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息をひそめてのdojiのレビュー・感想・評価

息をひそめて(2021年製作のドラマ)
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ふつうのひとたちをふつうに描くことが、日本の映画やドラマの世界では難しいのだろうなと思ってひさしい中、このドラマシリーズは観終わってから生活の随所で思い返すような日常性が確かにあって、ひさびさにこのような現実感のある手触りを感じさせる日本の作品を観ることができたなと思う。進行形であるコロナ禍を反映させることができたスピード感も含めて、この作品が達成できたことは小さくないのではないかなと思う。

ものがたりがなにを担うべきなのか、というのはよく考えたりするけれど、最終話で描かれるマスクのない社会は、いまのような明日への見通しがまったく立たない日本の状況で、まるで夢ものがたりのような美しさと儚さでいっぱいだった。夕暮れの時間を小さなコミュニティの中で共有すること、そのつつましさと愛おしさのようなものは、この規模感だからこそ描くことができるものだと思うし、なによりいま必要なものがたりだなと思う。
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