Maririri

ムーブ・トゥ・ヘブン: 私は遺品整理士ですのMariririのレビュー・感想・評価

3.8
アスペルガー症候群のグルは1度見た物は決して忘れない記憶力を持っている。こだわりが強いため少しの変化でも彼には大きな事だ。

元消防士の父とふたりで営む遺品整理会社「ムーブトゥーヘブン」は突然この世を去らなければならなくなった者たちが天国に旅立つための最後の引っ越しを請け負っている。グルは父の教えである「死者の最後の言葉にきちんと耳を傾けること」を忘れる事はない。

そんな父も突然この世を去る。
父のいない生活に慣れずにいたグルに刑務所から出所した叔父サングが後見人として同居する。彼らの生活、ふたりの関係、ムーブトゥーヘブンはどんな道を辿るのだろう?

グルは「自分は感情がわからない。だから笑ったりできない」とサングに説明する。でも彼が毎回行う"最期の引っ越し"は死してなお気づかれる事なく捨て去られそうな思いや言葉を、渡すべき相手にしっかりと手渡す事ができている。それは父から教えてもらった以上の感情に突き動かされているからに違いない。

金銭や柵に囚われて利己的な発言をしたり、グルを蔑むような人間こそ、感情の無駄遣いでとても見苦しい。アスペルガー症候群という名前がついてはいるが足りない所は誰にでもあり、正常かは対する誰かが決めればいい事でそこだけで人を判断するなんてパボやで!
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