ヘイヘイ

大豆田とわ子と三人の元夫のヘイヘイのレビュー・感想・評価

大豆田とわ子と三人の元夫(2021年製作のドラマ)
5.0
2021年のベストドラマです。
(実質的には本作と"賢い医師生活"の2強)
本作は一度リアタイ視聴し、そのあと好きなセリフをエクセルにメモ取るために何百回も一時停止→巻き戻してもう1回観た!のレベルで好きです。
おそらく人によっては、歯が浮きそうなセリフの応酬が合わない人も一定数いらっしゃることかと。でも、それこそ個人の価値観なんだよなぁ。
自分は大好きです!(坂元信者)

馴れ初めでいうと、そもそも坂元作品ということを意識して作品を選ぶことって、これまでなかったのですが、“花束みたいな恋をした”を観てから、この人の脚本作品もっと観たいなぁ、と思ったのが出会いの始まり。
そこから、豆とわ→カルテット→Mother→Woman→anone→いつかこの恋を思い出して〜→スイッチ→最高の離婚→それでも、生きてゆく→モザイクジャパンまでを完走。今ではすっかり洗脳済です。

特にカルテット、Motherとそれでも、生きてゆくは坂元作品群の中でもとってもお気に入りで、好きなシーンは繰り返して観てます。カルテットは高橋一生氏の台詞が本当におもしろい。

本作の視聴率は平均5%くらいだったので、それほど話題にはなっていないはず。たしかに、大きな展開が毎話あるわけでもなく、毎話泣かせます!みたいな話なわけでもなく、ふんわ〜りした感じの、でもたまに胸がぎゅーっとするようなしないようなそんな感じ。

これから、大豆田とわ子はじまるよ〜のメタ的演出、日常あるあるの切り取りがいちいちおもしろい。(伊藤沙莉氏がナレーションでしたね)

自分は1話のエピソード終わりから、そのままED曲のPresenceに繋がるとこ、毎週EDが変わるとこにもやられました。地上波のドラマでかつて墨入ってるアーティストがこんなにまで前面に出ていた作品が果たしてあっただろうか(その気概をめちゃ誉めてます)
関ジャムの2021年ベストでもピックアップされてましたね!嬉しかったです。

本当に言及したいとこはたくさんあるのですが、なるべく絞ります。
これから観よう!って言う方は観てからスクロールどうぞ!











一つ目は、坂元作品群の一貫したテーマであろう(勝手に思っている)”個人の価値観、それをどう受けとめるのか”です。

本作でも、各キャラクターの価値観は様々。岡田将生が演じるしんしんは特に際立ってます(笑)。

かごめはアロマンティック・アセクシャルであることが示唆されているし、とわ子の母も女性を愛していたっていう描写があります。その中で、最終的に主人公は"愛し方はひとつじゃない、それぞれに愛のかたちがあるよね、それでいいじゃん"っていう結論に至る。

”花束みたいな恋をした”も、個人的には付き合ってる/付き合ってない、結婚している/していない、ていう枠ではカテゴリできないような「愛情」ってあるよね。そういう関係があったっていいじゃん、ていう風に受け取りました。(愛がなんだ、も個人的にはそう受け取りました)

本作品の根底に流れている、この”あらゆる価値観の肯定感”がこの作品の一番好きなところであり、坂元信者である所以です。
”一人で生きたいわけじゃない”というのが、本作のキャッチコピーですが、まさにそうだなぁと。そして、"一人で生きれないわけでもない"、でも誰かが寄り添っていてほしい。それが元夫であって何が悪いの?と。
バツ3子持ち、それの何が悪いの?と。


2つ目は、第7話でのお話です。
オダギリジョー演ずる小鳥遊が、自身の死生観について話す場面。
(小鳥遊のセリフ詳細は下記を参照願います)
親友を亡くしたとわ子は、胸を打たれて泣いちゃうわけなんですが、
その場面でオダギリジョーは、たったひとこと“こぼれてます”って表現するんですよね。涙出てますよ、とかじゃなくて。
ここに至るまでの伏線として、ソースがこぼれたり、サンドから中身がこぼれたりっていうのを見せてからの、ここに集約させてくるこの感じ。
これに気づいたとき、(考察ブログで知ったのだけれど)本当にしびれた。たしかにカルテットでも、”思いは勝手にこぼれるもの”ていうセリフがありました。”伏線”ってよく一回出てきた事柄が回収されることを指しているように思われてますが、本当は全く関係なさそうな事柄が一つに繋がってくることだと思うので、ここらへんの伏線の張り方と言葉のチョイスが本当にうまいなぁと感心します。


以下は、マトリックスのレビューで開催されたマトリックスカッコヨ台詞総選挙に続く、「豆とわのあぁ〜これよくわかる・刺さる選手権」です。
前述のとおり、録画した番組を止めながら戻しながら頑張ってエクセルでまとめてました。
(1話見るのに1時間半以上かかってやっとのことで完成したら、すぐNetflixで字幕付で配信されたのでかなりイラっとしたのは秘密)

”1人でも大丈夫な人は大事にされないものなんなんだよ。
とわこはどっちかな、1人でも大丈夫になりたい?だれかに大事にされたい?”(1話:とわ母)

"うん、他人だね。関係ないね。清少納言とステーションワゴンくらい関係ない。他人だけど、関係ないけど。早くほかの人と付き合ってほしいんですよ。じゃないと、こっちが終われないんですよ。"(2話:しんしん)

"なくしたんじゃないじゃん、捨てたんじゃん。捨てたものは帰ってこないよ。私はもう思い出にしたし、さよならも言った。
結婚も恋愛も"契約"とは違うから、ひとりが決めたらそれで終わりでしょ。異議はありますか?"
(2話:とわこ)

違うって、仲悪いままだって(とわこ)
>犬派ですか?猫派ですか?って聞かれるより嫌い(しんしん)
紙でピッて手切れるより嫌い(とわこ)
>お休みの日は何してるんですかって聞かれるより嫌い(しんしん)
ビュッフェのカレーのおたまの持つとこにカレーついてるのより嫌い(とわこ)
>椅子に座ってから券売機で食券買ってくださいって言われるのより嫌い(しんしん)
戦争より嫌い(とわこ)

"器をさ、小さくすればいいんだよ
誰だってね、苦しいときあるよ
思ってたのと違うなあ、やってらんないなぁってときはあるよ。
そういうときにさ、我慢することないんだよ、
ひとりで乗り越えることなんてないんだよ。
愚痴こぼしてこうよ、泣き言いってこうよ
器が小さかろうとなんだろうとさ、愚痴くらいこぼしてかなきゃやってらんないでしょ。"(3話:かたろう)

"花束っているかなぁ?
もらったときはうれしいけど、3日後にゴミ箱に捨てるときは嫌な気持ちになりますよね。
結果プラマイゼロじゃないですか?"
(3話:しんしん)

“自己紹介っていります?
自己紹介意味なくないですか?
中村です。あ中村か。
31歳です。あ31歳か。
オムライスです。あオムライスか。
ってなんの感想も浮かばないですよね?
そもそもそんな単純なデータで人間を語れます?
30年間自分と一緒にいる自分でさえ自分がわからないのに、それって理解できると思います?”(しんしん)
>大丈夫、今自己紹介できてたから(かたろう)

"じゃ聞くけどさ。もし、あなたがもう一人いたらその人のことどう思う?あなたはあなたと付き合いたいと思う?
想像してみて、自分と付き合ってる自分を。"(6話)

”もう遅いよ。
どこを好きだったかを教えるときは、もうその恋を片付けるって決めた時だよ。せっかく自分だけが見つけた秘密だったんだから”(6話)

"ぼくは、やっぱりきみのことが好きなんだよね。
焼き肉が好き。焼き肉はぼくのこと好きじゃないけど、僕は焼き肉がすき。そう言う意味で。”(しんしん)
>らしくないよ?(とわこ)
“自分らしくて好きな人に好きって言えないなら、自分らしくなくても好きな人に好きって言いたい。そうやって続けていけば、それもぼくらしくなっていくと思うし。”(しんしん)

”ないと思いますよ。
いや、人間にはやり残したことなんてないと思います。
その人は、あなたの幼馴染だったんですよね?
じゃあ10歳の時のかごめさんも、20歳の時のかごめさんも30歳のときのかごめさんも知ってる。
あの、過去とか未来とか現在とか、そういうのってどっかの誰かが勝手に決めたことだと思うんです。
時間って別に過ぎてゆくものじゃなくて、場所っていうか、別のとこにあるものだと思うんです。
人間は、現在だけを生きてるんじゃない。
5歳、10歳、20歳、30、40、その時その時を人は懸命に生きてて
それは別に、過ぎ去ってしまったものなんかじゃなくて
あなたが笑ってる彼女をみたことがあるなら、彼女は今も笑ってるし
5歳のあなたと5歳の彼女は、今も手をつないでいて
今からだって、いつだって、気持ちを伝えることができる。
人生って小説や映画じゃないもん。
幸せな結末も悲しい結末も、やり残したこともない。
あるのは、その人がどういう人だったか、っていうことだけです。
だから、人生には2つルールがある。
亡くなったひとを不幸だと思ってはならない。
生きてる人は、幸せを目指さなければならない。
人はときどきさみしくなるけど、人生を楽しめる。楽しんで良いに決まってる。
ごめんなさい”
>なんですか?
“いや、あの、こぼれてます。”
>本当だ。

(7話:小鳥遊)

この人素敵だなぁ、って思える人とお別れしてきた。一緒にいて安心できる人だった。(とわこ)
>それはもったいないことしたね。(はっさく)
そうなんだよね。でもしょうがない。欲しいものは自分で手に入れたい。そういう困った性格なのかな?
>それはそうだよ。手に入ったものに自分を合わせるより、手に入らないものを眺めてるほうが楽しんじゃない?
そうだよね、そっちのほうがいいんだよね。
一人で生きていけるけど、まぁ、寂しいじゃん。
寂しいのは嫌だけど、でもそれでだれかと2人でいたって自分を好きになれなかったら、結局一人だしさ。
好きになれる自分と一緒にいたいし。
一人でも幸せになれると思うんだよね、無理かな?
>全然余裕でなれるでしょ、なれるなれる。

両想いだ。(はっさく)
>両想いだね、だからあなたを選んでひとりで生きることにした。(とわこ)
無理なのかな?
>今だってここにいる気がするんだもん。3人いたら恋愛にはならないよ。
いいじゃない、こうやって一緒に思い出してあげようよ?3人で生きてこうよ。

もしかしたら続編があるかもしれないけどね。(しんしん)
>続編は1作目を超えられないよ。(とわこ)
恋愛にはときめきのピークがあるからね。
>ときめき?
だから、人は結婚して夫婦になる。離婚は面倒くさくて、面倒くさいはすべてに勝つから夫婦を繋ぎ留められる。
恋人だったらとっくに別れる出来事を夫婦は何度も乗り越える。だから、強くなる。
ときめきが強さにかわる。
>はぁ、それはそうか。
僕は君に恋をしたし、結婚はしたけど強い夫にはなれなかった。(しんしん)

”パーティの後片付けは、大変な方がいい。朝起きて、何も変わらない風景だったらさみしいでしょ?
次の朝意味なく並べられたワインのコルク、テーブルに残ったグラスの跡、みんな楽しかった思い出でしょ?
どれも君が、愛に囲まれて生きている証拠なんだよ。”(しんしん)

あー、もっといっぱいメモあるんですが、載せきれない...
日常でぜひ使っていきましょう。


え、そういうのっていります?日常生活にそういうのって必要ないですよね??
ヘイヘイ

ヘイヘイ