だいすけ

イカゲームのだいすけのレビュー・感想・評価

イカゲーム(2021年製作のドラマ)
4.0
単なるデスゲームものではなく、韓国の格差社会の実態を色濃く反映した社会派ドラマといえる。短い時間の中で、三者三様の事情で経済的苦境に立たされる人々の人生が浮かび上がってくる。

デスゲームにおいて注目すべきポイントは、やはり極限状態における人間心理の描写にあると思う。回を重ねるにつれて、追い込まれた人間の本性が剥き出しになる。

しかし、その中にも人間の良心の美しさが垣間見える瞬間がある。余裕がなくとも他者を庇う者がいる。だが、不幸なことに、良心につけ込む人間がいる限り、誠実に生きている人間が馬鹿を見る。残念ながら、それが世の中の仕組みと言われれば、腑に落ちてしまう。

ゲームは、資本主義社会の有り様を暗示しているように思える。「だるまさんが転んだ」のように他者の屍を踏み越え、「型抜き」のように生まれながらにして与えられるものに差があり、「綱引き」のように人脈がものを言い、「ビー玉遊び」のようにゼロサムであり、「飛び石渡」のように一歩踏み外せば再起不能、そして「イカゲーム」のように目的の達成を他者に阻まれる。そうして、経済的な競争の勝者が大金を得て、敗者はどん底で死人のような生を送る。子供は無邪気にゲームを楽しむが、潜在意識に競争本能をはっきりと刻み込まれ、大人になって社会の仕組みを実感する。

6話が最も忘れ難い。夕焼けに染まるノスタルジックな雰囲気が切ない。
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