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怪物のごnのレビュー・感想・評価

怪物(2021年製作のドラマ)
4.0
見応えのある重厚な作品。
脚本も演技もキャスティングも満点超え。
そら賞とりますわな。納得。

韓国ドラマあるあるな猟奇殺人。
は、オプションでしかなかったかな。ぐらい、ゴツめの話。

終始話も暗いし画もダーク。
こういうのにつきものの、周りにいいヤツホッコリプチコメディ要素も分量少なめで、ずーっと緊張感が漂ってて、疲れるくらい。

犯人も事件の大筋も、各人物が画面に登場した瞬間に、コイツやろな、こうなんやろな、と目星はついてしまうが、それ以外の要素が深過ぎて見続けられる。

いい感じに、こいつも怪しい、あいつも怪しい、なんか裏ある…えーこの人はどっちなの?信じていいの?関わってるの?どこまで知ってたの?まだなんかあるの?みたいに、ずっと、誰?何?ってなれて、騙されるし翻弄される。

何より、ある意味、事件ものではなく、バディものとして素晴らしい。
無骨なやさぐれ泥くさ有能無法の中年デカと、エリート冷徹若造デカが、どっちも心にカタイ氷のよな闇持ちで、そんな二人が徐々に心をかよわせていく。
尖って歪んだ若造の成長物語としても、それを時に近く時に突き放して見守る上司の物語としても、二人の信頼を超えた絆の物語として、丁寧に綴られていて、べらぼうに堪能できる。

怪物とは誰か、何か。

とかなんとか楽しみ方は色々あるよにできてるんやが、
何よりも、
主演二人の演技バトル感が凄い。
ゴツい。
本当に演者としても、作品を通じて、学び、育み、成長していく感じすらある。
演技と演技のぶつかり合い。ガチンコとはこのことかっ、な、感じ。
それだけで充分に見応えがある。

特にラスト3話くらいは、ドンシクとハンジュオンの感情の機微に持っていかれる。
ジュオンの悲壮なまでの覚悟、贖罪と感謝と怒りと哀しみのカオスに顔を歪ませながら歯を食いしばる感じ。
その覚悟を受け止め信じてみようと腹をくくるドンシクの、ジュオンよ踏ん張れ、お前は壊れちゃダメだ、地獄に落ちなくていいんだ、生きろ、という切実な願いが絡み合って、涙がポロポロ出てしまう。

二人の表情とか、眼とか、間とか、漂わせる空気感とか。
放出してるエネルギーが凄くて、圧倒される。

彼らの演技こそ怪物。

おあとがよろしいようで。
ごn

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