴走し、地球に激突する、といった大胆すぎる設定。ウルトラの星の格納庫?からにょっきり登場するウルトラ兄弟。「アストラを殺せ!」と物騒なことを叫びながらの乱闘シーン。重要なウルトラキーを真っ二つにして去っていくウルトラマンキング。ラストは「おーい。アストラ。俺達はウルトラ兄弟になったんだぞ~」と、めでたし、めでたし、しかし次の週には!

最終クールにあたる「恐怖の円盤生物シリーズ」。その初回、あろうことかMACはモロボシダンともども全滅(ほぼ瞬殺状態)。続いておおとりゲンを取り巻く親しい人々もほぼ全滅。ここまでが番組前半で、後半は美山家に居候となったゲンが「いただきまーす」と満面の笑みを浮かべる朝食シーンと、仰天の展開で始まります。

実際このクールだけ観ると、それまでの設定が無かったこと(まるでアナザーワールド)のようになっていて、MACのことは誰も口にしないし、他の防衛軍も出てこない、美山家にすっかり馴染んでホームドラマのよう。(美山家、お母さんが春川ますみ、末の娘が杉田かおるですからね)
一方で、ブラック指令はレオを殺すための、暗殺者として円盤生物を次々と送りこんで来ますが、このクールでは、俄然レオが強い。格闘技だけでなく光線ワザも使って撃退。

そして、迎えた最終回。セブンが駆けつけるとか、アストラと共にウルトラの星に行くとかを期待したのですが、「タロウ」と同じく旅にでてしまうゲン・・・・。
通して観ると視聴率、製作費等で苦しめられながらも、創り手側のあの手、この手の工夫と新機軸で走り切った異色の作品。後期のウルトラシリーズにもしっかりと影響を残したと思います。
てっちゃん

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