Benito

いりびと-異邦人-のBenitoのレビュー・感想・評価

いりびと-異邦人-(2021年製作のドラマ)
4.2
【 高畑充希、美術館副館長を演じる 】

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・2021年11-12月放送 22:00
・WOWOW_ 全5回 ドラマW
・原作_ 原田マハ
・脚本_ 関久代
・演出_ 萩原健太郎
・出演_ 高畑充希、風間俊介他
・音楽_ audioforce
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WOWOWのドラマには女優の新たな魅力を引き出す力がある。今回の高畑充希は、笑わないし、怒ったりする、そして策士で、大人の色気を出して、色々と新鮮。役柄が希代の美術蒐集家の孫娘で美術館の副館長、そして若き無名女性画家を庇護していくという設定、なかなか惹かれる。

アートミステリーとして結構厚みもある。
・美術の世界の緊張感ある人間模様
・美しい京都の雅やかな情景
・主人公菜穂と画家白根樹の出生の秘密
・白根樹の父で天才画家の死の真相
・モネの絵画「睡蓮」を巡る駆け引き

俳優陣も役柄の表現が完璧かと。
・高畑充希の全ての佇まい
・SUMIREの儚げな透明感
・森口瑤子の打算と妖しさ
・風間俊介の不幸と卑屈さ
・松重豊の怖さと孤独像
・梶芽衣子の優しさと貫禄
・松尾貴史のしたたかさ

原作小説。
ドラマを観たあとに一気に読んだけど、台詞やストーリーはかなり踏襲されていた印象。大きな違いは小説では東日本大震災が背景にあって、妊婦である菜穂が京都に移ったのは放射能の影響を不安視してという設定。あとドラマでは松重豊演じる志村照山の不気味な存在感が小説より強調されてた点。

ロケーション。
大半が京都ロケ、その見事なチョイス。何げない会話やインサートのカットでも背景には京都の美しい景色が広がっているし、もちろん貴船の川床、渡月橋、東福寺にある光明院などしっかり名所も登場。光明院の枯山水庭園が立志同美術館の創設者宅の設定で使われてるのも凄い。4年住んでいた京都で最も好きだったその場所の3つが見れて感激。

劇伴。
Audioforceがカッコいい!ドイツ・ベルリンに本社がある音楽制作会社で、主にCM(日産とか)や、ショートフィルムなどの映像用の音楽製作。現在ベルリン・東京・上海の3都市をメインしてるけど日本のドラマを手掛けるのは珍しい?かも。サントラ出して欲しいところ。

小説から、ドラマから、どちらからでも楽しめる美術小説/ドラマの傑作だと思う。
Benito

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