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いちばんすきな花のヘイヘイのレビュー・感想・評価

いちばんすきな花(2023年製作のドラマ)
4.9
ん〜〜、悩みましたが、やっぱり2023年地上波ベストは『いちばんすきな花』で💐
次点は『日曜の夜ぐらいは…』『初恋ざらり』


「好きな人の好きだった人はどんな人?」のsilentからちょうど一年。生方美久さんの新作は、2人になるのが苦手な4人のお話。

“みんなみたいに、みんなにならなくていい”
“自分にとっては大嫌いな人でも、その人を大切に思う人はいる”(シナリオブックのあとがきより)

すべての価値観を肯定することなんてできないし、必ずしも特定の輪の中にいる必要もない。”どんな私でもいい”、受け入れてくれる場所がきっとどこかにはある。っていう願いにも似た多幸感に溢れる作品でした。

1話のオープニング
ゆくえ
「昔から、ニ人組をつくるのが苦手だった」
椿
「昔から、ニ人組にさせてもらえなかった」
夜々
「昔から、一対一で人と向き合うのが怖かった」
紅葉
「昔から、一対一で向き合ってくれる人がいなかった」
もう、この時点で心を掴まれました。
TVerで何回も繰り返しみてます。
メインテーマとモノローグがよすぎて突き刺さる🥲

相手がいないと2人組にならない。
自分が余ってしまうのが怖かった気持ちすごいよくわかる。

普通ならそうなんだけど、組めなかった余りの人のことを思ってしまうのがゆくえちゃんなのかなぁと。だから、先生を目指した。けど結局なれなかった(or 辞めてしまった?)。

6話の紅葉と夜々のシーン
「好きだと、好きだって言わなきゃいけないの?向こうの気持ちもわかってるし。なのにわざわざ言うのって、こっちのエゴじゃん。迷惑だよ」紅葉
「迷惑ってことは…」夜々
「2人にはなれないし。だったら、4人のままがいいから」紅葉

この台詞もじわ〜っときた。
ドラマも映画も、この”好き”を崇高な概念にしすぎでは?問題。

好きな人に好きって伝えることは果たして本当に良いことなのか?

現実ってそうじゃないはず。いいなぁと思ってる人から言われたら、そりゃ嬉しいけどさ。全ッ然興味もなんもない人から言われたらホラーだよ。

愛は何よりも尊い、なんてファンタジーで。もらっても困る愛も中にはあるわけで。

でも、言わなきゃ何も始まらないのも事実。
最初から両想いで始まる恋なんてない。

この話って、マカロニえんぴつの「なんでもないよ、」のニュアンスと似てるなぁと。
音楽ナタリーのインタビュー(以下、抜粋)で

はっとり 「よく見られよう」と思うし、「できれば好かれていたい」と思う。そういうときに言葉を使うけど、それは言葉を“探して”いるようで、言葉を“探って”いるんですよね。「この言葉はどう伝わる?」「やめておこうか、印象が悪くなるかもしれない」……そうやって言葉を探っている様子を、この曲では描いた。それは、相手との関係を壊したくないからなんですよ。どうでもいい人だったら、「傷付けても構わない」と思うかもしれない。でも、傷付けたくないし、傷付きたくない。そんな大事な相手だからこそ、言葉を探っていく。そこには下心がある。でも、それがリアルなんですよね。こういう書き方をして、すべてが野暮に伝わってしまうようだったら、引っ込めます。でも、最後に出た答えが「君といるときの僕が好きだ」というエゴだった。僕はエゴでいいと思います。そういうことを、この1曲を通して書けた。きっとみんな、思いやりが愛だと思っているかもしれないけど、それってきれいごとで。実はエゴなんです。

この記事読んでハッとしたのは、あの曲って色々思考巡らした中で、結局言葉になったのは鉤括弧がついた「何でもないよ、」だけだったんだと。

だから、やっぱり「好き」だからこそ、言わないのもその人への愛だったりすることもあるんじゃないですかね。そういう考え方もあったっていい。

何にでも言えるのだけど、⚪︎か×なのかが問題なんじゃない。誰かからの同調圧力ではない、自分の答えを持っていたい。

他にも、胸がキュッとする台詞が多くて毎話リピートして観てました。以下、個人的にすきなシーン&台詞選手権です。
※随時増えます。

2話
「負けちゃった男の子、お相撲続けられるかなぁ、って」
「自分が期待されて負けたことで、みんなが感動してるって、どれだけ辛いだろうって•••」
ゆくえ

「同じもの見たからって、みんな同じ感情になったら気持ち悪いですよ。どこに気持ちが向くかなんて人それぞれだし。言っちゃダメなことはあるけど。思っちゃダメなことはないです。」
椿

3話
「好きな人との人間関係は2パターンで、好かれる努力をするか、嫌われない配慮をするかのどちらかしかない」椿
 
「結構です。煙草吸わないんで」
「二度目がない初対面がいっぱいあるんで」椿
※喫煙所で煙草吸わない椿に対して

「点Pが毎秒1cmで動きつづける•••」希子
「あいつら懲りずに動くよね」ゆくえ

「好き同士なだけで、両想いじゃなかったなって」椿
「両想いって好き同士のことだよ」純恋
「両想いは、好き同士のことだけど、でも、好き同士が両想いとは限らなくて•••」椿
「純恋には、嫌われない配慮をずっとしてて。好かれる努力は、できなかった」椿

「初めて自分の携帯を持った時の気持ち。人と繋がる手段をもらったのに、一人で何でもできる気になる、あの感じ。一人で大丈夫って思えるのは、一人じゃないってわかったときなんだな、って。」

「隅々まで男女平等な世界、想像してみ?不具合多すぎて逆にどっちも生きにくいでしょ」ゆくえ
「必要な区別をしてもらえないって、何よりも差別ですよね。これはもう、あれですね。みんな、カタツムリになるしかないですね」夜々
「カタツムリ?」ゆくえ
「カタツムリってあれなんですよ。性別ないんです。最高ですよね」夜々
※1話の時点で既に夜々の美容室がsnail(カタツムリ)なのに気づいて考察してる人いてすごいなぁと。

「当てはめないと、間違って傷つけちゃうかもしれないから、確認したかっただけなんだと思います。優しさだったと思います」夜々
「そういう優しい人って、さらに辛い思いしてる人を探しだして、その人を使って慰めるんだよね。あなたは恵まれてるのよって、幸せ強要して。その、より一層辛いって決めつけた人の辛さだって、結局は妄想でしかないのに」ゆくえ
「多数派の辛いはわがままなんですか…」夜々

「良いとか悪いには理由がいるけど、好きとか嫌いは理由なくてもいんだよ」ゆくえ


5話
「優しいふりしてればいいじゃん。こっちは優しさだって捉えてんだから」篠宮

「おなか痛いなぁってときに、今お腹痛いんだぁって言える人が、いなくて」紅葉
「おなか痛いときに、おなか痛いって言っても治んないけど、痛いのは変わんないけど、紅葉くんは今おなか痛いんだなってわかってたい人はいて、わかってる人がいると、ちょっとだけマシみたいなことは、あるから」

「綺麗なお花だなぁってうっとりしてる人にさ、それトゲありますよ。毒ありますよってわざわざ言わなくてもいいの。その人がどう見てるかでいんだよ」ゆくえ

6話
「ゴミ袋の袋はゴミだよ、潔く捨てて」椿
「え、じゃあ、ゴミの中にゴミ袋を入れて売られてるってことですか?」夜々
「逆転してる。なんの哲学?」紅葉

「プリクラ撮ったあと虚無の気持ちになるから、ゲームセンター、嫌いです。仲良しの証明写真、つらい」ゆくえ

「紅葉くん賢いよ。好きを押し付けないのは賢い。行き場がないならもってるしかないもん」
このみ

「好きだと、好きだって言わなきゃいけないの?向こうの気持ちもわかってるし。なのにわざわざ言うのって、こっちのエゴじゃん。迷惑だよ」紅葉
「迷惑ってことは…」夜々
「2人にはなれないし。だったら、4人のままがいいから」紅葉

「下の名前で呼んでたら恋愛関係なんですか?は?世の中浮気だらけすぎませんか?」ゆくえ

「自分には女の友達いるのに。(言い直して)いたのに。他人のそういうのは認めらんないんだ。男女が2人でいたら恋愛だって決めつけるんだ」ゆくえ

「同じですよ。恋愛にあるんだから、友情にもあるでしょ。未練がなくても嫉妬は生まれるんです。」夜々

「それがもうそういうことなんだよ。恋愛より友情のほうが、なんか扱いが軽い。恋愛の話には慎重なのに、友情のことになると他人の価値観否定しちゃってる、私もだけど」ゆくえ

7話
「自分は絶対当たってるって前提で生きてる人より、ずっといいよ。みんな何かしら間違ってんだから」ゆくえ

8話
「ごめん、なんの発表会?」椿
「嫌いなポジティブワードです」ゆくえ
「なんか思いつくのありません?」夜々
「•••止まない雨とか、明けない夜とかないらしいけど、咲かない花はあるし…咲いても枯れるし。置かれた場所で咲きなさいとかね、いい言葉だよね。できれば、最初っから避ける場所に置いて欲しいけどね!」椿
「人生つらいね、苦しいね」ゆくえ

「会えなくてもいいから、もう怪我をしてないことを祈った。いつか、帰りたい家を持てるようにと願うしかなかった」椿モノローグ

「お互い片想いなんだ。一方は恋、一方は友情」杏里
 
「円錐みたいなかんじ?丸にも三角にも見える。人によって見え方が違う。見てる方向が違うだけの人がさ、奥行き無視して勝手に丸だ、三角だって言い合って。それって、円錐からしたらどう思うんだろ…」ゆくえ
「円錐の気持ちまで考え始めたの?」希子

11話
「いちばんすきな人は、1人じゃなくていい」

今のとこ、ゆくえちゃんの名言率高いようです✨そして、やっぱり坂元裕二みが感じられるとこがすきです。

TVerでもみれるこのみとさがら君のスピンオフめっちゃ面白いのでオススメです。
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