サムカワ

前科者 -新米保護司・阿川佳代-のサムカワのレビュー・感想・評価

5.0
映画に向けて、前日譚を観ておこうと軽く見始めたはずが、すっかりやられてしまいました。


保護司という仕事のことを何も知らなかったので、まず冒頭のテロップから「あ、そうなの…!?」と。

なんで報酬とかないんだろ…と思ったけど、前科のある人の更生に税金を使うことってまず賛同を得られないか…と。


第1話と第2話の石橋静河さん演じるみどりさんが明るい人だったので、割とコミカルさもありつつ世の中の現実を描いていくのかな〜と思っていたら、3話以降がとにかく辛い。

3〜4話の大東駿介さん演じる二郎さんの物語は、僕らが普通に生きててこの事件を知れば性犯罪者として見ていたかもしれないし、実際勘違いで膨らんだ愛情の怖さは事実なんだけど、だからこそ辛くなるというか。
どこでボタンを掛け違えたんだろう、どうしたらこうならずにいられたんだろう。と実在の人を想うかのように色々考えてしまいます。

5〜6話の古川琴音さん演じる多実子さんの物語は本当に心が痛くなる。
圧倒的に被害者なのに前科者で、そこから抜け出せなくなってゆくってこれ現実に数え切れないほどある話。
まず銭湯のくだりから辛すぎる。ああいう気を遣わせるあまり…っての多かれ少なかれ僕も経験あることで、そういった居た堪れなさがゾワッと記憶の底から押し寄せてきました。


それだけ辛い世界でも、ご飯を食べるシーンは幸せなのが良い。
佳代さんの牛丼も美味しそうだし、あのケーキも、冷めきったシュウマイ弁当も。
サムカワ

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